大阪日本橋 
眼病の鍼灸
鍼灸ひより堂

大阪日本橋の鍼灸ひより堂です。
当院では現代医学では治療法がないと言われてしまった眼科疾患に対して、鍼灸治療によるアプローチをしております。
来院される患者さまの約95%は眼科疾患や眼科症状にお悩みの方々です。
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薬剤性(ステロイド性)緑内障の鍼灸治療 市内在住 50代女性

患者 市内在住 50代女性

病名 薬剤性(ステロイド性)緑内障

経緯

 

  今回の患者さんは、他の眼科疾患を治療するためのステロイド点眼をしたことで高眼圧となり、結果的に緑内障を発病された患者さんです。

ステロイド点眼は非常に有効な抗炎症作用を持ちますが、その一方で高眼圧による緑内障という副作用を発病することがあるため、難しい一面を持つ治療法です。

この患者さんの緑内障に関しても、発病の経緯を見る限り、直接的な原因になったことは間違いないと思われます。

現代医学的には、点眼による副作用と治療効果を比べて、より患者利益の大きい方を選択するしかありません。

そこでこの患者さんは悩んだ挙句、第3の方法を求めて当院の眼科鍼灸治療を受けに来院して下さいました。

多発性角膜浸潤.png

 

初診

 

 初診時には既に視野障害が始まっており、それ以前に受けた眼科の視野検査でも、当院で行った簡易視野検査でも、同様の結果が出ていました。

視野検査治療前.png

病院での検査では中心下側にも視野欠損があるようですが、当院の簡易検査ではその結果を拾いきれませんでした。

左目の視野に異常がないため、両眼で見た時には補正され、鼻先の視野欠損は見られない状態です。

 

 症状が進行傾向にあることや、場合によってはステロイド点眼を再開する必要があることなどから、週に2回の頻度で鍼灸治療を開始することとなりました。

また今回の緑内障とは別に、眼瞼ミオキミア(まぶたの痙攣)や左背部の痛みを感じているそうなので、同時に治療対象とすることにしました。

 

鍼灸治療

 

 施術の内容としては至ってシンプルです。

後頚部の凝りを取り除き、左背部の局所治療を加えながら、目の周囲と本治法のための手足の施術を加えました。

後頚部は特に重要な経穴ですので、網膜の血流を増やし健康度を高めるために、しっかりと施術しました。

また眼瞼ミオキミアに対しては、頭部の施術も効果的ですので、頭部にも施術を加えました。

※眼瞼ミオキミアは眼瞼痙攣とは違いますが治療法は同様です。

眼科鍼灸のツボ.png

左背部に強い凝りのある方はストレス過度の方が多く、眼瞼ミオキミアを起こしていることからしても、緑内障の診断や視野欠損が進んでいたことが精神的ストレスになったものと思われました。

強い不安感を感じることもあるようで、慢性的な進行性眼科疾患の方に多い、「抑うつ状態」だと思われました。

鍼灸治療では、比較的長い時間を患者さんと過ごすため、ゆっくりと対話出来ます。

それが一種のカウンセリング効果ももたらしますので、不安感を強く感じている眼科疾患の方には、鍼灸治療は治療プラスαの効果が出ることも珍しくありません。

 

こうした施術を週2回のペースで約2カ月受けて頂いた結果が、次の検査結果の通りです。

当院を受診される前と比較すると、視野検査に変化が現れました。

2カ月.png

 まだ鍼灸治療を開始して2カ月ですので、本来はこれから変化が現れる時期なのですが、既に視野検査に良い傾向が出ていました。

鼻先と下方に見られた視野欠損の範囲が、大きく改善傾向を示しています。

ただこれからのことを思うと、全体的な視機能改善をもうしばらく続けながら、長期的な経過を見る必要があります。

またストレスがかかると高眼圧になる傾向もあるため、点眼薬も続けながら、長期的に平均して良い状態を目指す必要もあります。

 

5年後、10年後の視機能維持を目指して、まだまだ長い経過観察が必要になる症例です。

 

 <続報 施術開始1年後>

 

 鍼灸治療を開始してから1年が経過し、先日視野検査を受けて頂いたので、その結果を掲載させて頂くことにしました。

その結果がこちらです。

 1年後.png

 

 視野検査の結果からすると、1年前から大きく変化しているようです。

本来は視野の欠損を最小限に防ぐことが目的となりますが、やや回復して見えているのは、元々視神経の器質的な変化が少なく、機能的な低下が大きかったためかもしれません。

 

 恐らく器質的な変化(視神経の萎縮等)が進んでいた場合には、鍼灸治療により循環改善をしても同様の効果は得られなかったと思われます。

ただ注目すべきは、1年後の段階でも検査結果に悪化が見られていないという点です。

多くの緑内障患者さんが気にするのは、将来的に訪れるであろう視力低下や視野狭窄、そして最終的な失明状態に向けて着々と進んでいくであろうということです。

 

 この患者さんは、結果的にかなり長い間、週2回の治療頻度で鍼灸治療を継続して頂けました。

時間的にも経済的にも負担があることは間違いありませんが、結果的には成功と言えるかもしれません。

ある程度対象は限定されるかもしれませんが、条件が合う方に関しては3カ月を越えてからも週2回の頻度が効果的なのかもしれません。

2024.04.20 Saturday