季節と妊娠の関係【冬は妊娠しづらい?】
季節と妊娠しやすさは関係ない?
春先になると、植物は芽吹き青々とし出しますし、多くの動物たちは繁殖期になるため、春は妊娠しやすいような感じがしますよね。
一方、冬の寒い時期は手足が冷えてかじかむため、子宮や卵巣も何だか冷えてしまいそうです。
ところが実際には、四季は人の妊娠にそれほど影響を与えないと言われています。
それは一体なぜなのでしょうか?
1.気温が下がっても子宮は冷えない
外気温が下がると体が冷えるため、卵巣や子宮の血行が悪くなり、妊活に不利になる気がする方は多いと思います。
そのため妊活サイトや女性誌などでは、しきりに温活などというキーワードで体を温めるように喧伝し、温活グッズを販売します。
<楽天では温活グッズが沢山出品されています>
ところが実際には、人間は恒温動物なのですから、外気温が下がったからと体内まで冷えることはありません。
また手足の血流と子宮や卵巣内の血流は別物ですから、手足が冷えるからといって子宮まで冷えているわけではありません。
確かに自律神経と冷えや妊娠は一定の相関性があるように思いますが、「冷え症=不妊」というわけではありませんので、気にし過ぎるのも良くないように思います。
2.人間には繁殖期がない
多くの動物には繁殖期がありますが、人間には繁殖期がありません。
そのため年間を通して月経が定期的にあり、1年中いつでも妊娠や出産が出来るようになっています。
内膜の厚さが季節により変化するという研究もありますが、実際の妊娠や出産数を月別に見てみても、有意差というほどの大きな差はありません。
特に最近では、不妊治療を受ける方も多いため、季節や時期を選んで(早生まれを避けて)妊娠するというよりも、1日でも早く赤ちゃんを授かりたいという方の方が多いのかもしれません。
でも気になることも…
ここまでは、季節と妊娠は関係ないという説をご紹介しました。
ところが一部の方にとっては、妊娠と季節に相関性がある場合があります。
それは季節により紫外線量が変化することで、妊娠しにくくなる方が一部にいらっしゃるからです。
こちらは大阪の1年間を通した月別の紫外線量です。
当然ながら夏に紫外線量が多く、冬に紫外線量がが少ないグラフとなっています。
この紫外線により体内で作られるビタミンDは、妊娠と非常に密接な関係がある栄養素です。
一部の不妊専門病院では、血液中のビタミンD濃度を調べることで、着床障害の目安としています。
ビタミンDの受容体は、子宮内膜や卵胞の顆粒膜細胞にあり、子宮内膜の発達や卵胞の成長に影響を与えます。
血中ビタミンD濃度が低い方では、卵胞の発育が悪く、着床しにくくなる傾向があります。
そのため不妊専門病院では、不妊治療に来院された方の血中濃度を測り、足りない方にはサプリメントで補充するという方法を取っています。
実はビタミンDは、本来は放っておいても自然に皮膚で合成しているビタミンです。
そのため普通に日光を浴びていれば、足りなくなることはあまりないのです。
ところが行き過ぎた皮膚がん予防や美肌ブームのせいで紫外線を嫌い、日光に当たらない女性が多いため、最近は多くの方がビタミンDが足りない事態に陥っています。
こうしたビタミンD不足の方が紫外線量の少ない時期に妊活するとなると、皮膚でのビタミンD合成が出来ないため、より妊娠しにくくなる可能性は否定できません。
そのため、冬の妊活が不利になる方がいるというのも、一概には否定できないのです。
季節の影響を無くすには
妊活中に起こる季節の影響を無くすために便利なのが、妊活のための鍼灸治療です。
鍼灸治療を受けて頂くと、自律神経の乱れを防ぐことで人間の恒常性を保ち、常に安定した体調を維持することが出来ます。
またサプリメントでは吸収しづらいビタミンDに関しても、胃腸の調子を整えることで吸収率をUPさせることができます。
私の経験的にも、専門病院で処方されたビタミンDのサプリメントを飲んでも血中値が改善しなかった方が、鍼灸治療を受けて頂いてからは、速やかに改善が見られたという例が複数あります。
単に子宮や卵巣の血流を高めるだけでなく、体調全般を整えることで妊娠する力を上げていくのが、妊活鍼灸の本当の姿です。
そのためには、週1回程度の施術を定期的に受けて頂き、常に平均的に体調が良い状態を続けることが大事です。
そうすれば、四季の変化に負けない体づくりをすることができます。
元気な母親、父親からは元気な赤ちゃんが生まれやすいため、楽しんで子育てができるはずです。