眼精疲労と片頭痛
眼精疲労とは
眼精疲労は、単なる目の疲れである眼疲労に比べて、眼痛や頭痛、肩こり、吐き気などの身体症状が強く、治療を必要とする眼の症状を言います。
そのため眼精疲労による症状はとても範囲が広く、単純に眼科で治療を受けるというわけにはいきません。
片頭痛もまた眼精疲労から起こりやすく、頭痛外来での対応となるものの、眼精疲労を無くさなくては完治はしません。
では眼精疲労からの片頭痛に苦しむ方は、どのような治療を受ければ良いのでしょうか?
眼精疲労の症状と原因
眼精疲労は文字通り、目を酷使することで現れる症状です。
主なものとして、目に関する症状、体に関する症状があります。
眼に出てくる症状は、目を長時間使うことで、知覚神経である眼神経を刺激することで起こりやすくなります。
先ず眼を長時間酷使すると、徐々にまばたきの量が減ることで、目の表面が乾燥するようになります。
そして眼の表面の乾きは角膜を刺激し、知覚神経である眼神経を刺激し、その刺激は脳に伝えられます。
眼の渇きが脳に伝えられると、その乾きを癒すために涙が分泌され、目の表面の乾きは解消されます。
ところがこうした目の酷使が長期間に及ぶと、眼神経から脳に及ぶ一連の反応に、乱れが生じることがあります。
眼神経からの反応が過剰に生じると、眼神経や受容器は過敏反応を示すことで、常に目の違和感や痛みを感じるようになり、涙がずっと流れるようになります。
逆に反応が鈍くなると、常に目の表面は乾燥気味(ドライアイ)になり、やがて粘膜はただれてしまい、角膜も少しずつ傷付いてしまいます。
<ドライアイと鍼灸治療の項目を参照>
眼神経と片頭痛
眼神経は、脳神経の一種である三叉(さんさ)神経から枝分かれした神経の一つです。
そして眼神経の支配している部分を知ると、眼精疲労による症状が理解出来ます。
眼神経は三叉神経から枝分かれした後、大きく3つに枝分かれします。
これらの枝分かれした神経が、それぞれ支配する領域で様々な症状を引き起こし、その一つが片頭痛を引き起こしているということになります。
眼神経から枝分かれした一部の枝は、頭蓋内で枝分かれして、小脳テントや大脳鎌というに分布します。
そのため三叉神経の他の硬膜枝や迷走神経の硬膜枝などとともに、眼神経が片頭痛の原因なるといわれています。
また眼精疲労は、視機能の低下によっても起こりやすくなり、見えにくいことで心理的にストレスが溜まり、自律神経の乱れや自覚症状の装飾などが起こるようです。
そこで眼精疲労を強く感じるようになると、今までに感じていた様々な不快な症状を、更に強く感じるようになります。
メガネの矯正不良も原因
メガネやコンタクトの矯正不良は、多くの症状の原因になります。
特に乱視や複視を矯正していなかったり、過矯正になっている方では、しばしば強い眼精疲労が見られます。
<当院症例:コンタクトの過矯正で頭痛? 大阪市在住 40代女性>
特に定期的に眼科を受診せずに、メガネやコンタクトを購入している方は注意が必要です。
眼の健康状態は、眼科疾患を持たない方でも、年齢や使用環境によって大きく変化します。
そのため目を使うお仕事の方や近視の方は、定期的に経過を見て頂くことをお勧めしています。
特に急激に視力が低下してきた方や、眼精疲労を強く感じる方は、ぜひ一度眼科を受診して下さい。
目の疲れと歯の食いしばりと頭痛
眼精疲労を抱えている方の中には、こめかみや側頭部の凝り感を訴える方が多くいらっしゃいます。
こめかみには太陽という経穴があり、眼精疲労解消のツボとして有名です。
また太陽穴には、眼精疲労の症状が出やすいのですが、この太陽穴周辺には側頭筋と言う筋肉があり、あごを噛みしめる働きをしています。
そのため、無意識に噛みしめる癖や歯ぎしりをする癖があると、知らない内に側頭筋が強張ってしまい、側頭部に強い凝り感を感じることがあります。
眼精疲労による太陽穴の凝りや痛みを感じる場合には、眼神経を刺激することで片頭痛になることもありますし、歯ぎしりにより太陽穴に凝りが出る場合には、緊張性頭痛になることがあります。
両者は似て非なるものですが、両方を兼ねていることもあるため、こうした見分けや治療は、鍼灸師の腕に見せどころと言うことが言えます。
眼精疲労と片頭痛を同時に治療
眼精疲労と片頭痛が同じような状況で出てきている場合には、基本的に同時に解消することが出来ます。
勿論、眼精疲労と緊張性頭痛が同時に出ている場合にも、原因が同じであれば同時に解消出来るはずです。
あなたがその条件に当てはまるかどうかは、眼精疲労や頭痛が起こっている条件や、体に現れる兆候で判断が出来ます。
鍼灸治療の方法としては、原因に対する鍼灸治療と、症状に対する鍼灸治療をそれぞれ行うことになります。
両方同時に出ている場合には、主症状を先に取りながら、根本治療を進めていきます。
片頭痛と緊張性頭痛は、共通点もありながら、全く反対の反応を示すこともあるため、しっかりとした問診も必要になります。
ただ両方の頭痛、そして眼精疲労の治療も、自律神経のバランスを整えることが重要になります。
鍼灸治療は、自律神経のバランスを調整する働きがあるため、一方的に交感神経や副交感神経を高める物理療法(ホットパック、アイスパック、入浴、マッサージなど)に比べて安全かつ効果的です。
<眼神経にアプローチ>