網膜動脈分枝閉塞症による視野欠損に対する鍼灸治療 府内在住 30代女性
患者:府内在住 会社員 40代女性
病名:網膜動脈分枝閉塞症
症状:視野欠損
経過
ある日気が付く視野に白くモヤがかかっているていることに気付いたそうです。
そこで眼科を受診し検査したところ、網膜動脈分枝閉塞症と診断されました。
念のため総合病院にて採血、CT、エコー、MRIの検査を受けたのですが、全て異常なしとのことでした。
眼科では特に治療法が無く、一旦欠けた視野を回復する方法は無いと診断された為、その他の治療法を探していたところ当院のHPを見付けてご連絡を頂きました。
ただ診断名が「網膜静脈分枝閉塞症」ではなく、「網膜動脈分枝閉塞症」であった為、一度は回復見込みが難しいと判断しました。
そこで動脈系の閉塞症では発病からの時間がかなり重要であって、既に1ヶ月経過していることから、施術するとしても期間限定で施術することになるとご説明したところ、一旦は施術を諦めました。
ところが諦めきれなかった患者さん家族が、協力院での施術を受けた後、改めて期間限定での施術をご希望されたため施術を開始しました。
鍼灸治療
この患者さんの場合には、特に基礎疾患(糖尿病や高血圧、高コレステロール血症、膠原病など)が無く、年齢的にもまだ若い為、基本的な施術のみで得に生活指導などは必要としませんでした。
ところが東洋医学的診断では、極端な虚証の症状が見られたため、東洋医学的な本治法と東洋医学・西洋医学での局所治療を同時に行いました。
これについては自覚症状は無かったものの、後から聞くと少し前がかなりのストレス状態だったそうで、発病のきっかけと実際の発病にタイムラグがあったものと考えられます。
極度のストレスは血液の粘度を高め、毛細血管を収縮させる働きがありますので、これが網膜動脈分枝閉塞症に繋がったと考えました。
先ずは初診時に行った簡易視野検査の結果をご覧下さい。
右側にある黒点は、生理的盲点と呼ばれるもので健常者にも存在するものです。
この部位は視神経が網膜から出入りする部位で視細胞が存在しない為、見えない点として存在しています。
中心部にある黒点が問題の視野欠損で、中心からやや下方に広がっています。
この部分が見えていないわけですが、両目で見た時にはこの部分は反対側の視野でカバーされる為、日常生活ではそれほど問題は無いと思われます。
鍼灸治療
今回の鍼灸治療では、上で書いたような体力的な弱りが強く見られたため、眼底の血流改善と共に、東洋医学的な全体治療が必要であると思われました。
治療内容としては、局所的な眼底周辺の血流を増やす施術と、網膜からの還流をスムーズにするために、姿勢に関係する筋肉の緊張を取り去ることを西洋医学的な視点で行い、全身治療(根本治療)を東洋医学的診断で行いました。
施術は週2回で3か月をめどに行うこととし、一定期間ごとに初診時同様の簡易視野検査を行うことにしました。
施術開始から4週間経ったところで、初診と同様の視野検査を行いました。
自覚的にはやや見やすくなったような気がするということでしたが、客観的な評価をしてみるまでは確証がありませんでした。
こちらが4週間後の視野検査です。
右側の生理的盲点はあまり変わりませんが、中央部にあった視野欠損が大きく回復しています。
また前回は無かった黒点が一つ中央上にありますが、検査時に上手くボタンを押せずに、「あっ!」という声を上げた光景を見ていた為、この押しミスが反映されたと思われます。
今回の症例では、最初の段階で回復はかなり難しいと考えたのですが、思いがけず大きな回復を得る結果となりました。
これも一度はお断りに近い形になったにも関わらず、諦めずにご来院して頂いた結果ですので、私としては大いに反省して次回以降の鍼灸治療に活かそうと思いました。



