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不妊治療に伴う鍼治療ではストレスが軽減する?【論文を見てみよう】

不妊治療に鍼灸治療を併用する意味とは

 

不妊治療を受ける際に、鍼灸治療を併用することで、どのような作用があるのかは、時と場合によって違います。

また、鍼灸治療が妊娠に作用する条件を絞れば絞るほど、鍼灸治療の働きが明確になってきます。

 

例えば、体外受精や顕微授精における凍結胚移植に、鍼灸治療を併用した場合には、胚の成長には作用出来ない為、ある程度作用が限定されます。

ここで、胚盤胞移植に合わせて鍼灸を行った、不妊鍼灸の論文を見てみましょう。

 

凍結胚移植に伴う百会穴の働き

 

【GV 20’s Role in In Vitro Fertilization and Frozen Embryo Transfer.】

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31624529

 

これは2019年10月に掲載された鍼灸の症例論文です。

この中では、凍結胚移植に伴う鍼灸治療の効果が書かれています。

 

GV20(百会)というツボに対して行った施術が、HPA系に対して影響を与えて、妊娠に導いたのではないかという内容が書かれています。

 

 

ただ残念なことに、実際にHPA軸に対して働いたのかというデータが記載されていません。

 

そこで、この論文の要旨に対する考察を書いてみました。

 

 

HPA軸(系)というのは、視床下部に届いたストレス刺激に対して、下垂体や副腎からホルモンが次々に分泌されることです。

最終的に副腎からは、コルチゾールと言うホルモンが分泌されます。

 

コルチゾールは、短期的な分泌であれば、同じ視床下部から始まる、HPO軸(系)というホルモン分泌に影響を与え、一時的に妊孕性を高めます。(妊娠しやすくなります)

 

 

ところが、コルチゾールの分泌が長期的に起こると、視床下部から分泌されるGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が抑制されます。

 

 

GnRHはHPO系の始まりのホルモンですから、HPO系が上手く機能しなくなり、不妊傾向が高まります。

 

つまり、長期的なストレス(コルチゾール分泌)は、妊孕性を低くするわけです。

 

論文には、百会穴にはHPA系に働いたと書かれていますので、恐らくコルチゾールの分泌量が減ったということではないかと思われます。

他の論文でも、唾液の中に含まれるコルチゾールを調べる臨床試験では、鍼灸治療により唾液中のコルチゾールの減少が認められています。

 

また論文の中では、GV20(百会穴)と高プロラクチン血症との関連についても触れられています。

高プロラクチン血症は、乳汁を分泌させるホルモンであるプロラクチンが、妊娠や出産をしていないのに分泌されることで、排卵障害を起こすものです。

 

プロラクチンの分泌には、抑制因子であるドーパミンという脳内物質と、促進因子であるTRH(甲状腺ホルモン放出ホルモン)が大きく関係しています。

その中でも、抑制因子であるドーパミン分泌が減ることで、プロラクチンが分泌されてしまうものに対して、百会穴が効果的だという論文があります。

 

ドーパミンは、ストレスに対して分泌され、前向き感を作って対抗することが知られています。

いわゆる抗ストレスホルモンというものです。

ただ長期的にストレスが掛かることで、ドーパミンの分泌が追い付かなくなり、またドーパミンを受け取る受容体も疲れてしまうことで、ドーパミンの働きが衰えるようになります。

その結果、プロラクチンの分泌抑制が働かず、高プロラクチン血症になってしまうことで、不妊傾向が表れます。

 

 

このドーパミンの分泌に対しても、GV20(百会穴)が効果的であるというのです。

GV20(百会穴)の鍼灸刺激は、2つの面で不妊傾向を無くす効果があるということです。

 

1.GV20(百会穴)はコルチゾール分泌を減らす。

2.GV20(百会穴)はドーパミン分泌を増やす。

 

同じツボでありながら、一方のホルモン分泌は増やし、一方のホルモン分泌は減らすというのは、鍼灸治療独特の作用であると思います。

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鍼灸ひより堂