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高プロラクチン血症の鍼灸治療【PRL・ドーパミン・TRH・TSH】
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Category:妊活鍼灸
高プロラクチン血症は鍼灸でも治る
高プロラクチン血症は、排卵障害の原因となる、ホルモン分泌異常の一つです。
プロラクチンは、乳汁ホルモンとも呼ばれており、その名の通り母乳を出すときに分泌されるホルモンです。
母乳は授乳期に分泌されるもので、その時期には通常妊娠をすることがないため、排卵自体も制限されるわけです。
高プロラクチン血症は、他のホルモン分泌とも関係しているため、投薬治療が多く行われますが、鍼灸治療単独でも良くなることが多い疾患です。
出来るだけ分かりやすく、ご説明出来ればと思います。
高プロラクチン血症とホルモン分泌
プロラクチンは、脳の中にある下垂体という部分から分泌されるホルモンです。主に妊娠後期から産後に掛けて分泌され、母乳を出す働きがあります。
主に3種類に分けて考えますが、その内、鍼灸治療が効果的であるのは、機能性高プロラクチン血症です。
【ドーパミン不足とプロラクチン血症】
プロラクチンは脳下垂体から分泌されますが、脳下垂体から分泌されるホルモンの多くは、視床下部という部分から命令を受けてコントロールされています。
プロラクチンの場合も同様で、視床下部からのホルモン分泌により、分泌の抑制を受けています。この視床下部からの抑制が弱まると、プロラクチンの分泌が増えることで、高プロラクチン血症となります。
視床下部から分泌されるドーパミンの量が少なくなると、プロラクチンの分泌抑制が出来なくなるため、高プロラクチン血症になります。
またドーパミンはストレスに対応して分泌されますが、ストレスが長期に及ぶと分泌が枯渇し、ドーパミン不足になることがあります。
ドーパミン不足はうつ病などの精神科疾患とも関連するくらい、ストレスや精神状態と関係が深いホルモンです。
機能性高プロラクチン血症の方の中にも、ストレス過剰な人や過労気味の人が多く見られます。そのため、鍼灸治療だけではなく、根本的な休息や睡眠の改善も不可欠です。
【甲状腺機能と高プロラクチン血症】
脳からのホルモン分泌とプロラクチンの関係で、もう一つ忘れてはいけないのが、甲状腺関連のホルモンです。
プロラクチンの分泌は、同じ脳下垂体から分泌される、TSH(甲状腺刺激ホルモン)と連動して分泌されています。
甲状腺刺激ホルモンは、視床下部から分泌されるTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌により調節されていますので、TRHの分泌量が増えるとTSHの分泌量も増えます。
すると、TSHの分泌増加に合わせて、プロラクチンの分泌も増えることになります。
ではこのTRHは何故増加するのでしょうか?
TRHが増えるのは、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが低下した時です。
甲状腺から分泌されるチロキシンが少なくなると、チロキシンを増やすためにTRHが分泌され、甲状腺からチロキシンが分泌されるように働きます。
つまり、甲状腺機能低下が原因となって、最終的に高プロラクチン血症になることがあるということです。
心身のストレスが原因で高プロラクチン血症に?
ドーパミン不足に陥るのは、ストレスが原因で起こることがあるとご説明しました。
次に、甲状腺機能低下症で高プロラクチン血症になるということも、結局は甲状腺機能低下症が心身のストレスで起こることを考えると、同じことのように感じませんか?
つまり、機能性高プロラクチン血症は、心身のストレスが原因で起こるということではないかと思うのです。
そのため、逆に治療法がハッキリせず、強制的にドーパミンを増やすような投薬が行われます。
ところが実際には、心身のストレスによる体調不良が原因ですから、投薬でコントロールするようなものではありません。
心身の調子を整えれば、自然と高プロラクチン血症は良くなるはずなのです。
高プロラクチン血症の鍼灸治療
鍼灸治療は、海外の臨床研究で、脳内ドーパミンの分泌を増やし、ドーパミン受容体の感受性を高めることも報告されています。
<参考論文:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24929454>
この論文では、臨床医の観点から、いくつかの臨床応用において鍼治療がどのように機能するかについて、以前に提案された神経生物学的メカニズムを紹介します。鍼治療は、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のレベルを変化さる可能性があります。鍼治療は視床下部下垂体軸に影響を与え、多嚢胞性卵巣症候群の治療における黄体形成ホルモンの放出を減少させる可能性があります。
<一部抜粋>
また体調不良を鍼灸治療で解消することで、結果的に心身のストレスを減らす働きも期待出来ます。
私自身も、高プロラクチン血症の方に対する鍼灸治療は、とても効果的であると感じています。また、投薬と併用することでも、より高い臨床効果が得られるため、高プロラクチン血症や甲状腺機能低下症は、妊活において、あまり驚異的な存在ではありません。
正しく理解することで、正しい対応が出来るからです。
投薬のみではコントロールが出来ていない人や、出来るだけ投薬なしでコントロールしたいという方は、ぜひ当院にご相談下さい。