甲状腺眼症の症例4 府内在住 40代女性の症例
ドライアイと言われたが眼球突出が治まらず
この患者さんは、目の不調で来院した眼科にてドライアイと診断され、点眼薬などを処方されました。
その後も目の腫れが治らず、結局甲状腺専門病院でバセドウ病と診断されました。
つまり、甲状腺眼症による眼球突出だったわけです。
患者:40代女性 大阪府在住 会社員
病名:甲状腺眼症
症状:眼球突出、まぶたの腫れ、結膜の充血
経過
当院に来院する約1年前から、目の周囲が腫れたような感じで、眼精疲労を強く感じていた。
目の症状が出だしてから5月後、一向に症状がが引かないため眼科を受診したところ、ドライアイのせいだと診断されたそうです。
実はかなり目立つ眼球突出でも、眼科でドライアイやアレルギー性結膜炎だと診断される方はとても多く、甲状腺の異常が見付かるまでの間、放置されることが少なくありません。
この患者さんの場合、その後息切れなどで内科を受診し、甲状腺機能異常が見付かる(症状が出てから7か月後)まで、目の状態は放置されていたことになります。
初診
また甲状腺専門病院でバセドウ病を指摘されてからも、眼科での治療は開始されておらず、眼球突出はそのままの状態でした。
当院での簡易検査では、眼球突出の数値が、右 21.5mm 左19mmでした。
これは、甲状腺眼症の診断基準からすると中等症から重症の間に相当します。この数値は、病院で測った数値ではないため正確な診断とはなりませんが、かなり眼球突出としては進んでいることは間違いなさそうです。
病院にかかった場合には、ステロイドの使用が第一選択となるでしょうが、ご本人の希望として病院には掛かりたくないということでした。
そこで症状の悪化や、複視などの他の症状が出れば必ず眼科に行って頂くということで、当院での鍼灸治療を開始しました。
治療頻度は、効果を最大限出せるように、最初の3か月間は週2回としました。
鍼灸治療
鍼灸治療としては、他の眼科疾患の治療と同様に、全身を整えるための本治法と言われる東洋医学的治療と、比較的目に直接的に働く標治法を行いました。
本治法としては、肝経の太衝穴や腎経の復溜穴を主に使用しました。
目の周囲に刺す鍼の中では、特に腫れたまぶたや外眼筋の状態により刺し方を変化させます。
この患者さんも上まぶたの腫れが強かったため、まぶたの周囲に細く短い鍼で施術し、局所的にしっかり鍼を刺しました。
【初回の鍼灸処方】
両寛骨 右肺兪 右肝兪 左膈兪 両脾兪
長さ30mm 太さ0.18mm
両絲竹空 両攅竹 両太陽 両四白 阿是穴
長さ15mm 太さ0.1mm
左内関 太左衝
長さ 15mm 太さ0.12mm
【経過】
その後、1か月間の鍼灸治療を続けた結果、下記のような結果が得られました。
まだ1か月しか経っていないため、計測誤差程度の改善ですが、患者さんの自覚症状としてはかなり良いそうです。
自覚的な目の不快症状はかなり改善され、仕事をしていても気にならない程度にはなっているということです。
今後も継続して鍼灸治療を受けて頂き、ご報告したいと思います。