気になるまぶたのピクピクやけいれん【眼瞼ミオキミアと鍼灸治療】
眼瞼ミオキミアと眼瞼痙攣(けいれん)は違うもの
眼瞼ミオキミアは瞼(まぶた)の周辺部の筋肉がピクピクと収縮するもので、その様子から眼瞼痙攣(けいれん)と間違われがちですが、その病態はかなり違います。
眼瞼ミオキミアは目に見えるような筋収縮が見られ、比較的短期間で治る傾向があるのに対して、眼瞼痙攣は筋肉が強く収縮したままになり、一見すると目を閉じているように見えます。
そのため眼瞼ミオキミアでは本人すら気付かないこともありますが、眼瞼痙攣では目が開けにくくなるため、自覚症状は明確に分かります。
また眼瞼痙攣はかなり難治性で、羞明(光がまぶしい)やドライアイなどの複数の症状を呈することが多いようです。
とは言っても、眼瞼ミオキミアは他覚的にはよく分かりますので、一旦自分で眼瞼ミオキミアを確認してしまうと、他人からの見た目が非常に気になるようになります。
特に女性は日々の生活の中で鏡を見る機会が多いため、ご来院される患者さんのほぼ100%は女性の方です。
また女性は男性に比べて人からの見た目を気にする傾向があるため、より悩みは深くなるようです。
眼瞼ミオキミアの原因
眼瞼ミオキミアを起こる原因としては幾つかありますが、特に大きな原因として二つあります。
一つ目はPCやスマホなどを長時間使用することでの眼精疲労で、もう一つは精神的なストレスが原因となります。
順にご説明させて頂きます。
1.眼精疲労と眼瞼ミオキミア
長時間のPCやスマホなどのVDT作業は、無意識に瞬きの回数を減らしてしまいます。
すると目の表面にある角膜の乾燥状態を招き、角膜の知覚を支配する眼神経を刺激するようになります。
眼神経は目の表面だけではなく、まぶたや目の奥、視神経の周辺の知覚刺激を受け取る役割もしています。
角膜の刺激により敏感になった眼神経は、その他の支配領域においても知覚過敏のような状態を起こすことで、目全体の眼精疲労を感じるようになります。
角膜の知覚を支配する眼神経が知覚過敏の状態になると、瞬きを頻繁に繰り返すようになったり、まぶたの周囲の筋肉が細かく収縮する眼瞼ミオキミアの症状を起こすようになります。
2.ストレスと眼瞼ミオキミア
軽い眼瞼ミオキミアの場合には放っておいても自然に無くなることが多いか、眼精疲労の原因である目を休めると治まることが多いのですが、少し重症になると自然治癒が難しくなってきます。
また眼精疲労の原因がお仕事の場合には、眼瞼ミオキミアを理由に休業するわけにはいかないため、仕事を続けながらとなると何らかの対処が必要になります。
眼瞼ミオキミアの原因であるドライアイには、物理的な瞬きの減少という理由以外にも、ストレスとの関係が示唆されています。
その一つが、脳に大きなストレスがかかると脳内物質(BDNF)が上手く分泌されないようになり、その結果ドライアイになりやすくなると言うものです。
こうした研究は世界中で行われており、人口の涙である点眼薬以外にも、ストレスに対するアプローチでドライアイを改善する研究も行われています。
【Enriched environment alleviates stress-induced dry-eye through the BDNF axis】
上の研究では、ラットに対するストレスの増減でドライアイになる仕組みを調べています。
様々なストレスが原因で起こるドライアイに対しては、点眼薬だけでは改善が難しいため、眼瞼ミオキミアはより頑固になっていきます。
また脳に対するストレスは、最初に分類して考えた眼瞼痙攣の原因にもなるため、比較的治りやすい眼瞼ミオキミアから、より治り難い眼瞼痙攣に移行することもあります。
眼瞼ミオキミアの鍼灸治療
眼瞼ミオキミアの鍼灸治療では、主に眼精疲労に対する鍼灸治療と、ドライアイの原因となる涙の分泌に対して自律神経系への鍼灸治療、そして精神的なストレスに対する鍼灸治療を同時に行います。
眼精疲労に対する鍼灸治療は主に目の周辺部に対する施術が主になります、自律神経系に対する施術は全身に渡りますが、主に手足のツボを利用することが多くなります。
最後に精神的なストレスに対する施術も、手足のツボや背部、頭頚部に対する施術が多くなりますので、結果的には全身治療を行うことにな
<治療例>
眼瞼ミオキミアの段階で鍼灸治療を開始すると、治療期間はそれほど長くはかかりません。
多くは2~3か月以内で明確に変化しますので、出来るだけ早い段階で鍼灸治療を開始することが、目のピクピクを治す秘訣と言えます。
まぶたのピクピクが気になっている方は、重症化する前に鍼灸治療を受けてみて下さい。