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幼児の網膜色素変性症に対する鍼灸治療例

夜盲症状が良くなりました

 

<患者>

 

大阪府在住 5歳男児

診断名:網膜色素変性症

 

<来院までの経緯>

 

未熟児として出産後、入院中の病院で発達の様々な問題を指摘された。

その後も定期検診などで、小児専門病院を受診した際に、網膜色素変性症と診断された。

病院では、経過観察しかすることがないと言われ、ネットで治療法を検索中に、愛知県の千秋鍼灸院を見付けて受診。

その後、大阪府で眼科鍼灸をしている提携院を紹介されて、当院に来院。

 

<当院での施術>

 

視力や視野もあまり良くない状態でしたが、それ以上に夜盲症状があり、夕方薄暗くなると、自宅玄関内でもあまり見えていないということでした。

未熟児だったこともあり、呼吸器やそれ以外にも未成熟な部分がありました。

風邪を引きやすく、すぐに熱を出してしまい、寝込んでしまうということでした。

 

初診時には、まだ幼稚園の年中組でした。年少以下であれば、刺激に対する感受性も強いため、小児針で施術することが多いのですが、今回は、未発達な能力を最大限伸ばすために、一般用の一番細く短い鍼で施術することにしました。

使用した鍼は、長さ15mm太さ0.1mmの極細鍼です。

 

東洋医学的には、肺がとても弱く、先天的に免疫系や呼吸器系に、弱さが出やすいようでした。

そのため、肺と密接な身柱(しんちゅう)穴というツボや、先天的な生命力を主(つかさど)る腎と密接な命門(めいもん)穴というツボをよく使用しました。

目の周囲には大人と同様に2~4本の鍼を刺しました。


<施術イメージ画像>

風邪を引いた状態で来院することも多かったため、温灸なども組み合わせながら、まずは体調を良くして、順調に成長・発育するように施術しました。

 

小児の場合、いかに全体の成長を促すかが重要です。今回のように、未熟児で誕生して、同年代のお子さんに比べて成長が遅い場合は、特に重要な意味を持つことになります。

眼科という狭い領域だけではなく、からだ全体の能力を、最大限伸ばすことが大事だということです。

 

<その後の経過>

 

施術頻度は、最初の3か月間は週に2回とし、その後週1回にしました。

施術を開始して、約2か月後くらいから、視力と視野の拡大が起こり出しました。出産前から、ずっと経過観察をしている母児専門の病院の眼科で、評価をして頂きました。

また、夜盲症状がかなり良くなり、夕方になっても、自宅玄関で躓(つまづ)かないようになりました。

元々は病気がちだったのですが、学校にも休まず通うようになったそうです。

 

治療開始から6か月経った頃に、通院頻度を少なくしたいということでしたので、2週間に1回にしました。

すると、しばらくしてから、病院の検査で視力の低下が見られたため、再び頻度を10日に設定しました。

頻度を10日に1回にすると、再び視力が安定して出るようになったため、10日に1回が最も適した頻度なのだと思われます。

 

その後、4年間に渡って施術しましたが、目の状態は安定しており、からだの成長も順調です。

小児の場合には、「健康的に成長するようにサポートする」ことが重要だということです。

 

私は、自分の子どもの参観や行事ごとには、ほとんど参加してきましたが、最近の幼稚園や学校では、健康的でないお子さんをたくさん見かけます。

特に都市部では、子ども自身よりも、親の影響で不健康になっていく傾向があります。(体形や体質が非常に似ています)

子どもの食事内容や運動習慣、生活習慣などは、親次第で決定されますので、外で元気に遊ぶ場所がない都市部では、より明確に健康状態に差が出てしまうようです。

そのため、成長期のお子さんの眼科疾患では、今回のように、予想外に良くなることがありますが、恐らく逆のパターンもあると思われます。

眼科疾患といえども、やはり全身の健康状態が何よりも大事だということです。

 

鍼灸治療を行う場合にも、ただ目の周囲に鍼を刺して、血流だけ良くしておけば良いのではなく、全身の状態を良くするように施術し、日常の生活指導まですることで、最大限その子の能力を伸ばすことが出来ます。

眼科では行わない栄養指導や運動指導、その他生活指導までトータルで行うことで、出来るだけ目の能力を底上げしておくと、年齢と共に徐々に視機能が損なわれたとして、被害を最小限にすることが出来ると思います。

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鍼灸ひより堂