入門書やHPで勉強する専門家たち
鍼灸治療を始めとして、医学分野の臨床においては、臨床経験をしっかり積んでいるのといないのとでは、天と地ほどの差があります。
適切な臨床経験を積んでいて、尚且つ日々の臨床結果をしっかり把握・検討し、次回の治療に活かしている人間でないと、臨床の場では正確な判断をすることは出来ません。
そういう意味では、新型コロナ騒動でメディアを賑わせる自称専門家たちの中には、本当の意味での専門家は殆どいないのかもしれません。
他分野の人たちのことは置いておいたとしても、私たち鍼灸師の間でも同様の問題は日々起こっています。
例えば当院では、専門的分野として眼科疾患の鍼灸治療を行っています。
これは日々来院される眼科疾患の方に対して、過去の臨床経験から治療指針を立て、またそれに対する検証を日々しているから自称しているわけです。
ところが残念ながら、全ての鍼灸院がそうして施術をしているわけでは無さそうです。
それは何故かと言うと、当院に来院される患者さんからのお話を聞く限り、どうも全く臨床経験が無いにも関わらず、眼科疾患を対象として掲げている鍼灸院が、少なからずあるようだからです。
非常に残念なことですが、現在の鍼灸院探しは、ほとんどがGoogle検索や検索サイトから行われます。
そこでは十分な検証がされないまま、自称専門家が広告としてHPが掲載されます。
特に最近のGoogle検索では、独自の基準で自称専門家たちが上位に示されるようになっています。
見る人が見ると一目でわかるような、病院や他のHPを丸写ししたような内容や、過剰に装飾された臨床例なども、専門家以外の目には奇跡の治療院に映るかもしれません。
一般向けの入門書や、他院の臨床報告で知った知識だけで治療をする治療院が、本当に眼科疾患に悩む人のことを救うことが出来るのでしょうか…。