強度近視から起こる眼精疲労や眼痛を軽減する鍼
強度近視は高リスク
近視はレベルによって「弱度近視」「中等度近視」「強度近視」のに分かれます。
近視の度合いを分けるのは、裸眼の視力ではなく屈折度数(D、ディオプター)で、-6.25D以上の状態だと強度近視に分類されます。
また、中等度近視は-3.25D以上-6.00D以下、弱度近視は-0.50D以上-3.00D以下となっています。
これは、普段視力として表される0.8とか1.5というものとは単位が違いますので、ご注意下さい。
さて、ではなぜ強度近視の方は、高リスクなのでしょうか?
近視の原因には、角膜の屈折率が大きいことによる近視と、眼球の長軸が長いため起こる近視があります。
強度近視の場合には、上にある様に屈折度も高いのですが、眼球の長軸(軸長)も長い人(軸性近視)が殆どです。
両方の要素が重なることで、より近視傾向が強まっています。
眼球の軸長が長いと、常に眼球が引っ張られたような状態になり、眼球の内側に張り付くようにして存在する網膜にも、大きな物理的な負荷が掛かります。
そのため、眼球の奥に存在する網膜が剥がれ(網膜剥離)たり、脈絡膜で炎症や血行障害が起こったり、眼球内の循環が悪くなることで眼圧が上がると、緑内障が起こりやすくなります。
強度近視の方は偏頭痛になりやすい
強度近視を持つ方は、常に網膜や視神経に負荷が掛かる為、眼球の知覚を支配する神経が刺激され続けます。
この知覚神経を眼神経と言います。※視覚情報を伝えるのは視神経です。
眼神経は、三叉神経という神経が枝分かれした神経です。
三叉神経は、眼神経以外にも2本枝分かれしており、それぞれ上顎神経と下顎神経と言います。
文字通り、上あごの知覚神経と下あごの知覚神経だということです。
この三叉神経は脳神経の一種で、脳から直接出ている神経の一つです。
三叉神経が刺激されると、その情報をきっかけにして、脳の血管や神経に炎症を持つことで、激しい頭痛が起こることがあります。
これを偏頭痛と言います。
強度近視の方は、持続的に網膜や視神経に物理的ストレスが掛かっているため、眼神経を刺激されています。
知覚神経は持続的に刺激されると知覚過敏を起こすようになり、ちょっとしたきっかけで痛みや不快感を感じるようになります。
こうした痛みがきっかけで、三叉神経全体が刺激されたようになり、三叉神経痛が起こることもあります。
すると三叉神経が支配する目、上あご(上側の歯・歯茎)側頭部、下あご(下側の歯・歯茎)にも痛みが広がり、どこが痛いのかすら分からないようにもなってしまいます。
強度近視の方に対する鍼灸治療
鍼灸治療は、知覚過敏を起こしている眼神経の働きを鎮め、本来の機能を取り戻すきっかけを作ります。
また眼球内の循環障害を改善することで、不快症状の原因を取り除き、根本的な問題解決を目指します。
眼精疲労や強度近視は、それ自体は病気ではない為、眼科では積極的な治療対象にはなりません。
ところが、循環障害や不快症状をそのままにしておくと、症状はより深刻になることがありますし、新たな眼科疾患に繋がることもあります。
実際のところ、西洋医学的にも、強度近視の方は、緑内障を始めとして色々な眼科疾患になりやすい状態だと考えられています。
鍼灸治療は、こうした強度近視によって発生する問題点を、極力少なくするような施術です。
少なくとも、副作用を気にすることがありませんので、定期的に受けて頂くことで、不快な症状を無くし、眼科疾患の予防に役立つはずです。
こうした鍼灸治療は、目的により施術の頻度が違いますので、目的に合わせて頻度を選んでご来院下さい。