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甲状腺眼症の鍼灸治療【眼球突出・バセドウ氏眼症】

甲状腺眼症とバセドウ病

 

甲状腺眼症では、甲状腺に関係する抗体が出来ることで、目の周囲の脂肪や筋肉に炎症を起こしてしまい、物が二重に見えたり、目が飛び出てくるなどの症状が出てしまいます。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)眼症とも言われますが、実際には甲状腺機能が亢進していなくても、甲状腺眼症は起こりますし、バセドウ病が治ったとしても、目の症状が治るわけではありません

甲状腺眼症では、眼科と内分泌科の両方を受診する必要があるため、受診の手間も時間も掛かってしまいます。

 

それが最も患者さんを悩ませるところで、甲状腺専門医と眼科専門医の両方に掛からなくてはいけませんし、眼科の中でも、炎症が起こる部位や治療法により、1人の医師では対応が難しいこともあります。

一つの病気であるにもかかわらず、複数の医師から治療を受けることになりますので、それぞれ他科の医師が話す内容を、患者さんが理解するのも大変です。

 

症状回復が難しい

 

甲状腺眼症の大きな特徴である、眼球突出や眼球運動のし辛さは、甲状腺の状態が良くなっても継続することがあります。

ステロイドパルス療法は、奏効することももありますが、あまり効かないこともあります。また、ステロイドパルスが効果を挙げるという、理論的な根拠もありません。

 

また一旦ステロイドパルスが利いたとしても、炎症が再発することも多く、ステロイドパルスが複数回に渡ると、副作用の問題も出てきます。

炎症が完全に治まっても、目の症状が治らないことは多く、どうしても眼球突出が気になる場合には、外科手術の適応になります。

 

生活改善とはいうものの

 

甲状腺眼症にしろ、他の眼科疾患にしろ、悪化する要因は大体同じです。

 

・ストレス

・喫煙

・睡眠不足

 

これは、ありとあらゆる疾患の悪化原因ですので、避けられるものなら避けた方が良いと思います。

ただ喫煙と睡眠は本人の努力次第ですが、ストレスに関しては調整が難しいですよね。

 

そもそも病気になってしまったこと自体がストレスでしょうから、病気が良くならない限りストレスが軽減することはありません。

しかも甲状腺眼症の特徴である眼球突出は、毎日鏡を見るだけで分かりますし、手で顔を洗うだけでも感じるため、無視することが出来ません。(女性であればなおさら)

 

では何とかストレスを軽減しながら、甲状腺眼症に有効な手立てはないのでしょうか?

 

甲状腺眼症の鍼灸治療

 

鍼灸治療は、目の周囲に起こった炎症を、血液循環を良くしたり、免疫に対して働き掛けることで鎮静化することで、甲状腺眼症の改善を図ります。

特に、甲状腺自体の治療を継続中に鍼灸治療を行うと、相乗効果により、甲状腺の治療効果と共に、甲状腺眼症の症状回復も期待出来ます。

 

ただし、完全に甲状腺の治療が終了しており、眼球突出だけが残っている場合には、鍼灸治療で大幅に症状回復を狙うことは難しくなります。

出来るだけ早い時点で、鍼灸治療と西洋医学の治療を併用して頂くと、症状の改善が期待出来ると思われます。

 

鍼灸治療自体は、他の眼科疾患と同様の方法で行います。

 

・目の周囲に対する鍼

・全身調整のための鍼

 

この二つを掛け合わせることで、甲状腺に対する免疫の鎮静化と、目の周囲の抗炎症作用を狙うわけです。

眼科疾患で目の周囲に使用する鍼は、美容鍼灸にも使われる非常に細い鍼ですので、大きな内出血を生じたり、強い痛みを感じる心配がありません。

<見えないほどの細さです>

鍼灸治療を受けて頂くと、体感的にも目や体調の変化を認識出来るため、結果的に精神的にも安定するようになります。

 

当院に眼科疾患で来院される方は、9割が鍼灸治療を初めて受けるという方です。

また、小さいお子さんでは、幼稚園年中程度のお子さん(小児はり以外)から、高齢者まで安心して受けて頂いています。

 

鍼灸治療が身近でない人にとっては、とても怖いことのように思われるかもしれませんが、私は自分自身にも、自分の家族(子供含め)にも鍼灸治療を施術しています。

もしも、あと一歩が出ないという方は、気になっていることをぜひご質問下さい。

 

【甲状腺眼症に対する鍼灸症例】

 

50代男性 兵庫県在住

 

バセドウ氏病を始めとして甲状腺の既往歴はないが、2018年にいきなり甲状腺眼症と網膜剥離を発病。

網膜剥離の治療後、ステロイドパルス療法と放射線治療を開始。

一時緩解状態となったが、再び眼球突出が再燃し、2回目のステロイドパルスを行った。

 

その後、プレドニンの服用をしながら様子を見ているが、ステロイドパルスから時間が経つと、外眼筋の腫れや異物感、まぶたの周辺の腫れ、眼球突出が強くなるため、愛知県の千秋鍼灸院を受診。

その後、当院へ紹介されて来院。

 

来院時には、明らかな眼球突出があり、眼窩の中で外眼筋が腫れて、複視や眼球運動がしにくいという自覚症状を感じていた。

また、甲状腺ホルモンの数値は、常に正常だが、TSAbや抗YPO抗体(共に甲状腺に対する抗体)が高い値を示していた。

 

<鍼灸治療>

 

鍼灸治療を週2回ペースで開始。

後頚部や背部、目の周囲に関しては、目の自覚症状と炎症を抑えるために施術。

施術後は、目の違和感が多少弱まる感じがしたということでした。

 

また甲状腺や免疫に対する施術として、発病前後に強いストレスを感じることが続いたということで、抗ストレス作用があるそうなツボを選択しました。

ストレスに関しては、原因が持続しているため、完全には無くなりませんが、体への影響が最小限になるように施術しました。

 

施術開始後、約1か月で眼球突出が1mm減となりましが、まだ明らかな眼球突出が見られました。

ただ自覚症状は変動があるようで、自覚的にかなり楽な時もあるということでした。

施術内容は変化ありませんが、鍼を刺す角度や深さと、自覚症状の変化を確かめながら施術していました。

 

施術開始後2カ月後、明らかに目の周辺の自覚症状に変化が表れ出しました。

また眼球突出がさらに1mm減ったそうです。

プレドニンは、毎月減量している状態でした。

 

施術開始3か月後になると、客観的に見ても眼球突出が減っていました。

眼科でも同様のことを言われるということでした。

この頃になると、かなり詳細なこの患者さん用の施術が確立し、ツボの選択や角度、深さもハッキリと分かるようになりました。

プレドニンが中止となりましたが、血液検査上は全ての値が安定し、正常となっていました。

 

眼球突出はありますが、外見上は、こういう顔の人かなという程度です。

施術の頻度を週1回に変更しましたが、体調は維持出来ているようです。

経過観察をしながら、引き続き施術を受けて頂いています。(2020年2月現在)

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鍼灸ひより堂