裸眼視力と矯正視力について
裸眼視力は変動するものの矯正視力は…
裸眼視力というのは、眼鏡やコンタクトレンズを使用せずに、視力検査表を見た時に表される視力を指しています。
裸眼視力が良いと眼が良い状態だと思われがちですが、実際には必ずしもそうではありません。
眼科医があまり視力で優劣を判定しないのは、視力だけではその人の「眼の健康度」が分からないからです。
視力というものは、眼の角膜や水晶体での光の屈折力、眼球の長軸の長さ(奥行き)で決まります。
また、角膜での光の屈折や眼球の長軸は構造的な問題ですので変えることが出来ませんが、水晶体の厚みだけは眼内筋の働きにより調節ことが出来ます。
近い距離で眼を使い過ぎると、水晶体の厚みを調節する眼内筋(毛様体筋)が収縮したままになってしまい、遠くを見る力が落ちてしまいます。
その結果、一時的に視力は低下してしまいます。
こうした状態を眼精疲労といいますが、眼精疲労時には視力が低下しますので、使い方次第で裸眼視力は変動するものだということです。
その一方で矯正視力は、コンタクトや眼鏡が水晶体の代わりをしてくれますので、眼精疲労時でも調整して視力を上げることが可能です。
それにも関わらず矯正視力が出ない場合には、眼自体の健康状態に問題があることが多く、眼科疾患が起こっている可能性があります。
矯正視力でも視力が出ない場合には、必ず眼科を受診して下さい。
鍼灸治療と視力の関係
眼科疾患に対する鍼灸治療は、眼球内や眼の周囲の血行を増やしたり炎症を鎮めることで、眼科疾患による症状改善や、進行予防をするためのものです。
もう少し分かりやすい言い方をすると、眼の健康状態を良くするための治療です。
そのため、眼科疾患に鍼灸治療が効果的に働く時には、視力の向上が先に見られることが多いようです。
鍼灸治療による視力の向上に関しては、眼鏡やコンタクトをしている方では矯正視力、裸眼視力共にが上がりますし、裸眼の方では裸眼視力が上がります。
ただ先ほども書いたように、裸眼視力はその方の使い方次第で変化しますので、眼鏡やコンタクトレンズをしている方が、たまたま検査の前に目を酷使していれば、「裸眼視力は下がり矯正視力だけが上がる」という奇妙な現象も起こります。
以上のようなことから、眼科疾患に対して鍼灸治療が適応であるかどうかや、効果的に働くかどうかを知る目安として、視力測定というものは、一定の関連性があると考えています。
そのため当院でも、疾患の状態や性質により、初診時の他、定期的(月1回~半年に1回)に視力検査を行っています。
<当院のLCD視力計>