大阪日本橋 
眼病の鍼灸
鍼灸ひより堂

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ストレスと不妊傾向

ストレスは妊活に禁物とは言うけれど

 

 ストレスが妊活に悪そうなことはイメージとしては分かっていても、なぜ悪いのかは案外知らない方が多いようです。

またストレスが妊活に悪いと言っても、どの程度のストレスであれば問題があって、どの程度なら問題ないのかも、知らない人が殆どです。

そこで、西洋医学と東洋医学の知識を応用して、なぜストレスが妊活に悪いのか、自分のストレス度合いはどの程度なのかを知り、妊活に活かしてみましょう。

 

1.ストレスとコルチゾール

 

 ストレスを感じると人間(動物)の脳からは、ストレスに対抗するために様々なホルモンが分泌されます。

その一つが、副腎に対して働きかける副腎皮質刺激ホルモンです。

すると副腎からは、コルチゾールというホルモンが分泌されます。

 

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 このコルチゾールとは、いわゆる副腎皮質ステロイドのことで、強い抗炎症作用と共に、免疫抑制などの働きがあります。

コルチゾールにはそれ以外にも様々な働きがありますが、コルチゾールは短期的な分泌と長期的な分泌では、少し働きが違います。

 

 ストレスが短期的であれば、フィードバック的にコルチゾールの分泌に制限が掛かることで、脳から分泌されるGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)の分泌が多くなります。

GnRHは、FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)の分泌を命令するホルモンです。

そのため一時的なコルチゾール分泌は、結果的に妊娠に関係するホルモンを増やすことに繋がり、妊活にとって優位に働く可能性があります。

 

その一方で、長期的なストレスではコルチゾール分泌が持続的に増えることで、GnRH分泌が制限されてしまいます。

その結果、男性では乏精子症や性欲減退が、女性では生理不順や卵胞の成長が遅れるなどの症状が現れます。

 

2.ストレスと高プロラクチン血症

 

 ストレスを感じると人間(動物)の脳からは、甲状腺の働きを促進するためのホルモン(TRH、TSH)が分泌されます。

甲状腺は新陳代謝を司るホルモンですから、新陳代謝を高めることでストレスに対抗するわけです。

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このTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモンには、プロラクチンというホルモンを分泌する働きがあります。

プロラクチンは、乳汁分泌ホルモンとも呼ばれるホルモンで、排卵を抑制する働きがあります。

そのためストレスによりTRHが分泌されると、結果的に高プロラクチン血症となり、排卵が抑制されることがあります。

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 またTRHやTSHが持続的に分泌され続けることで疲弊してしまうと、甲状腺機能に異常を来たすことがあります。

甲状腺機能は、低下しても更新しても不妊傾向が強まるため、甲状腺機能と妊娠には強い関係がありそうです。

実際に不妊治療で来院される方の中にも、甲状腺機能低下症の方は多くみられます。

 

 更に高プロラクチン血症と関連が深いのが、ドーパミンというホルモンです。

ドーパミンは、精神的ストレスを感じることで分泌され、前向き感を作るホルモンとして知られています。

ストレスを感じることでドーパミンは分泌されますが、ストレスが長期的になると、やがてドーパミンの分泌は疲弊して減少しまいます。

長期的ストレスによりドーパミンの分泌量が減ると、前向き感が作れないことから、抑うつ状態になりやすく、うつ病の原因にもなります。

またドーパミンは、プロラクチンを抑制する働きがあるため、ドーパミンの分泌が減ることでプロラクチンが増え、高プロラクチン血症となってしまいます。

その結果、排卵が抑制されてしまい、妊娠しにくくなるというわけです。

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3.ストレスと自律神経

 

 自律神経系は、全身を自動的に調整してくれるとても便利な神経の働きです。

呼吸や心拍、血流などを調整する働きがあり、人間が健康に生きていくためには欠かせない働きなのです。

この自律神経系は、ストレスの影響を非常に受けやすいことでも知られています。

 

 自律神経には大きく分けて交感神経と副交感神経の2種類がありますが、お互いに拮抗的に働くことで、シーソーのような働き方をしています。

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交感神経が働くと副交感神経は制限され、副交感神経が働けば交感神経が制限されます。

必要な時に必要な側が働くことで、全身をバランスよく調整しているのです。

 

 ところが慢性的にストレスを感じている方は、交感神経が優位になっていることが多く、交感神経の働きが強く出てしまいます。

交感神経が働くと、毛細血管を収縮させることで、末梢の血流が悪くなってしまいます。

また血液を凝固しやすい状態にすることで、血栓が作りやすい状態にもなります。

 

卵巣内の毛細血管の血流が悪くなると、卵胞が育ちにくくなり、質のいい卵が育ちません。

また胎盤の血流が悪くなると、流産や早産の原因にもなります。

そのため、状況に応じて自律神経が働かず、交感神経が持続的に優位になってしまうと、不妊や不育傾向が出てしまうのです。

 

妊活時のストレスと鍼灸

 

 様々な臨床研究の結果、鍼灸治療には、視床下部でのホルモン分泌を調整する作用と、ホルモン受容体の感受性を高める作用があるようです。

そのため妊活時に鍼灸治療を受けて頂くと、ホルモン分泌を整えることで、妊娠しやすく流産しにくい体を作る働きがあります。

 

 また長期的ストレスにより増えたコルチゾールを減らしたり、同じく長期的ストレスにより減ったドーパミンを増やす働きがあることから、生理周期を整える働きもあります。

通常では投薬が必要な排卵障害や生理不順を、投薬なしで改善することも出来ますし、投薬と併用することで薬の効きを良くする作用もあります。

そのため西洋医学との相性も良く、西洋医学的な不妊治療だけでは効果のなかった不妊に対してでも、鍼灸治療を併用することで効果が挙がることもあります。

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 更に鍼灸治療を受けることで自律神経が正常化すると、休息時に副交感神経を働かせることが出来るため、卵巣や精巣の血流は回復し、卵子や精子の成長が促されます。

投薬を使用しても育たない卵胞が育つようになったり、精子の数や運動率が改善されることで、妊娠しやすい状態になります。

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<まとめ>

 

・長期的ストレスによりコルチゾールが大量に分泌される。

・大量のコルチゾールは不妊の原因になる。

・長期的ストレスは甲状腺機能に異常を招く。

・甲状腺機能異常は不妊の原因になる。

・長期的ストレスによりドーパミンの分泌が減る。

・ドーパミンが減ると高プロラクチン血症が起こりやすい。

・長期的ストレスは自律神経を乱す原因になる。

・交感神経優位になると不妊傾向が強まる。

・鍼灸治療は妊娠しやすく流産しにくい体を作る。

 

2024.04.24 Wednesday