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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の鍼灸治療【耐糖能異常・血液凝固異常】

多嚢胞性卵巣症候群恐るるに足りず

 

多嚢胞性卵巣症候群は、排卵障害の原因として有名ですが、実際には、排卵障害だけではなく、とても複雑な病態を持つ不妊原因です。

ただ恐れるだけではなく、多嚢胞性卵巣症候群に対する正しい理解を深めることで、ぜひあなたの元に可愛い赤ちゃんを抱いて頂ける、1つの手助けになればと思います。

 

【多嚢胞性卵巣症候群の基礎知識】

 

1.多嚢胞性卵巣症候群は、LHとFSHのバランスが崩れている

 

多嚢胞性卵巣症候群では、下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンである、LHとFSHのバランスが乱れています。

本来は、FSHは常にLHよりも高い状態でなくてはいけませんが、多嚢胞性卵巣症候群ではLHがFSHよりも多く分泌されています。

LHは、卵胞でアンドロゲンという男性ホルモンを作る働きがあります。LHの量が正常であれば、その後FSHの働きでアンドロゲンをエストロゲン(女性ホルモン)に変換します。

ところがLHがFSHよりも多い状態だと、アンドロゲンが増えすぎるため、エストロゲンに変換することが出来ません。

アンドロゲンは男性ホルモンですから、余りにもアンドロゲンが増えすぎると、排卵障害以外にも、男性化の症状が表れます。

また多嚢胞性卵巣症候群の名前の由来である、卵巣内に成長し切れない小さい卵胞が、真珠のネックレスの様にエコーで見えるようになります。

 

2.耐糖能異常を持つ方が多い

 

耐糖能異常とは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが働きにくいことです。

一見すると、多嚢胞性卵巣症候群とインスリンは関係ないように思われるかもしれませんが、インスリンというホルモンは、視床下部に働き掛けて、LHの分泌量を増やすと言われています。

 

上の項目でご紹介したように、LHの分泌量が増えて、FSHの量を超えるようになると、多嚢胞性卵巣症候群が発症します。

そのため、インスリンがたくさん分泌されると、多嚢胞性卵巣症候群はより発症しやすくなります。

 

耐糖能異常は、糖質の摂り過ぎにより、後天的に起こることもありますし、先天的な遺伝子を持っている方もいるようです。

後天的な場合には、食事内容が問題になりますので、過食傾向の方や肥満の方が、耐糖能異常を起こしやすい傾向があります。

先天的な場合には、近親者に糖尿病の方がいることが多く、食事内容に関係なく、耐糖能異常を体質的に持っています。

 

耐糖能異常は、血液検査で知ることが出来ます。多嚢胞性卵巣症候群の方は、専門病院などで耐糖能異常の検査を受けていると思いますが、もしまだ検査をしていないようでしたら、ぜひ受けてみて下さい。

検査の名前は、HOMA-Rと言いますので、専門病院以外で婦人科に掛かっている方は、一度検査を受けて頂き、その結果に応じて、治療を受けて頂ければと思います。

 

3.血液凝固異常を持つ方が多い

 

血液凝固異常とは、血栓が出来やすい体質のことです。血液が凝固しやすいため、着床障害や流産の原因になることがあり、場合によっては母子の命に関わることがあります。

特に、排卵誘発剤を使用して採卵をする時に、血栓症が重症化するOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になりやすいため、注意が必要です。

 

多嚢胞性卵巣症候群の方は、育ちかけの卵胞が卵巣内にたくさんあるため、排卵誘発剤を使用すると、非常に多くの卵胞が育つ傾向があります。

20~30個の卵胞が成長すると、卵巣が大きく腫れ、卵巣内に血液が非常に多く流入します。大量の血液が流れ込むことで、血液中の水分(血漿)が押し出されることで腹水となります。

腹水として血液中の水分が奪われたため、血液濃度が濃くなる、血栓が出来やすくなるため、OHSSが重症化するというわけです。

育つ卵胞の数が増えれば増えるほど、OHSSの可能性は高まりますので、多嚢胞性卵巣症候群の症状が強いほど、OHSSになるかのせいは高まります。

 

4.AMHが高い

 

AMHは抗ミューラー管ホルモンとも言われ、育ちかけの卵胞から分泌されるホルモンです。

多嚢胞性卵巣症候群の方は、育ちかけの卵胞が卵巣内に非常に多くあるため、AMHがとても高くなります。

AMHが高いということは、妊活中の女性にとっては良いことだと思われがちですが、実際にはAMHは卵胞の成長を阻害する働きがあります。

多嚢胞性卵巣症候群の方は、アンドロゲンの作用とAMHの働きのせいで、大きく卵胞が成長しないのです。

 

AMHは、排卵誘発剤を使用した卵巣刺激の時に、目安になる数値です。AMHが高ければ、排卵誘発によりたくさんの卵胞が育ちますし、低ければ卵胞は少ない数しか成長しません。

そのため、AMHの数値により、排卵誘発の投薬計画を立てるのです。

 

当然、AMHが非常に高い人では、排卵刺激によりOHSSになる可能性が高くなることは、今までにもご説明させて頂きました。

 

5.ストレスを感じやすい

 

なぜか多嚢胞性卵巣症候群の方は、ストレスを感じやすいと言われています。そのため、抑うつ傾向が強く出ることがあり、妊活に大きなストレスを感じてしまいます。

ただでさえストレスの溜まりやすい妊活である上に、体質的にストレスを溜めやすいため、多嚢胞性卵巣症候群の方は、精神的なトラブルを起こしやすい傾向があります。

 

私が今まで施術してきた患者さまも、比較的小さなことが気になりやすく、結果に一喜一憂しやすい傾向を感じました。

こうした患者さまに対しては、常にメンタルなコントロールを意識した鍼灸治療をさせて頂きました。

 

常に、一人きりで妊活をしているわけではないと意識して頂くと、比較的上手くいくことが多いような気がします。

出来るだけ多嚢胞性卵巣症候群の方は、1人で頑張り過ぎず、サポートしてくれる人間を見付けて頂ければと思います。

 

多嚢胞性卵巣症候群の妊娠計画

 

上でご説明した4つの特徴をしっかり踏まえて妊活を行えば、あなたの妊活は成功するはずです。

先ずは、しっかり自分の状態を知っておきましょう。

 

多嚢胞性卵巣症候群を疑われる方の中には、毎月ではないけれど、しっかり排卵をしている方もいらっしゃいます。

そうした多嚢胞性卵巣形態(PCOM)の方は、無理に排卵誘発剤を使用しなくても、少し工夫すれば自然妊娠も十分に可能です。

 

PCOMの方は、排卵のタイミングが分かりにくいため、出来れば病院でエコー検査を受けながらタイミングを取るか、2~3日に1回程度タイミングを取るかのどちらかが良いと思います。

タイミングの回数を多く取れる場合には、特に病院での治療を必要としないとも言えます。

 

もし近親者に糖尿病の方がいらっしゃる方や、ご自身の皮下脂肪が気になっている方は、前もって耐糖能検査を受けて頂いた方が良いかもしれません。

耐糖能異常が分かれば、少し強度の高い運動を行いながら糖質制限をするか、糖尿病治療薬などを服用することで、高インスリン状態から回復することが出来ます。

 

出産までの妊活を通して最も影響を及ぼすのは、排卵障害よりも血液凝固異常です。

血液凝固異常は、自然妊娠、排卵誘発、妊娠維持の全てにおいて、脅威になる可能性があります。

 

多嚢胞性卵巣症候群の方は、体質的に血液凝固をしやすいため、常に血液凝固には気を遣わなくてはいけません。

多嚢胞性卵巣症候群の方は、ストレスを溜めやすく抑うつ症状が出やすいことは、上の項目でもご紹介しましたが、ストレスは交感神経の緊張を招き、血液がより固まりやすくなります。

また交感神経が緊張すると毛細血管が収縮するため、血行も悪くなってしまいます。

 

そのため、常にストレス管理を行い、1人で妊活を頑張り過ぎないことも大事です。

私たちのような人間を利用して、任せることが出来る部分は、思い切って任せてしまい、少しでも気楽に妊活をして頂くのが妊活を成功させる秘訣です。

 

また鍼灸治療には、自律神経を調整する働きがあるため、血液循環をスムーズにして血栓を予防することが出来ます。

妊活専門の鍼灸師であれば、カウンセリング効果も期待出来て、さらに鍼灸治療自体にも脳ストレスを緩和する働きがあるため、多嚢胞性卵巣症候群の方にとっては、とてもメリットの大きな妊活の補助になるはずです。

 

鍼灸治療には、多嚢胞性卵巣症候群の直接的な原因である、LHとFSHに対しても影響を及ぼします。

鍼灸治療を受けて頂いた方では、FSHの感受性が高まり、高過ぎるLHを下げる働きも観察されています。

 

ただし鍼灸治療には、投薬のような効果の切れ味はないため、重症の多嚢胞性卵巣症候群の場合には、投薬と併用することも考慮した方が良いと思います。

タイミングや人工授精に投薬を併用する場合には、多胎妊娠を防ぐために、一般的な排卵誘発剤であるクロミフェン(クロミッド)よりも、レトロゾール(フェマーラ)の方がメリットが大きいかもしれません。

投薬に関しては、医療機関で差がありますので、高度医療に限らず、妊活のサポートは専門病院の方が良いかもしれません。

 

多嚢胞性卵巣症候群の妊活では、タイミング法や人工授精の場合には、中々排卵しないことに焦り、体外受精の場合には、たくさん卵が採れる割に妊娠に至らなかったり流産しやすいことに落ち込んでしまいます。

多嚢胞性卵巣症候群は複雑なメカニズムを持つため、1人で妊活を頑張るのはかなり大変です。

多嚢胞性卵巣症候群にお悩みでしたら、ぜひご相談下さい。

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鍼灸ひより堂