#
#

ブログ

blog

古傷の捻挫が原因で腰痛になった女性の鍼灸治療例

ダンスを踊っていたら急に腰痛が…

 

<患者>

 

海外在住プロダンサー 30代女性

 

<主訴>

 

急性腰痛 急性股関節痛

 

<経過>

 

ダンスの仕事で来日され、来院の2日前に練習をしていたところ、急に右腰部に痛みを感じたそうです。

当院近くに宿泊していたため、Google検索で最寄りの鍼灸院を探していたところ、当院のHPを見付けて来院されました。

 

<初診時の様子>

 

その日は、週1回来院される患者さまの予約が、17時に入っていました。

すると、予約が入っていない16時半に、インターホンが鳴りました。

「今日は、いつもよりもかなり早い来院だな。」

と思いながら、インターホン越しに挨拶をしてオートロックを解除しました。

エレベータが開いたのを確認して、挨拶に出ていくと、全く見たことのない白人女性が入って来られました。

 

お互いにしばらく見つめ合っていたところ、その方から話しかけられました。

「腰を痛めたのですが、今からみてもらえますか?」(意訳)

次のご予約まで30分しかないため少し悩みましたが、急性であることと、海外の方が、わざわざ日本で鍼灸院を探して来て頂いたことを考えて、施術することにしました。

今回は、iPadのGoogle翻訳が大活躍してくれました。

 

うつ伏せで患部を見せて頂くと、炎症症状は強くないようですが、股関節の周辺と、仙腸関節辺りに気になる筋肉の緊張がありました。

そこで、局所に鍼を刺しながら、周囲の筋肉を緩めました。

うつ伏せの施術をしただけで、動いた時の痛みははかなり改善されたため、次に側臥位(横向き)での施術をさせて頂きました。

 

急性症状ではありましたが、発症後2日経っていましたので、炎症のピークは過ぎていました。そのため、あまり苦労することもなく、その日の練習だけを休むように指示して、1日目の施術を終わりました。

施術完了後、約60%は痛みが無くなったということでした。

急性症状の場合、あまり痛みを追いかけず、100%の効果を求めない方が、治りは早いことが多いと思います。

完璧を求めると、過剰刺激になり、逆に悪化することもあります

 

実は、鍼灸院での初診時に、最も注意することは、不適応疾患(症状)の鑑別です。今回のような腰痛の場合にも、鍼灸院では対応が難しいような整形外科疾患や、悪性の内科疾患から出る痛みの場合は、医師の対診が必要です。

不適応症状の場合には、必ず医療機関で鑑別診断をしてからでないと、鍼灸治療を行うことはしません。

今回の腰痛では、明確な発症原因があったことと、1回目の施術で症状がかなり改善されたことから、鍼灸の適応症状であると判断しました。

 

<2回目の施術>

 

初診の翌日に、2回目のご来院をして頂きました。股関節の痛みは全くなく、仙腸関節部分の痛みのみが少し残っているということでした。

そこで、今回は全体のバランスをとる施術をすることを説明し、うつ伏せの体勢で、昨日よりもじっくりと観察をさせて頂きました。

 

2回目の施術では、たまたま起こった腰痛なのか、腰痛が起こる原因が元々あるのかを調べました。

まず痛みが出ていた右側の、腰から足先にかけてをじっくり観察しました。すると、足首の周辺にびまん性の腫れが出ているのを見付けました。

ハッキリした腫れではないため見逃しがちですが、こうした何となく出る腫れは、慢性的な循環障害を意味しています。

そこで過去に、右足首を捻挫したことがあるかを尋ねると、したことがあるということでした。

捻挫をした後に、しっかりと荷重トレーニングなどを行い、体重の掛け方をリハビリしないと、こうした循環障害が起こります。

足は体重をしっかり載せて動かすことで、溜まった血液を重力に逆らって、心臓に戻すことが出来るからです。

 

次に、うつ伏せのまま、骨盤の働きを調べました。すると仙腸関節の働きが悪くなっていることを確認しました。

仙腸関節が上手く働かない人は、下肢に負荷を掛けた時に骨盤の横揺れが大きくなり、骨盤周辺の筋肉に疲労が溜まりやすくなります。

これも、下肢への荷重不足で出て来る症状です。

 

さらに仰向けになって頂くと、右足の開きが大きく、やはり右足に荷重していない状態が見られました。

プロダンサーという仕事柄、実際には荷重しているのでしょうが、仙腸関節にまで荷重が伝わっておらず、下肢の筋肉で、荷重を吸収する癖が付いているようです。

2回目の施術では、仙腸関節の施術と、下肢全体の循環障害を改善するための施術をしました。

施術後は痛みが全くなくなったため、施術を終了しました。

2回目の来院が土曜日で、月曜の朝帰国ということで、帰国後行うべきリハビリについてのお話もさせて頂きました。

 

<完治のために何をするべきか>

 

今回ご来院して頂いた患者さまは、プロダンサーということで、とてもからだに対する意識の高い方でした。

本国でも定期的にケアをするために、鍼灸や超音波で筋肉の疲労を取る治療を受けていたようです。

ただ筋肉のケアのみであったため、結果的に今回のトラブルに繋がったのだと思われます。

 

女性アスリートとして30代を迎えると、少しずつ怪我や故障が増えてきます。

年齢と共に、筋力の低下や柔軟性の低下は、誰にでも現れるため、それが原因と思われがちですが、少なからず、今回のような、関節機能の異常というものもあるようです。

こうした関節機能異常は、外傷に対する不十分なリハビリが原因で起こりやすく、とても気付きにくいため、起こったケガに対する治療を繰り返すだけになりがちです。

 

今回の女性のように、足首や膝のケガをきっかけに、無意識に足を庇う癖が付いたものに関しては、荷重トレーニングが必須です。

筋力トレーニングだけではなく、荷重をいかに骨盤にかけていくかというバランストレーニングや、仙腸関節に交互に負荷を与える歩行動作の確認などん、専門的なリハビリが必要です。

ただどこでも誰にでも出来るわけではないため、誰にでも出来る一般的なものとしては、スクワットやしっかり歩くことをお勧めしています。

仙腸関節に意識を向け、下肢から腰に掛けて荷重が抜けるようにイメージすることで、徐々に機能異常が改善されます。

古傷にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談下さい。

#

鍼灸ひより堂