レーシック手術後の視力低下
レーシック手術は魔法の手術ではない
レーシック手術は、2000年代前半に普及した近視矯正の手術です。
2008年には約45万件もの手術数を記録していますが、その後急激に手術数は減少し、2016年には5万件ほどになってしまいました。
これは不衛生な環境下で手術を行ない、多くの感染症患者を生み出した某クリニックに対する集団訴訟が最も大きな原因だと思います。
またそれ以外にも、レーシックに伴うドライアイや眼精疲労などの後遺症に苦しむ方が一定数出ることや、その情報が大きく取り扱われたことも理由かもしれません。
レーシック手術は、手術直後は高い視力矯正効果がありますが、時間の経過と共に、徐々にその効果が薄れることがあります。
レーシック手術では、目の表面にある角膜を薄く削ることで光の屈折力を調整しますが、軸性近視を伴う強度近視の方や乱視の方では、特に視力の戻りが発生します。
軸性近視の方の眼球は、眼球軸が長く常に眼球内に張力が働くため、網膜に負荷が掛かることは有名ですが、レーシック手術によって薄くなった角膜にも同様の張力が働きます。
その結果、手術後の角膜の状態を維持出来ず、徐々に変形することによって視力の戻りが発生します。
また視力が手術前に戻った方の中には、眼鏡やコンタクトレンズでは視力が出なくなる方もいらっしゃいます。
特に網膜の視細胞や視神経の健康度が低い方は、その他あらゆる視力の矯正が無効になりますので、レーシック手術の効果は全くなくなってしまいます。
網膜や視細胞の健康度を高めることが大事
現段階では、網膜の視細胞やも視神経の健康度を高める明確な方法は発見されていません。
ただ健康度を高める要素として重要なことだけは分かっています。
その一つが、網膜や視神経周辺の循環状態を改善することです。
循環状態を改善すると、視細胞や神経細胞に必要な酸素や栄養素が効率よく運ばれるため、細胞の健康度が高まります。
また細胞が新陳代謝で生み出した老廃物なども、速やかに運び出されるため、細胞の健康度が高まると思われます。
細胞活動で生み出された活性酸素などの酸化物質は、健康な細胞内では自然に抗酸化作用により取り除かれます。
ところが循環不良などが発生すると、そうした老廃物が取り除かれず、細胞の遺伝子を傷付けることがあります。
こうした悪循環を防ぐためにも、視細胞や視神経の周辺は循環状態を常に良くしておく必要があります。
循環状態を良くするには鍼灸治療
鍼灸治療は、古くから眼科疾患の治療として広く用いられてきました。
鍼灸の古典書の中には、緑内障や網膜色素変性症を思わせる書状に対して、鍼灸治療を重なってきたことが分かるものがあります。
そうした古典書を見てみると、現代の眼科鍼灸治療に通じる治療方針が多く、非常に臨床的な内容であることが分かります。
当然、レーシック手術というものはありませんから、手術後の症状に対する治療は存在しません。
ところが、先ほど書いたような目の健康度を高めるという概念は、結果的に古典鍼灸にも通じるところがあるように思います。
そのため、レーシック手術後に現れる視力低下の内、他の改善方法がない、網膜や視神経の健康度低下による視力低下には、鍼灸治療が一つの選択肢になると思います。
レーシック手術後の視力低下にお悩みなら、是非一度ご相談下さい。