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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と多嚢胞性卵巣形態(PCOM)は同じ?

同じようで同じでないのがPCOSとPCOM

 

一時的に見える病態と、短期的な治療法が同じであれば、同一視するのが西洋医学です。

そのため、西洋医学的には、PCOSとPCOMは同じものとして扱われ、同じような治療を受けますが、私には違うような気がしてなりません。

PCOSは、明らかな代謝異常や内分泌異常を体質的に持っているようですが、PCOMの場合には必ずしもそうではありません。

この違いは、妊活を終えてからも、長いあなたの人生に影響を与えるため、正しく理解して頂きたいのです。

 

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とPCOM(多嚢胞性卵巣形態)

 

PCOSとPCOMは、共に多嚢胞性卵巣の症状を表しますが、PCOSの場合には、先天的な体質としての代謝異常・内分泌異常がベースにあります。

PCOMの場合には、そうした先天的な原因がないか、あってもごく軽いものだと思われます。

 

そのため、PCOMでは毎回無排卵になるわけでもなく、タイミングさえ合えば自然妊娠が十分に可能になります。

或いは、体調を整えたり、ストレスを解消するなどの、比較的軽いに妊活でも妊娠が十分に可能です。当然ながら、鍼灸単独でも、比較的短期間で妊娠をすることが出来ます。

また病院に通院したとしても、排卵誘発剤の使用で、あっけなく妊活が終わることが多いようです。

 

それに比べてPCOSでは、初潮の頃から、ほぼ無月経や無排卵の月経になることが多く、放っておいて妊娠することが難しくなります。

また初潮の頃から多嚢胞であるため、高AMHとなり、卵胞の成長が極めて悪くなったり、血液凝固異常を持つことから、流産もしやすい傾向があります。

 

 

PCOSの方は、多嚢胞性卵巣であるため、体外受精や顕微授精での採卵では、多くの卵が採れますが、いざ受精や胚分割となった時には、良い卵が残せなかったり、移植した時に妊娠率が低かったりします。

そのため、精神的なダメージが、より大きくなります。

元々PCOSの女性には、抑うつ傾向が強いという臨床データもありますので、不妊治療失敗を繰り返すことが、非常に大きな精神的ダメージになってしまいます。

 

PCOMの方には、これといった特徴はありませんが、誰でもPCOMを引き起こす可能性があるため、そういう意味ではたちが悪いとも言えます。

PCOMの場合には、人知れず妊娠や出産を終えた方もいらっしゃるでしょうし、2人目不妊になって、初めてその傾向に気付く方もいるようです。

 

色々なことがPCOMの原因になるだけに、明確な指針もなく、ただ排卵誘発や体外受精が選択されている現状があります。

もっとこうしたPCOMやPCOSについては、病態が議論されるべきなのかもしれませんが、不妊治療という観点だけで見がちなため、妊娠さえすれば良いという風になりがりです。

 

PCOSの何が問題なのか

 

PCOSで問題になるのは、PCOSが『ただ単に排卵しない』という、不妊治療の問題だけに留まらないからです。

先ほども書いたように、PCOSというのは、代謝や内分泌の異常を、遺伝的にに持っています。そのため、妊活が終わってからも、PCOSとしての体質は、常にあなたの要素として持ったままということになります。

妊活が終わってからも、この遺伝的な特徴は、子育てやそれ以降の生活の中で、あなたのからだに影響を与え続けます。

 

1.耐糖能異常

 

耐糖能異常は、エネルギー代謝に重要なインスリンの働きが、上手く働かないことを言います。

インスリンが上手く働かないと、糖を肝臓で中性脂肪に変えたり、皮下脂肪から血液中に溶け出してくる脂肪酸を上手くコントロール出来ません。

その結果、糖尿病や高脂血症を起こしやすくなってしまいます。糖尿病や高脂血症は、他の生活習慣病とも深い関係があり、動脈硬化の原因にもなります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30706800
<多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に長期管理が必要な理由>

 

2.血液凝固異常

 

血液凝固異常は、血液が固まりやすく血栓が出来やすいことを言います。そのため、脳梗塞やその他の循環器疾患なども起こしやすい可能性があります。

特に閉経後の女性は、投薬などにも注意が必要ですので、血栓が起こりにくいように、定期的な水分の摂取や食事内容の選択などを気遣う必要があります。

血液検査なども定期的に受けて、自分の健康管理は自分で行うようにする必要があります。何故なら、婦人科や内科でも、恐らくPCOSというものに、そこまでの意識が無いと思うからです

当院のような、お節介な存在が近くに居ない場合には、未病は自分で防ぐしかないということです。

 

3.抑うつ傾向

 

PCOSの女性には、抑うつ傾向を持つ方が多いことがが知られています。生真面目で一本気な性格が、妊活やお仕事によってストレスを受けると、抑うつ状態いなるようです。

こうした性格的な傾向も、妊活が無事終わったからと言って、変わるわけではありません。そのため、自分のストレス管理をどのように行うかを、しっかりと決めておくことも大事です。

もし妊活の時に鍼灸治療を利用していた方は、引き続き月1回や2~3か月に1回でも、鍼灸治療を受けて頂ければ良いと思います。

 

PCOSは病気というよりは個性?

 

今までに書いてきたことをまとめると、PCOSは病気というよりも、身体的・精神的特徴を有していることから、ある意味個性といった方が良いように思います。

PCOSの方は、自分の個性を自覚しつつ、上手く付き合いながら妊活を進めていく必要があるようです。

 

PCOSの方は、耐糖能異常が原因で、高インスリン血症からLHが高くなりやすく高アンドロゲン血症から多嚢胞性卵巣、排卵障害へと移行しやすくなります。

また高インスリン血症の影響は、子宮内膜へも影響を及ぼします。

そのため、メトホルミン(糖尿病治療薬)などで内膜の感受性をコントロールすることで、排卵だけでなく、着床にもいい影響が及ぶかもしれません。

また、インスリンをしっかり管理することで、妊活終了後にも子宮内膜の癌を防ぐことが出来る可能性もあります。

 

ストレスが溜まりやすい性格は、マタニティブルーや産後うつになりやすいかもしれませんし、育児ストレスや更年期障害にも関係するかもしれません。

こうした長い目で、PCOSというものを考えた時、排卵障害という病気としてではなく、個性として考えて、一生上手く付き合うことを考えるべきではないかと思います。

 

一鍼灸師である私からすると、少々書き過ぎな内容かもしれませんが、不妊専門病院よりも、長く同じ患者さんを見ることが多いため、こうした意識は常に持とうとしています。

そして、患者さんの人生の、出来るだけ長い期間をサポート出来ればと思っています。

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鍼灸ひより堂