栄養の摂り方次第で妊活が快適に
栄養の摂り方と妊娠
妊娠前の体作りにおいて、栄養の摂り方は非常に重要な問題です。
これから新しい生命を作り出すためには、健康な卵子と健康な精子が結び付き、そして健康な母体(母胎)の中で育つ必要があります。
栄養はそのために欠かすことが出来ないもので、健康な精子や卵子、そして母体(母胎)の材料になります。
また栄養素は、体の働きを正常に保つためにも必要です。
体を車に例えると、ネジが一本足りない、油が切れている状態で車を走らせ続けているのが、栄養不良の状態だと言えます。
こんな状態で健康的な命を作ることが出来るでしょうか?
実は妊娠しやすい体を作るための栄養と、それ以外の方の体作りのための栄養には大差がありません。
ただ違いがあるとすれば、栄養が足りなかった時に表れる結果の違いだけです。
妊活をしていなければ、単に疲れやすかったり、お肌の調子が悪い程度かもしれませんが、それが妊活中であれば「妊娠」という形でハッキリ出てしまうわけです。
栄養の摂り方と注意点
栄養の摂り方には、ちょっとしたコツがあります。
そこで効率的に栄養素を取るコツを覚えて頂いて、妊活を有利に進めましょう。
1.糖質はゆっくり吸収させる
糖質は、過剰に摂り過ぎると、太るだけではなく不妊の原因になります。
糖質を摂った時に分泌されるインスリンというホルモンは、排卵のリズムを狂わせて不妊の原因を作るホルモンです。
そのため、インスリンが長時間に渡って大量に出ないように、出来れば雑穀米や全粒粉パンなどの、吸収が遅い穀類をお勧めします。※栄養不良の人はダメです
2.糖質を完全に絶たない
糖質を摂るとインスリンが出るからと、糖質を完全に食べない食生活をすると、体は糖質不足に陥り、糖新生という反応を起こします。
糖新生は、糖質以外の栄養素から糖を作る反応で、飢餓状態で起こる生体反応です。
栄養の摂り方を指導するところでは、過激な食事制限や断食を勧める所がありますが、私は長年の経験から絶対にお勧め出来ません。
こうした食事制限で妊娠しやすくなる方は、元々がかなりの肥満であるような方だけです。
くれぐれも、全ての炭水化物を食べないという暴挙には出ないで下さい。
3.タンパク質は多めに青魚で
妊娠や出産にタンパク質の摂取は欠かせません。
特に女性はタンパク質の摂取量が少ない方が多く、貧血傾向の方も多く見られます。
貧血は、鉄の欠乏だけでなく、タンパク質の欠乏も大きな原因の1つです。
なぜなら、酸素を運搬するヘモグロビンは、タンパク質を元にして鉄やビタミンC、B群を材料に出来上がるからです。
また毎月剥がれ落ちる子宮内膜は、大量のタンパク質を喪失する原因になります。
卵や赤ちゃんにとって、フカフカで居心地のいい内膜を作るために、タンパク質はしっかり摂りましょう。
ただし、動物性脂肪の摂り過ぎは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や子宮内膜症などの原因になり、不妊傾向が強まることがあります。
そこで非常に体に質の良いタンパク質や脂肪を含む、青魚からのタンパク質摂取をお勧めしてます。
4.野菜は多めに色鮮やかに
野菜はビタミン類や食物繊維、フィトケミカルを多く含んでいるため、とても大事な栄養素です。
出来るだけ多くの、彩り鮮やかな野菜を食べて下さい。
葉酸を摂るためには葉物野菜も大事ですが、栄養素をしっかり摂るなら、色合いも多彩にして摂ることをお勧めします。
5.フルーツはジュースにせずそのままで
フルーツ類は高価ではありますが、美味しいうえに豊富なビタミンを含むため、妊活を楽しく行うためには欠かせません。
ただフルーツ類の摂り方にも、少しコツがあります。
最近のフルーツの中には、非常に糖度が高いものがあります。
含まれる糖の種類によっても多少変わりますが、ブドウ糖は血糖値を上げるため注意が必要です。※前項参照
また果糖に関しても、直接的には血糖値を上げませんが、間接的に血糖値が下がらない原因になります。
特に注意が必要なのは、ジューサーなどで果汁のみを取り出した場合です。
ジュースにすることで大量にビタミン類を摂ることは出来ますが、その一方で大量の糖分も摂ることになるため、注意が必要です。
しかもジュースにする際に食物繊維を無くすようなことがあれば、更にそのリスクは増します。
6.サプリメントは足りないものだけ
さて食事で摂り切れない栄養素に関しては、どうすれば良いのでしょうか?
こうした食事で摂り切れない栄養は、サプリメントで補って頂ければ問題はありません。
ただこうしたサプリメントは、あくまでも補助的に使用するものですので、食事が重要であることは変わりありません。
またサプリメントはビタミンやミネラル類を補う程度で十分ですので、高価なものは必要ありません。
栄養と鍼灸治療
鍼灸治療は栄養療法と非常に相性が良い治療法です。
なぜなら、鍼灸治療により血行が良くなると、血液中に吸収された栄養素が、体の隅々まで行き渡るからです。
逆に折角しっかりと栄養を摂っても、血行が悪ければ吸収した栄養を、必要なところまで運ぶことが出来ません。
私が栄養療法や食事指導を始めてから、まだ20年弱ですが、それでも驚くほどの効果を挙げた経験があります。
卵胞が全然育たない女性や、何度妊娠しても妊娠を継続出来ない女性、沢山の卵を採卵しても胚盤胞に育たないご夫婦などにも、驚く結果が得られたこともあります。
その多くが、栄養療法と鍼灸治療の併用で得られた結果です。
また着床障害の対策として病院で処方されるビタミンDは非常に吸収が悪いのですが、鍼灸治療と併用すると、消化器での吸収が良くなるため、血中ビタミンDの値が比較的直ぐに上がります。
こうした栄養の吸収を助けてくれるのも、鍼灸治療とサプリメントの相性が良い点かもしれません。