精神的ストレスによる複視とは
精神的ストレスによる複視は適応
複視は一つだけある物が二つ以上に見えることです。
その中でも両目で見た時だけ複視に見える両眼複視の一部が、鍼灸治療の適応であると考えられています。
当院にご来院される方もこの両眼複視の方で、その中でも表題にあるような精神的ストレスによる複視だと思われる方が多いように感じます。
ではなぜ精神的ストレスにより複視になり、なぜ鍼灸治療で良くなるのでしょうか?
精神的ストレスと複視
両眼複視は、眼球を動かすための外眼筋と呼ばれる6種類の筋肉が左右共同して働かない為に起こります。
6種類の筋肉を3つの神経でコントロールするのですが、この神経の働きで左右差があると筋肉の制御が乱れてしまい複視が出てしまいます。
どの神経がどの程度麻痺を起こすかで障害の出方や程度が変化します。
当院に比較的よくご来院されるのは外転神経麻痺ですが、外転神経麻痺の場合には外転筋が働かない為、遠くを見たときに焦点が合わなくなります。
こうした神経機能が低下する原因として多いのは、神経に栄養や酸素を供給する血管の循環障害です。
血管の循環障害が起こる原因は、高コレステロール血症などによる動脈硬化や糖尿病などがありますが、それ以外で特に注目しているのが精神的ストレスの存在です。
人は精神的ストレスを感じると、交感神経が緊張し毛細血管が収縮するだけでなく、血液はドロドロと固まりやすくなります。
それらにより細い血管は循環障害を起こし、神経機能が低下することで外眼筋の麻痺が起こっていると考えられます。
精神的ストレスによる複視複視に対する鍼灸治療
この複視に対する治療としては、理想的には根源であるストレスに対する治療が良いのでしょうが、実際にはストレスに対する積極的治療というのは難しいことが多いようです。
それはストレスの原因が多様であったり、既に過去のことであって変えようがないためであったりと理由は様々です。
また一度発病した複視に対しては、原因であるストレスを緩和したところで症状は改善しません。
一度生じた複視に対しては、先ずストレスの結果生じた循環障害を改善することが大切なのです。
そのため鍼灸治療では、外眼筋の支配神経である栄養血管に対して働きかけることを第一目標とします。
その結果として見られることは、循環障害を起こしてからの時間が短ければ数日以内で症状が改善し、数か月以内であれば1~2か月で症状が改善するようになるということです。
その後で大事になることが、原因になった精神的ストレスに対する対策です。
ただ精神的ストレスが原因と思われる場合でも、実際にその原因に自覚があることは多くありません。
そのため原因対策としてのストレス対策は、定期的なリラックスをもたらすような習慣作りや、定期的な鍼灸治療の受診などになるかもしれません。
鍼灸治療は定期的なストレス対策としても有効だからです。