年齢と妊活・不妊治療の気になる関係とは【ステップアップ・転院・諦める時】
正しい現状把握から始まります
妊活や不妊治療は、年齢が高くなると共に選択肢が狭まり、適切な選択が必要になってきます。
あなたにとって必要な妊活は何であるのか、必要な医療補助は何であるのかを知ることで、ステップアップや転院、そして最終的に妊活や不妊治療を継続するべきかどうかが、正しく判断出来るようになります。
そしてそのためには、自分の状態を正しく把握することが、最も大事なことなのです。
何を把握すると良いのでしょうか
妊活や不妊治療を始める時に、先ず最初に確認するのは、タイミングがしっかり取れるのかどうかです。
1回の生理周期の内に、何回タイミングを取れるのか、毎回しっかり射精が出来ているかを夫婦で確認しましょう。
それと同時に、生理周期がしっかり安定しているか、排卵日と思われる時期に、オリモノの性状が変化しているかを把握して下さい。
これは女性だけでなく、男性にも分かることですから、タイミングを取る際に分泌物の変化があれば、その日を中心に数回タイミングを取って下さい。
その状態で数周期しても妊娠に至らなければ、専門病院での検査をお薦めします。
専門病院での検査は大袈裟ではと思う方もいらっしゃいますが、必要な検査を自動的に行ってくれるため、返って手間が省けて便利です。
しっかり検査を受けた後、その後の妊活や不妊治療についてしっかり考えて選択すれば良いだけです。
検査=不妊治療ではありません。
病院で受ける最低限の検査としては、次の項目があれば良いと思います。
・精液検査
・フーナーテスト
・各種ホルモン検査
(FSH、LH、E2、P4、AMH、FSH、PRLなど)
・卵管造影
・経腟エコー検査
プラスαで受けるもの
・着床障害検査
(25ーOHビタミンD、銅ー亜鉛検査、慢性子宮内膜炎、子宮収縮テスト)
こうした検査をしっかり受けておくと、あなたに本当に必要な妊活や不妊治療の方法が分かります。
検査は受けっ放しではダメ
せっかく専門病院で検査を受けたにも関わらず、その結果を正確に把握出来なれば、妊活に活かすことは出来ません。
こうした検査は、受けてからが大事なのです。
大阪には不妊専門病院が沢山ありますが、かなり大手の病院でも、検査結果に対する対応が不十分であったり、検査結果と治療内容が合わないことがあります。
つまり検査結果が治療に活かされていないのです。
検査の内容が正確に把握出来れば、それに対して必要な治療や対処を行い、その問題が解消出来るようにすることが、最も大事です。
必要な検査が何であるのか、その結果をどう把握すれば良いのかについては、本来は病院で聞くべきなのでしょうが、忙しそうな雰囲気の中で医師には聞きにくいものです。
当院では、そうしたお話を出来るだけ詳しくさせて頂くことで、これからの自分に必要なものは何か、どのような選択肢があるのかを知って頂いています。
検査は受けるまでも大事ですが、受けてからの方がもっと大事なのです。
ステップアップの基準とは?
多くの病院では、ステップアップの基準を時間で行っているようです。
「〇周期で妊娠出来なければステップアップ。」
「〇か月妊娠出来なければステップアップ。」
という具合に、時間経過と共にステップアップを行うことは、あまりお勧め出来ません。
これと同様に、年齢を基準にして治療法を選ぶというのもよく問題になりますが、これは時と場合によります。
不妊治療は時間制限のある治療ですから、30代前半で治療を始めるのと、40代で始めるのとでは、時間的な余裕が違います。
これは某専門病院での、不妊治療の成績をグラフ化したものです。
一目見て分かるように、年齢と共に治療成績は低くなり、流産率が高くなっています。
では、少しでも早い段階で高度医療を受ければ良いのかと言えば、そうではありません。
やはり大事なのは、正確に自分の状態を知り、それに対して必要な妊活や治療を受けることが最も大事なのです。
不妊治療を受ける方や妊活を続けていると、不安感が強くなることで、必要のない治療を受けたり、必要のないサプリメントや民間療法を受けるようになります。
そこを踏み止まって、冷静に必要なものだけを選択する様になると、妊娠が一気に近付いてきます。
ですからステップアップは、年齢や時間経過ではなく、必要であるから行うというのが正解です。
しっかり現状を把握した上で、ステップアップが必要であれば躊躇なく行うし、必要が無ければやたらステップアップをしないというのも大事です。
転院を考えるべき時とは
今まで妊娠という目的の為に 、共に協力してきた同志のような関係を築いている場合には、転院というのはとても敷居が高いことのように感じるかもしれません。
ところが、あなたの目的が妊娠や出産である限りは、あなたにとって最適な病院を選ぶことは、決して失礼なことではありません。
私が考える、病院を転院するべき時とは、あなたが受けるべき検査や治療が、その病院では選択出来ない時です。
病院によっては、その病院こだわりの方法でしか、不妊治療を選択出来ないことがあります。
逆に、様々な方法に対応しており、あなたが望むなら、あらゆる方法で不妊治療を受けることが出来る病院もあります。
長年妊活のサポートをしてきて思うことは、選択肢は多い程良いということです。
出来るだけ偏りなく、色々な検査や治療法を受けることが出来る病院を選択し、もしそれが出来ないのなら転院をするべきです。
特に年齢が高くなると、選択肢が狭くなると思われがちですが、逆に様々な選択肢を取ることが出来る病院を選ぶことで、妊娠する確率は高くなります。
「〇歳以上は〇〇」
と決まった方法でのみ不妊治療を行う病院は、あなたの選択肢を狭くするため、迷わず転院することをお勧めします。
いつ諦めるべきか
妊活や不妊治療をいつまで続けるのかは、一定の公式に当てはめることは出来ません。
ただ、長く妊活や不妊治療を行うためには、出来るだけ経験豊富な人間のサポートが必要であることは間違いありません。
その人その人で妊娠する力は違いますので、いつまで妊活や不妊治療を続けることが出来るかは違います。
私の経験では(上記のデータでも)、30代後半を境にして、妊娠する力や出産する力は大きく変化しますが、当然ながら例外もあります。
それでも一つの転換点になるのは、42歳頃だと思います。
その時期を過ぎて来ると、急激に治療成績が悪くなり出すからです。
また不妊治療や妊活の方法によって、諦める時期は変わります。
妊娠出来ない明らかな原因がある場合には、何らかの不妊治療が必要になりますので、病院に通わなくなる時が妊活を諦める時ということになります。
様々な理由で病院に通わない(通えない)時期がくると、妊活は終わりを迎えるということになります。
ところが明らかな原因がご夫婦に無い場合には、自分たちの体調管理さえしっかりしておけば、理論的には閉経間近まで妊活を続けることは可能です。
その場合も、育児に必要な費用や体力などの問題を冷静に考えた上で、終わりを迎えることになります。
そうした時期を迎える前でも、妊娠や出産だけに拘った人生を送るよりも、お二人で楽しい人生を歩む選択をすることも、それはとても意義があることです。
子供の存在だけに依存しているご夫婦の中には、子育てが終わると同時に離婚したり、家族が崩壊することも少なくないからです。
結局のところ、実りある人生にするためには、ご夫婦が事実に向き合って話し合い、お二人が基準となった家族計画を立てることが大事ではないかと思います。
お子さんを中心にして考えると、妊活はかなり辛い戦いになることがあります。
先ずはお互いのパートナー、そして二人のことを考えて妊活や不妊治療を行い、その上で終わりの時に関しても話し合って下さい。