正常眼圧緑内障の鍼灸 市内在住 50代女性
患者:市内在住 50代女性
病名:正常眼圧緑内障
症状:視野欠損
経過
眼圧のコントロール自体は出来ているが、視野の欠損が進行している。
特に右側は視野の欠損が進行している。
元々かなり強い近視を持っており、屈曲率が-10.0Dを超え恐らく病的近視の範疇だと思われる。(-6.0D以上は強度近視)
初診
患者さんにご提供頂いた視野検査では、確かに左右共に視野欠損が見られ、特に右側で大きな視野欠損がありました。
黒色が濃いほど見えていない状態で、ややグレーの部分も見えにくい状態の部分です。
右目は半分から上はほぼ見えておらず、それが下側にも広がってきています。
それに対して右側は下側に視野の欠損があり、左右の目で見た時には丁度補正しあって見えていると思われます。
こうして左右の見え方が違うと、お互いに視野をフォローしあう為、発見が遅れることも少なくありません。
また眼圧がそれほど高くないことや、元々強度近視であると視神経乳頭の陥凹部が広いことも、発見が遅れることに繋がる恐れがあります。
その為こうした強度近視の方については、定期的な眼科受診は欠かせません。
鍼灸治療と考察
正常眼圧緑内障に対する鍼灸治療では、眼圧を下げるというよりも眼底部の血液循環を良くすることで、視神経に栄養や酸素を多く運ぶことを目的に行います。
また血液循環が良くなれば、眼底部での新陳代謝で発生した老廃物を除去することも出来ます。
鍼灸治療は活性酸素やドルーゼンなどの老廃物を素早く除去することで、眼科疾患に対して積極的にアプローチ出来る方法です。
実際の施術としては、大きく全身状態を良くするような施術と、局所的に目の周辺部の血液循環にアプローチする施術に分かれます。
どちらも重要な意味を持つ施術ですので、出来る限りこの施術することが望まれます。
この両方の施術で特に全身状態を良くする施術では、東洋医学的な施術が大きな意味を持ちます。
東洋医学的な施術では、その前提として東洋医学的診察や診断が必須になりますので、東洋医学の知識や技術、そして経験が何よりもモノを言います。
四診と呼ばれる東洋医学独特の診断技術を使って患者さんの状態を把握し、西洋医学的な診察や診断では見逃すような体調の変化を発見して治療対象とします。
こちらの患者さんの場合、既に症状の進行が緩やかな状態になっていたため、10日に1回のペースで来院して頂き施術をさせて頂きました。
その後、約8月後施術させて頂いた状況で、再び視野検査を同じ医療機関で受けて頂いたのが次の検査結果です。
これを大きな変化と捉えることが出来るかは難しいところですが、それよりも過去の検査結果と比べてもまずまずの結果だと思います。
鍼灸治療開始1ヶ月前の検査と共に、それまで1年3ヶ月前まで過去4回の視野検査を順に並べて比較してみます。
如何でしょうか?
1年3か月前の検査結果と比べても、悪くなっている様子はありませんし、何なら少し回復傾向にある様子すら伺えます。
ただ理論的には死滅した視神経の細胞は元には戻りませんので、恐らく機能低下をしていた視神経が機能回復したためだと思われます。
これほど進行した方でも、しっかりと管理が出来れば未来への希望が持てるという例でもあります。
今後も2週に1回の頻度で継続加療をする予定です。





