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私がまずお勧めする不妊検査【負担なく調べる着床障害の検査】

不妊検査は自己申告の時代へ

 

病院で行う不妊治療の場合、まず行われるのは、妊娠出来ない原因を調べるための検査です。

不妊の原因となる可能性が高いものや、からだに負担がないものから進めていき、最終的にとことん調べるという方には、受精卵の検査(着床前診断)まであります。

 

こうした検査は、主治医の知識や経験を元にして行われることが多いため、病院間で行われる検査内容には差があります。

また施設の設備により、行える内容にも違いがありますので、私は、最初の検査だけは、専門病院で行うことをお勧めしています。

 

その中でも、着床障害の検査に関しては、出来れば少し早めに調べた方が良いのではないかと思うのです。

 

着床障害とは

 

自然な妊娠では、膣内に射精された精子が子宮内から卵管に移動していき、卵管膨大部という少し卵管が広がった部分に達します。

更に排卵された卵子を、卵管の端にある卵管采で卵管内に取り込み、卵管膨大部に繊毛で運ばれ精子と出会います。

その後、無事受精卵となると、受精卵は卵管内を移動しながら分割を繰り返し、受精後5~7日で子宮内膜に到達します。

この時に、子宮内膜が着床に適した形に変化していると、無事に着床が終わることで妊娠が完了します。

こうした子宮内膜の状態を、「着床の窓が開いている」と表現します。

 

逆に着床障害とは、何らかの影響で着床の窓が開かず、着床(妊娠)が出来ない状態のことを言います。

つまり受精卵が子宮内膜に着床出来ないため、妊娠が叶わない状態が着床障害なのです。

 

着床障害の検査とは

 

着床障害の検査は、主に4種類あります。

 

・銅-亜鉛テスト

・血中25-OHビタミンDテスト

・子宮収縮テスト

・慢性子宮内膜炎スクラッチテスト

 

こうした着床障害の検査は、通常、複数回に渡り、良好な胚を移植をしても妊娠しない場合に行われます。

胚移植とは、体外受精や顕微授精の時に行いますので、それ以前のタイミング法や人工授精を受けている人では、着床障害の検査は受けることがありません。

 

<亜鉛-銅テスト>

 

銅には、子宮内で着床を防ぐ働きがあります。そのため、避妊具の一種である、子宮内避妊具には銅を使用する場合があります。

子宮内に銅製の器具を設置すると、ほぼ100%の避妊率という、とても高い避妊効果を得ることが出来ます。

 

同じ理由で、血中の銅が多い場合、着床を阻害する可能性があることから、血中の銅を体外へ排出する必要があります。

さらに、亜鉛には銅を排出する働きがあるため、血中の銅と亜鉛のバランスを血液検査で見ることにより、着床障害を予測することが出来ます。

 

非常に単純に言うと、血中の銅が増えすぎて亜鉛が少ないといけないというわけです。

もしこの検査で異常値が出た場合、サプリメントで亜鉛を補充することになります。

 

 

<25HビタミンDテスト>

 

ビタミンDの受容体は子宮内膜の中にあり、子宮内膜が着床しやすい状態に変化するために、ビタミンDは必要だとされています。

そのため、血中ビタミンDが少ないと、着床障害の原因になるのではないかと言われています。

 

ビタミンDは、それだけではなく、卵胞の発育にも重要な役割を持っています。ビタミンDの受容体がある卵胞の顆粒膜細胞は、卵胞の成長や卵子の質をも左右する可能性があります。

着床障害の検査ではありますが、妊活全体を表す検査にもなる可能性があります。

ビタミンDの検査結果も血液検査で分かるため、からだへの負担もなく、個人的にはぜひ受けて頂きたい検査です。

もしこの検査で異常値が出た場合には、サプリメントで補充することになります。

 

<子宮収縮テスト>

 

子宮収縮テストは、経腟超音波に使用する超音波機器を、膣に挿入した状態で安静位にして、子宮の収縮運動を調べる検査です。

不随意な子宮収縮は、着床を邪魔するだけでなく、流産などにも関わる可能性があります。

からだへの負担としては大きくありませんが、内診をしたことがない方や、内診に抵抗がある方の場合、検査が心理的な負担になる場合があります。

 

この検査で異常が認められた場合、子宮収縮を防ぐ投薬を行う場合があります。

 

<慢性子宮内膜炎スクラッチテスト>

 

慢性子宮内膜炎は、通常子宮内で繁殖している乳酸菌以外の細菌が繁殖することで、子宮内膜に慢性的な炎症を持ってしまう疾患です。

 

子宮内膜は、元々2層に分かれており、子宮筋層の内側にある基底層と、毎回の生理で剥がれ落ちる機能層があります。

この基底層にまで細菌が入り込み炎症を起こすと、慢性子宮内膜炎となり、着床を邪魔する原因になることがあります。

 

慢性子宮内膜炎があっても、無事妊娠や出産をすることもありますが、複数回胚移植を失敗して、尚且つ慢性子宮内膜炎がある方に対して原因菌の除菌を行うと、妊娠率が極めて高くなることが分かっています。

 

慢性子宮内膜炎の検査では、子宮内膜基底層の一部を引っ掻いて剥がしてから、繁殖している菌を調べることで診断をします。

診断には経験と知識が必要であるため、実施する施設を選ぶ必要があります。尚且つ、痛みを伴う検査であることから、一般的には採卵時に麻酔科で行うことが多いようです。

 

またスクラッチテストを行うと、子宮内膜に傷が付くことで炎症を起こすため、免疫反応のせいなのか、妊娠率が高くなるため、スクラッチテスト後に胚移植をすることもあるようです。

ただ検査結果が分かる前に胚移植を行うと、検査が陽性であった時には、不安感を抱えながらその後の判定待ちを受けることになるため、あまりお勧めできません。

 

もしこの検査で慢性子宮内膜炎が認められた場合、抗生剤による除菌を行い、炎症の元になる細菌を取り除き、元の子宮内フローラを回復させてから、胚移植や妊活を再開します。

 

私が着床障害検査を勧める理由

 

着床という過程は、ありとあらゆる妊娠の形には欠かせないものです。それは自然妊娠だろうが、人工授精だろうが、体外受精・顕微授精であろうが同じです。

そのため、着床障害があれば、現在のところ、最も高度な生殖医療とされている顕微授精でさえも、妊娠することは出来ません。

 

逆に言うなら、出来る限り自然な妊娠を計画している場合も、シリング法や人工授精を行う場合にも、着床障害は天敵になるはずです。

そのため、予め着床障害の検査を受けておくことは、どんな形の不妊治療や妊活を行う方にも、とても役に立つはずなのです。

 

ただ、現在の日本産婦人科学会の方針としては、必要最低限の生殖補助を行うというのが普通ですから、数ある検査の中で、早い段階では受けるものではないとされています。

「それ以前にも受ける検査や治療があるでしょ。」

ということのようです。

 

ところが、実際に不妊治療を受けている人からするとどうでしょうか?

良好胚の移植を、複数回失敗しないとこれらの検査しないとなると、ステップアップを望んでいない人の場合には、検査すら受けることが出来ないことになります。

 

さらに複数回体外受精や顕微授精を失敗してからとなると、単純に数十万~数百万もの治療費を浪費してからということになりかねません。

確かに慢性子宮内膜炎の検査の場合には、痛みもありますから、積極的に勧めるわけではありませんが、血液検査で分かるものに関しては、比較的早い段階でスクリーニングとして行う方が良いのではないかと思うのです。

 

出来るだけ効率的に、安全に妊活を進めるためには、着床障害の検査に関しては、からだに負担の無い2項目を、まず受けることをお勧めします。

つまり、血液検査で分かる、銅-亜鉛テストビタミンDの検査の2項目です。

 

少なくとも、1年以上タイミング法や人工授精を試しても妊娠されない方は、着床障害の検査を受ける価値は十分にあります。

もし体外受精を受けていらっしゃる方や、これから受けるご予定がある方は、主治医にご相談下さい。

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鍼灸ひより堂