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鍼灸で起こった驚くべき医療事故

事件①  鍼で心タンポナーデ

 

心タンポナーデというは、心臓の外側を包む膜と心臓の隙間(心嚢)に、血液や体液が溜まっため、心臓が拡張出来なくなることで、十分に働けなくなる状態です。

<参考リンク;済生会今治病院HP

 

鍼で起こるということは、鍼灸治療の鍼で、心外膜を傷付けた事になりますが、ちょっと普通ではあり得ない事故です。

心臓を突き刺すためには、肋骨の間から心臓に向かって、鍼を深く差し入れなくてはいけません。

 

そこで過去に起こったとされる、心タンポナーデの記事を探してみました。

すると、こんな記事が見付かりました。

 

『鍼灸針による右室心内伏針に合併した心タンポナーデの 1症例』

 

かなり古い論文で、1994年とあります。

当時、治療を担当した医師が学会で発表した記事です。

 

では、論文の内容を簡単にご紹介します。

この女性は、過去に受けた鍼灸治療がよく効いたことで、習慣的に鍼灸治療を受けていました。

 

女性は、体調不良を訴えて受診した病院で、レントゲン検査を受けたところ、体の至る所に細い針金状のものがあることを発見されました。

ご家族に聞いたところ、鍼灸治療の鍼であることが分かりました。

 

この鍼が、心タンポナーデの原因となったのです。

また手術の結果、その一部が、心臓や血管の中に刺さった状態で発見されたそうです。

 

この鍼灸用の鍼が、心タンポナーデの原因だったのです。

 

この鍼灸院では、恐らく埋没鍼(まいぼつしん)という方法の鍼をしていたと思われます。

埋没鍼では、24金製の鍼を使用します。

 

通常の鍼はスレンレス製ですので、それに比べてかなり高くつきますし、非常に柔らかい材質で刺しにくいのですが、敢えて24金を使用しています。

 

この埋没鍼では、深く刺入した鍼を、根本から切ってしまい、皮膚の中に留置したままにします。

そのため、昔から体と親和性が高いとされている、24金を使用しているのです。

 

こうした埋没鍼は、九州や山陰地方で最近まで行われていて、特に難治性のリウマチなどで行われていました。

 

ただ正直なところ、こうした埋没鍼を未だにやるところは、非常に怪しいとんでも治療院です。

まともな鍼灸院では、絶対に埋没鍼はやりません。

 

もし鍼灸院で埋没鍼を勧められたら、全力で逃げて下さい。

そして、二度とその鍼灸院には行ってはいけません。

 

事件②  無免許で鍼治療して死亡

 

大阪の鍼灸整骨院で、当時副院長を務めていた柔道整復師が、鍼灸師免許を取得していないにも関わらず施術し、気胸による低酸素脳症を起こしたことで死亡させたものです。

<参考:日経新聞記事

 

肩凝りの治療ということでしたので、恐らく背部から深く刺したのだと思います。

しっかり解剖学を知っている鍼灸師であれば、そういう危険性は極めて低いのですが、格好だけ真似ている人間は危険です。

 

特に鎖骨の周辺は、比較的浅いところに肺尖(肺の先)があるため、簡単に気胸を起こします。

 

そこで痩せ形の女性や、肺尖には気を使う人は多いのですが、実は案外危ないのは、肥満体型の女性です。

特にガッチリ型の肩凝りがキツイ人には、特段の注意が必要です。

 

普段、強いマッサージを受けていて、刺激に慣れてしまっている人は、鍼灸でも強い響きを求める傾向があります。

鍼灸治療は、響きの強さや鍼を深さと効果には相関がありませんが、そこが初心者や素人には分からないのです。

 

特に押しの強い患者さんに対して、自信を持って自分の意見を主張し、納得させるだけの技術がないと、流されて危険を冒してしまいます。

 

何よりも今回の件では、無免許だったのですから、全く言い訳のしようがありません。

無免許施術での過誤は、問答無用で術者が悪いですので、学生で施術に関わっている人は、直ぐに止めましょう。(接骨院ではいるはず)

 

ひと昔前は、院内研修と称して患者さんに施術することは、実はかなりありましたが、現代では決して許されることではありません。

お互いに不幸な事になりますので、免許を取った上で、自信が持てるまでは、鍼灸施術は控えましょう。

 

重大過誤はほとんどが防げる

 

ここでご紹介したような重大な過誤は、ほとんどが防ぐことが出来るものです。

そのためには、しっかりと知識と経験を積み、日々の臨床に自信を持って挑める環境が大事です。

 

鍼治療をしている横で、小さい子供が暴れていたり、大きな騒音がしていて集中出来ない環境だったり、患者さんと対等のお話が出来ない関係性では、冷静に施術をすることが出来ません。

 

また無理な体勢で施術をするベッドの配置や、適切ではない鍼灸用品の使用、衛生設備、施術室の設備(照明・間仕切)でも、鍼灸師の実力を発揮することは出来ません。

 

雰囲気を良くするために、敢えて暗いところで施術する美容鍼灸などでも、細かく照明を調整する必要があります。

手元が見えないほどの暗い室内では、十分な施術が出来ません。

 

必要な対策を十分に行うことで、患者さんも安全かつ効果的に施術を受けることが出来て、施術者も安心して実力を発揮出来ます。

そこで鍼灸師は、十分な対策をしましょう。

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鍼灸ひより堂