眼科領域の鍼による眼科疾患の予防効果について

眼科疾患への注意信号

 

 予期せず眼科疾患を発症した方からすると、いきなり眼科疾患を発症したかのように感じていらっしゃると思いますが、実際にはそうではありません。

 

たまたま受けた会社の健康診断や眼科での検査で判明した人も、そして自覚症状としてふと眼科疾患の症状が表れた方も、実際には眼科疾患が徐々に進行していたのです。

 

もし眼科疾患として発見される前、もしくは眼科疾患に移行する前の段階で発見されていれば、眼科疾患の発症自体を防ぐことが出来たのかもしれません。

 

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実は当院には、眼科疾患に移行する前の段階で来院される方が少なくありません。

 

この段階でしっかりと鍼灸治療を行えば、そのまま症状は進行せず、眼科疾患を予防出来る効果があるのではないかと考えています。

 

 

眼科疾患と強度近視

 

 近視の中でも、強度近視の方は眼球の長軸が長く歪んでいるため、眼底部にストレスが掛かりやすい状態になっています。

 

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強度近視の方は、健康な視力の方に比べて、約2.5倍も緑内障になりやすいという統計があります。

 

また近視性脈絡膜新生血管では、強度近視の方の眼底部に、脆く破れやすい新生血管が出来ることで、出血や瘢痕化を繰り返すこともあります。

 

そのため強度近視の方は、定期的に眼科を受診しながら、常に眼底部に異常が起こっていないかを観察し続ける必要があります。

 

 

眼科疾患と血行障害

 

 それに加えて網膜にある視細胞や視神経は、常に血液から栄養や酸素が供給されないと、簡単に死滅してしまいます。

 

網膜に栄養を送る動脈が閉塞する、網膜中心動脈閉塞症では、動脈の閉塞から1~2時間で網膜の細胞が死滅するとされています。

 

それだけ網膜の視細胞や視神経は、血行障害に対して脆弱なのです。

 

 血流は完全に途絶えていなくても、眼底部の血流が少なくなるだけでも、網膜や視神経に対しては影響が出ることが予想されます。

 

血液は、細胞や組織に必要な酸素や栄養素を運搬する働きをしていますので、血行障害が起こることで組織や細胞が脆弱化しても仕方ありません。

 

例えて言うなら、柱が2~3本足りない状態で、家を建てているようなものでしょうか?

 

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 脆く脆弱な網膜や視神経は、ちょっとしたストレスや環境の変化にも対抗出来ず、剥離(網膜剥離)を起こしたり、変性(黄斑変性症、正常眼圧緑内障)することもあります。

 

 また血行障害を起こしている眼底部では、足りない酸素や栄養素を何とか運ぼうと、新しい血管を作ってしまうことがあります。(脈絡膜新生血管)

 

こうして突貫作業で出来た血管は、脆く破けやすいため、しばしば眼底部に内出血を起こし、更に変性(黄斑変性症)が酷くなることもあります。

 

また長期的に渡って影響が及ぶことで、遺伝的な眼科疾患(網膜色素変性症など)を発病させたり、進行を促進することがあるのではないかと思われます。

 

そのため、眼底部での血行障害は出来るだけ取り除き、常に新鮮な酸素や栄養素が循環するようにしなくてはいけません。

 

 

 鍼灸治療と血液循環

 

 目に通じる血液の循環は、自律神経の働きで調節されています。

 

交感神経が優位になると毛細血管は収縮し血行は悪くなり、副交感神経が優位になると毛細血管は拡張して、血流が盛んになります。

 

そのため、眼底部に新鮮な血液を循環させるためには、副交感神経を優位にする必要があります。

 

 

 鍼灸治療は、皮膚や皮下にあるツボを刺激することで、自律神経に対して働き掛けていると考えられています。

 

鍼灸治療の刺激は、末梢の知覚神経から脊髄を通り、感覚情報の中継地点である視床(ししょう)という場所に入ります。

 

視床に入った情報、視床から脳の様々な部分に投射されます。

 

その一つが、自律神経をコントロールする働きがある、視床下部(ししょうかぶ)という場所です。

 

 

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そのため、特定のツボへの鍼灸刺激は、視床下部に働き掛けることで自律神経を調整し、血管を拡張して血流を増やす働きがあります。

 

 網膜や視神経は 、一度変性したり死滅したりしてしまうと、再生することは基本的にありません

 

ですから、眼科疾患が発病する前の段階でしっかり鍼灸治療を受けて頂くことが大事ですし、もし発病された方の場合には、一刻も早く施術を受けて頂くことが大事です。