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網膜色素変性症に対する鍼灸治療のパイロット研究

【米国 ジョンズホプキンス大学での鍼灸臨床試験】

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24773463
<網膜色素変性症に対する鍼灸治療のパイロット研究>

 

網膜色素変性症は、遺伝性の網膜細胞が変性する疾患です。

視力低下視野狭窄夜盲を特徴とし、進行が早い人では40代で社会的失明に至る事もありますが、平均的に進行は緩やかなことが多いようです。

 

パイロット研究というのは、大規模な調査や研究の導入に当たる研究です。

前回ご紹介したパイロット研究では、鍼灸治療が視力や視野、コントラストに対して与える影響を調べましたが、今回の研究では、それに加えて、暗順応の検査が加わっていました。

 

網膜色素変性症では、夜盲症が特徴的な症状の一つであり、視野狭窄と共に生活に影響を与えます。

そのため暗順応が改善するということは、網膜色素変性症の方にとっては、とても大きなことだと言えます。

 

では今回のパイロット研究の内容をご紹介しましょう。

調査対象は、網膜色素変性症を抱える12名の成人です。

2週間の間、のべ10時間30分の鍼灸治療を受けました。

施術内容は、額と目の下側にあるツボに施術とだけあります。(パルス通電)

 

場所的に考えると、眼科疾患によく用いられる、陽白、承泣、四白などのツボが考えられます。

私も眼科鍼灸では使用するツボですが、出血が多い場所ですので、太くてしなりのない鍼での施術は、内出血の危険を伴います。

 

今回の臨床試験では、12名の被験者の内、6名では第三者的に確認出来るデータの向上が見られたそうです。

見られた効果としては、視野の拡大、暗順応の向上を認めたとあります。

 

網膜色素変性症の方は、明暗の調整がしにくため、明るいところから暗いところに移動すると、見え難いことが多いのですが、その明暗の調整能力が鍼灸治療により高まったとあります。

またこうした鍼灸治療による効果は、10〜12ヶ月継続したとあります。

 

【総評】

 

当院で施術している眼科領域の鍼でも、この論文と同様の効果を認めています。

この論文では、12例で6例ということですから、50%の有効率ということですが、当院の場合には、もう少し高いようです。

 

視機能で考えると、短期的な視力向上に関しては、ほぼ全例で変化が見られます。(眼科での検査で)

また視野の拡大に関しても、多くの患者さんで見られますが、体感するのは難しいようです。

 

更に治療効果の継続に関しては、数ヶ月の施術を行っても、1年近く継続するということはないように思います。

多くの人は、数週間から数ヶ月で施術前の状態に戻るようです。

 

では、当院で受けて頂いた患者さんの、典型的な治療効果の出現についてご紹介します。

 

・網膜色素変性症の患者さんは、症状進行が極端で無ければ週1回の頻度で開始し、頻度を徐々に減らしていく。

・最大で2週に1回程度の施術頻度に減らしていく。

・最初の3〜6ヶ月で視機能改善を目的に施術した後、症状進行を目的に変えて施術を継続する。

・最も早く現れる効果は、短期的視力の向上。

・持続時間は有る程度限定的。(数日から1週間程度)

・視野の拡大も多くの患者で見られるが、体感出来ないことが多い。

・年齢が低いほど臨床効果が得られやすい。

・成長期以下の子供の場合、視機能、夜盲症状の改善度が特に大きい。

 

このように、論文とはかなり違う部分もありますが、それでも西洋医学的には治療不可能とされている眼科疾患でも、かなり高い臨床効果を得ることがあります。

鍼灸治療は、やることがないと諦める前に、是非試して頂きたい治療法です。

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鍼灸ひより堂