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起立性調節障害(OD)の子どもに対する父性と母性の影響

<起立性調節障害(OD)とは>

 

起立性調整障害(OD)は、自立神経の失調が原因で、起立時のふらつきや起床困難、吐き気、めまいなど、様々な症状を表す状態をいいます。

思春期前後のお子さんに多く、徐々に学校への通学が困難となり、社会問題ともなっている、引きこもりの原因にもなることがあります。

このODには、両親や周囲の理解が必要で、周囲の間違った対応から、より重症化、長期化することもあります。

ここでは、父性と母性という2つの面から、ODへの影響を考えてみたいと思います。

 

<母性とOD>

 

ODを発症しているお子さんにとって、母性というのは、非常に大きな影響力を持ちます。

母性というと非常に抽象的ですが、学術的な話ではありませんので、ある程度イメージとして捉えて下されば結構です。

そのため、母性を発揮するのは、実際に母親であるかどうかは問いません。あくまでもイメージだと思って下さい。

ODを発症している状態では、誰にも理解されないという思いが、更に症状の悪化や、社会からの断絶を招くことがあります。

ODを発症すると、どうしても外出や登校が出来ないため、自分一人だけ取り残されている感覚が強くなります。

その状態を否定されてしまうと、強い孤独感から、ODから脱出する気力すら奪われてしまいます。

そのため、母性はODを発症している人間にとって、唯一の心の拠り所になることが多いようです。

ただ一方では、ODから抜け出すために、少しずつ生活を変えようとしても、母性が間違って働いてしまうことで、ODに引き戻すことがあることも事実です。

「あなたはそのままでいいのよ。」

という思いを、誤って伝えてしまうと、本来起こるべき心身の成長を、親が邪魔することに繋がります。

ODという状態自体は否定しないけれど、本当にそのままで良いのかをしっかり考え、どのようなゴールを設定するかは、家族でよく話し合う必要があります。

ゴールは1回で設定する必要はなく、何度も話し合いながら、現在の状態と成長に合わせて、細かく変更すれば良いと思います。

 

<父性とOD>

 

強い父性は、時としてODを非常に早く治すことに繋がります。

その一方で、強過ぎてしまう父性は、体調や心理面を考えず暴走し、悲劇的な結果を生じることもあります。

過去には、ODを理解されないために、自殺したお子さんもいらっしゃるため、強すぎる一方的な父性は、控えるべきです。

特に、元々お子さんとコミュニケーションを取れていない父親が、いきなり強い父性を発揮するのは、最も危険な行為です。

これは、教職員や周囲の人間すべてが、知っておくべきことです。

 

「一生引きこもりになってしまうのでは…。」

「これは甘えじゃなか!」

「自分は乗り越えられたから、あいつも大丈夫だ!」

 

こうした考えは、とかく父親にありがちですが、あなたと子どもは、別の人格であるということを忘れてはいけません。

また多くのODの子どもたちは、時間はかかりますが、社会生活に戻っていきます。あまりにも心配し過ぎる必要もないように思います。

「今、自分が何とかしなくては」

という親心は分かりますが、急激に親心を発揮するよりも、普段から、子どもとのコミュニケーションが取れているかどうかを考えた方が良いと思います。

 

<母性と父性のバランス>

 

ODを少しでも早く完治させるためには、強い父性と優しい母性の両面が必要です。

ODには、自律神経の失調という面と、心理的ストレス、精神的未熟さ、精神的早熟傾向、生活習慣の乱れという複雑な原因があります。

どれか一つだけを改善しても、いきなり完治するということはありません。

自律神経のバランスは、季節の変動の影響を強く受けるため、最低でもワンシーズン通して治すつもりで、生活の改善を、少しずつ続けていく必要があります。

春には春のリズムがあり、夏には夏のリズムがあります。

季節の変化と共に、日照時間の変化や気温、湿度、気象条件が変化しますが、自律神経が乱れると、それに対応できません。

こうした変化に、徐々にからだを慣れさせる必要がありますので、良くなったからといっても、急激に悪化することもあるため、一喜一憂することはありません。

こうした変動もODの特徴ですので、そうした変化が起こった時に、父性と母性を働かせて、休息とトレーニングを使い分ける必要があります。

 

「今日は体調が良いなら少し外に出てみようか?」

「無理せずに休んでも良いんだよ。」

「これはやろうって言ったよね?」

 

こうした、場面ごとでの使い分けをするためには、お子さんの様子を注意深く見ておく必要がありますので、あまり普段接していない人間は、主導するべきではありません。

誰が主導してODの回復を計画するかは、その家族により違いますので、よく話し合って下さい。

 

<鍼灸師とOD>

 

私たち鍼灸師は、自律神経の調整を得意にしていますが、先ほどからお話しているように、主導するべき存在ではありません。

それは、ご自宅での様子を、伺い知ることが出来ないからです。

ODのお子さんを見て、実際にどの程度からだが悪いかは、すぐに分かりますが、それはあくまで目の前にいる、今の状態だけです。

ODは、起床時や午前中に最も調子が悪くなり、夜になるに連れて調子が良くなります。

実際に施術している時には、全く症状がないというお子さんもいますので、本人やご家族からお話を伺うのが、唯一の情報になることもあります。

また、親子の関係性や、実際に来院されていないご家族との関係性も分かりません。

鍼灸師がやることは、自律神経の調整をしながら、客観的に父性や母性の発揮の仕方を判断するくらいです。

お子さんのからだの状態から、

 

「少し手綱を緩めた方が良いですよ。」

「もう少し頑張れそうですよ。」

 

というアドバイスをするだけです。

ODを回復するためには、注意深くお子さんの様子を観察して、その都度調整しながら、やれることを増やしていくしかありません。

こうした細かい調整をしていると、ODは非常に早く変化していきます。

そのお手伝いを、鍼灸師であれば、からだと心の面からサポート出来るということです。

 

<院内リンク>

起立性調節障害の症例:自律神経失調症による通院困難児の一症例

 

<まとめ>

 

・ODを完治させるには綿密な話し合いが必要

・強すぎる母性は完治を長引かせる

・弱すぎる母性は孤独感を強める

・弱すぎる父性は完治を長引かせる

・強すぎる父性は悲劇的な結果を生むことがある

・鍼灸師はあくまでもサポート役

・小さなステップ(ゴール)の積み重ねが大事

・全員が協力すれば早く完治する

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鍼灸ひより堂