黄斑円孔と鍼灸治療
黄斑円孔とは
眼球に入った光は、最終的に網膜に集約されて電気信号に変換され、視神経を通じて脳に伝えられます。
この光が集約する網膜の中心近くを「黄斑」と言います。
黄斑は視野の中心部の映像を映す部分であるため、黄斑部に問題が生じると視界の中心部に欠損や歪みが生じます。
黄斑円孔には進行度合いに応じて1~4にステージが分けられています。
ステージ1では、硝子体が萎縮することで網膜が引っ張られ、網膜に空洞部分が出来るため、視野の歪みなどが生じている状態です。
この状態であれば、自然治癒することもあります。
ステージ2では、更に硝子体が萎縮し、網膜の一部が硝子体に引っ付いたままであるため剥がれ、フラップ上に持ち上がっています。
そのため光を網膜が受け取ることが出来ず、歪みが強くなったり目に映る映像にも欠損が出ることがあります。
ステージ3では、ついに引っ張られた網膜が硝子体と共に剥がれ、完全に網膜の一部が網膜から離れています。
ステージ4では、網膜の一部は網膜の近くには存在せず、完全に穴が開いた状態になります。
独立した穴であるため、自然治癒は難しい状態になります。
黄斑円孔の西洋医学的治療
西洋医学では、黄斑円孔や網膜剥離などの網膜の問題に対しては、硝子体手術を行います。
硝子体とは、黄斑円孔のステージで網膜と引っ付いていた部分で、眼球内を埋めるゲル状の内容物のことです。
硝子体手術では、この硝子体を取り出し、代わりにガスを注入します。
今まで網膜を引っ張ていた硝子体を取り出して張力を無くし、ガスを注入することで網膜に圧力を掛けることで、穴が塞がる力を助けます。
ただ手術後の回復には個人差があり、歪みや視力低下が残る場合もあります。
手術自体は30分から1時間程度で終わります。
ただ手術後は、しっかりと網膜が修復するように、一定期間うつ伏せで寝ていなければいけないため、自宅に帰らず入院することを勧められます。
鍼灸治療と黄斑円孔
健康な方の眼球内でも、硝子体は年齢と共に萎縮し、60~70歳になると徐々に網膜から離れていきます。
この時に、網膜と硝子体が離れなければ、黄斑部が部分的に引き剥がされてしまい、黄斑部の裂孔は作られます。
また強度近視により眼球軸(眼球の奥行き)が長いと、網膜は常に硝子体に引っ張られているため、黄斑部が脆くなることで黄斑円孔を起こしやすくなります。
更に、網膜に眼科疾患を持っていると、網膜の組織自体がぜい弱であるため、より黄斑円孔のリスクや網膜剥離のリスクが高まります。
そのため鍼灸治療により眼底部の循環障害を取り除き、黄斑部の健康状態を高めておくことは、黄斑円孔の発症を防いだり、手術後の回復力を高めることにも繋がります。
理想的には、黄斑円孔を起こす前の時点で鍼灸治療を開始する方が良いのですが、既に黄斑円孔を起こしている場合には、少しでも早く鍼灸治療を開始することで、回復を早めることが出来ます。
手術後の回復が思わしくない場合にも、視細胞が変性する前であれば、鍼灸治療を受けて頂くことで、視野の歪みや視力低下を回復できる可能性があります。
黄斑円孔や網膜剥離の手術後は、1日でも早く網膜の健康状態を回復する鍼灸治療を受けて下さい。