眼科疾患の鍼灸治療では病院を併用すべき?
眼科と鍼灸院を併用するメリット
ご来院される患者さんに聞かれるご質問の中に、「眼科と鍼灸を併用する必要がありますか?」というものがあります。
実際のところ鍼灸治療をする上で、眼科での情報が必ずしも必要かというと、そうではない場合が殆どです。
ただ眼科を併用することで、患者さんにとってメリットになる点もある為、当院では出来るだけ定期的な眼科の受診をお願いしています。
<メリットその1>客観的な診断を受けることが出来る
眼科を受診する最も大きなメリットは、客観的な診断を受けることが出来ることです。
特に画像検査での診断は、患者さんにとって大きな意味を持ちます。
こうした画像での診断は、鍼灸治療を受けて頂いたことでの治療効果を判定する際にも、重要な意味を持ちます。
例えば網膜系の疾患であれば、眼底撮影や断層撮影を受けて頂くことで、鍼灸治療でどのような変化が起こっているかをリアルタイムで知ることが出来ます。
また眼底部の浮腫や出血、新生血管、網膜剥離、視神経や網膜の炎症状態などを、的確に診断するためには、眼科での受診は欠かせません。
何よりも、新たな眼科疾患の発病を予測するために、眼科の受診はとても重要です。
強度近視の方などは、定期的に画像診断を受けることで、網膜剥離や緑内障の発病を予測することが出来ます。
<メリットその2>鍼灸師の暴走を止めることが出来る
眼科疾患を専門的に治療する鍼灸師は、眼科では「治療法が無い」と言われた眼科疾患の患者さんをみる機会が、どうしても多くなります。
そのため鍼灸院に来院される方は、鍼灸治療に対して、とても強い期待感や不安感を持って来院されています。
「何とか効果が出て欲しい…。」「鍼灸治療なんて大丈夫だろうか…。」
といった思いは、痛い程私たち鍼灸師には伝わってきます。
すると鍼灸師としては、「そこまでの思いで来院されているのだから。」と、ついつい過剰に気持ちを入れ込みがちです。
これが間違った形で出てしまうと、自分の手には負えない治療を引き受けたり、過剰な期待をさせる様なことを口走ったしてしまいます。
そうした時に第三者である専門家の一言は、患者、鍼灸師の両者を冷静にしてくれることがあります。
鍼灸治療は時として、西洋医学ではあり得ない奇跡的な効果を挙げることもありますが、これは一見奇跡的に見えても、実はごく当たり前のことが起こっているに過ぎません。
眼底部の浮腫が無くなったり、新生血管が消えたり、眼球突出が軽減したり、視野や視力が良くなるのも、当たり前のことが起こった結果なのです。
その一方で、死滅した視細胞や視神経が元に戻ることは、普通にはあり得ません。
ただ一部では、こうしたトンデモ医学を語る鍼灸師がいることも事実ですので、こうした鍼灸師の暴走を止めるためにも、定期的な医師の診察はとても大事だと思います。