大阪日本橋 
眼病の鍼灸
鍼灸ひより堂

大阪日本橋の鍼灸ひより堂です。
当院では現代医学では治療法がないと言われてしまった眼科疾患に対して、鍼灸治療によるアプローチをしております。
来院される患者さまの約95%は眼科疾患や眼科症状にお悩みの方々です。
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妊娠のための鍼灸 府外在住 30代後半女性の症例

出来るだけ自然に赤ちゃんを授かりたい

 

患者:府外在住 30代後半 女性

主訴:不妊 不正出血 鉄欠乏性貧血

 

来院まで

 

 タイミング法を自分で試みながら2年以上経ったが妊娠に至らない為、知人の紹介で当院を知り来院。

自分なりに妊活を重ね、生活の改善を行いながら、たまに婦人科での卵胞チェックを受けているが、主としては排卵検査薬で排卵を予測しながら、月に1回のみタイミングのみを続けていた。

気がかりなのは、不摂生を続けてきたせいか、不正出血を繰り返していたことがあり、鍼灸治療で根本的な体質改善をしたいと思い立ち来院した。

 

初回カウンセリング

 

・婦人科の簡易検査では男女ともに問題なし

・卵胞チェックでは排卵を確認しているが、検査薬とはズレが生じている

・やや肥満傾向で運動が苦手

・以前は趣味を深夜(朝方)までしていた(現在は改善)

・タイミングは排卵予定日の2~3日前に設定している

・鉄欠乏性貧血はサプリメントで今は改善

 

初診

 

 上半身のコリがとても酷く、背中や腰の皮膚が色素沈着により色が悪い状態でした。

これは血行障害が強いことを表しており、相対的に上実下虚の状態を表していると思われました。

患者Q.png

一見同じような皮膚の色の悪さも、この方の様に上半身と下半身では少し様子が違います。

 

 また仰向けの状態では、心窩部が腫れぼったく膨れた状態で、逆に下腹部には力が無く凹んだ状態でした。

これもうつ伏せの時と同じように、いわゆる上実下虚を表します。

患者Q2.png

 脈診上では腎虚を表しており、妊娠がしにくい状態が予想出来ました。

また脈診上でも上実下虚が観察され、ある意味ではとても分かりやすい状態とも言えます。

 

 ホルモン検査ではFSHの上昇が見られないものの、ややFSHとLHの逆転現象が見られるため、多嚢胞性卵巣症候群の傾向も認められました。

ただ内診での排卵確認が出来ていることから、完全な多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)ではなく多嚢胞性形態という状態であると思われます。

つまりごく軽い多嚢胞性卵巣症候群の傾向ということです。

 

 この患者さんは精神的に過敏傾向があり、色々なことにストレスを感じてしまうようです。

お仕事もその一つで、長年同じ仕事を続けていましたが、常に強いストレスを感じてしまうそうです。

また多嚢胞性卵巣症候群の傾向がある方は、抑うつ傾向があることが知られています。

肥満傾向も多嚢胞性卵巣症候群の原因になりますし、小さな原因が沢山集まって、数値化されない不妊化傾向になっていると思われました。

 

その他生活指導

 

 上で書いたように、小さな原因が沢山集まることで、一つ一つはどうといったことがない原因でも、不妊傾向が強まることがあります。

先ずは原因の一つ一つの要素を減らしていくことが大事ですので、幾つかの目標に関してはご本人の努力に委ねました。

 

・適切な食事による体重管理(インスリン分泌を制限)

 

 インスリン分泌が多いと、多嚢胞性卵巣症候群の原因になりますので、雑穀米や五分づきの米を使用。

甘いものを食べ過ぎないように指導。(特に炭酸飲料・清涼飲料など)

 

・規則正しい就寝や起床

 

 ストレスを感じ過ぎないように、程ほどの趣味の時間を確保しながらも、徹夜するほどはしないように制限。

 

・ストレスを緩和するための定期的な運動(散歩程度)

 

 運動は必要ですが、一定のペースを守ってできるようなものを選択し、激し過ぎないように指導。

 

必要な検査を追加

 

 また必要でありながら、未だ受けていなかった検査や、前回から時間が経っている検査も受けて頂きました。

 

・AMH

・FSH/LH/P4(生理2日目)

・卵管造影

・排卵確認

 

 こうした検査では、前回と同様に多嚢胞性卵巣形態が疑われましたが、やはり排卵自体には問題がないようでした。

ただ不正出血があったため、体調が良いとは言えない状態でした。

 

鍼灸治療

 

 鍼灸治療の目的としては、多嚢胞性卵巣症候群の傾向がある方は、血が固まりやすい血液凝固異常が出やすいため、東洋医学的な瘀血に対する処置が必要だと考えました。

これはその他の東洋医学的診察でも同様の結果がありましたので、瘀血の原因になっている気鬱(気滞)を取り除きながら、血液を循環させる目的で施術しました。

 

 またこうした東洋医学的な本治法(根本治療)とは別に、首肩の強い凝りや足の冷えに対しても局所的な施術を加えました。

治療不妊.png

 

 施術は週1~2回の頻度で行い、8回目の施術後に連絡があり、陽性反応が確認されたそうです。

 

考察

 

 病院での検査で異常がない場合、決定的な治療法手段がないため、ステップアップによって人工授精⇒体外受精⇒顕微授精となることが殆どです。

ただその上で効果が得られない場合も多く、得てしてそうした場合には、心身が疲れてしまうことで不妊傾向がより強まります。

 

 そのため比較的早い時期から鍼灸治療などを利用して頂くことで、不妊治療によるストレスを最小限に抑えることが出来るかもしれません。

高度不妊治療は素晴らしい治療ですが、上手く利用しながら、鍼灸治療も利用することが出来れば、その効果もより高まると思われます。

 

 西洋医学では客観的に体の異常を見付けることが出来ますし、器質的な不妊の問題に関しては、高度医療に頼らざるを得ません。

ただ西洋医学では、数値化や可視化されなかった不妊の原因は基本的にスルーすることになります。

 

 一方東洋医学では、患者が日々感じる体調不良や、患者自身も気付いていない体調不良を、東洋医学的診察であぶり出すことが出来ます。

その反面、結果が鍼灸師の技術や知識に大きく左右されるため、再現性に乏しく客観的に判断しにくいという弱点があります。

 

 そのため西洋医学的な治療と東洋医学的な治療を併用した妊活は、お互いの長所を高め合い、短所を補い合う存在になると思います。

今までの不妊治療や妊活に行き詰まってしまった時には、専門家による鍼灸治療を受けて見るというのが、一つの突破口になると私は考えています。

2024.03.29 Friday