大阪日本橋 眼病の鍼灸
鍼灸ひより堂

大阪日本橋の鍼灸ひより堂です。
当院では現代医学では治療法がないと言われてしまった眼科疾患に対して、鍼灸治療によるアプローチをしております。
来院される患者さまの約95%は眼科疾患や眼科症状にお悩みの方々です。

中心性漿液性脈絡網膜症による変視症に対する鍼灸 市内在住 50代女性<2025.4.2追加>

患者:府内在住 50代女性 自営業

病名:中心性漿液性脈絡網膜症による変視

症状:物が歪んで見える

経過

 来院の2週間ほど前から、視界の真ん中付近に丸い輪が見えるようになってきた。

眼科を受診したところ、網膜上に浮腫が確認されたため中心性漿液性脈絡網膜症と診断された。

具体的な治療はなく、仕事を休養して自然治癒を待つように指示された。

そこでセカンドオピニオンのために他院を受診したが、同じ診断で同じような指導を受けた。

初診

 西洋医学的には特に治療が無いと言われたことで、その他の治療法を求めて当院を受診。

そもそもの中心性漿液性脈絡網膜症の成り立ちについてご説明をし、鍼灸治療が何に対して働きかけるのをご説明しました。

中心性漿液性脈絡網膜症の成り立ち.png

 

つまり上の図のように、血行不良がある部位にVEGFが産生され、その結果新生血管が出来上がること。

そしてそのせいでうっ血が起こり、血液中の血漿成分が漏れ出すことで浮腫が出来ること。

また眼科で行う抗VEGF薬の眼内注射は、このVEGFに対する対症療法であることなどをご説明しました。

ただこれまでの眼科では、そもそもの抗VEGF薬のお話が無かったことや、新生血管を確認するための造影検査も受けていないそうです。

 

 新生血管の成り立ちが理解出来れば、鍼灸治療によって新生血管が退縮する理由や、浮腫が無くなっていく理由も理解出来ます。

つまり新生血管が出来上がる逆の過程を経ているわけです。

眼科鍼灸.png

 

今回の症例では、週2回の頻度を基本として施術を開始しました。

 

 実際の鍼灸治療が始まると、約1か月後から見え方の変化を感じる日が出てきました。

良くなったり少し悪化したりを繰り返していましたが、鍼灸治療開始から2か月弱で3軒目の眼科を受診したところ、浮腫の消失が確認出来ました。

眼科では、画像で見る限りこれまでにも同症状を起こしていた可能性が高いことを示唆されました。

今回のようにひどい症状は経験したことが無かったそうですので、恐らく軽い症状の内に自然治癒していたのでしょう。

 

 この患者さんは眼科では特に治療を行わなかったのですが、個人的にはこうした眼科疾患の方には、症状確認のためにも眼科への受信をお勧めしています。

そうすれば鍼灸治療の効果も確認出来ますし、場合によっては抗VEGF薬の使用をお勧めすることも出来ます。

中心性漿液性脈絡網膜症の治療においては、出来る限り早い段階で浮腫を引かせることで黄斑変性を防ぐことが出来ます。

逆に言うなら、浮腫を放置すると黄斑変性症に移行する可能性がありますので、出来る限り早い段階で必要な治療を選択する必要があります。

 

<2025.4.17追加>

 

 元々こちらは2025.4.5にUPした記事ですが、患者さんから画像の提供を頂いたので、更に詳しい内容として再UPします。

時系列での画像を示しながら、変化やそれに対する考察を加えていきます。

 

先ずは初診の2週間ほど前に撮影されたOCT画像です。

1.png

 

御覧の通り網膜にパンパンに浮腫が発生しています。(黒く抜けた部分が浮腫

これだけ浮腫があると、目に見える画像は漿液の色(薄い黄色)で薄く色づくため、通常とは違った色に見えます。

また水滴を通して画像を見ているように大きさが変化し、歪みも出て見えます。

 

 次に鍼灸治療開始から2週間弱でのOCT画像になります。

2.png

 

こちらでもまだ浮腫が強く見られます。

御覧のように鍼灸治療で中心性漿液性脈絡網膜症を施術しても、直ぐに変化が現れるわけではありません。

何故なら、鍼灸治療によって脈絡膜付近の血流が改善したとしても、そこからVEGFが生成されなくなり脈絡膜新生血管が退縮するまでには、どうしてもタイムラグが生じるからだと思われます。

その為、回復を急ぐ方に関しては、初回に関しては抗VEGF薬の使用をお勧めしています。

 

 最後の画像は、初診から約2か月後のものです。

3.png

 

少し歪んでいますが、恐らく用紙をスマホで撮影されたものを送って頂いた為です。

綺麗に浮腫が無くなっています。

2回目の画像からすると、約5週間後の画像になります。

今回の患者さんは、鍼灸治療単独での効果で抗VEGF薬の使用をしていません

 

<考察>

 

 長年に渡る抗VEGF薬の繰り返しの使用は、視機能を損なうスピードを速める可能性があることから、効果があることは分かっていても、出来る限り単回使用にするようにお勧めしています。

何故なら、根本的な原因である循環障害を無くさなければ、時間共に浮腫が再発するからです。

特に瘀血傾向が強い方などは再発可能性が非常に高いため、根本的な体調を改善することが必須です。

 瘀血.png

中には新生血管や浮腫が無くなればそれで良いと思う方がいらっしゃいますが、そうした人ほど繰り返し発病する傾向があります。

抗VEGF薬の使用は繰り返すほど効果が低くなり、次の使用までの期間が短くなる傾向がありますので、日常のケアとして鍼灸治療を受けて頂き、循環障害と向き合う必要があると考えています。

2025.04.24 Thursday