近視性脈絡膜新生血管による視力低下の鍼灸症例 府外在住 20代男性
患者:府外在住 20代 男性
病名:近視性脈絡膜新生血管
症状:視力低下、視野の色付き
【経過】
2週間前の健康診断では異常が無かったが、突然視野にもやがかかったようになったため、自宅近くの眼科を受診。
眼科から更に大学病院を受診するように指示され受診したところ、黄斑部に新生血管と浮腫が発見されたため、近視性脈絡膜新生血管と診断された。
大学病院ではルセンティスの眼底注射を4週間ごとに2回受けたが、浮腫や新生血管は改善されたが、視力低下と視野の色付きが改善されなかった。
【初回カウンセリング】
発病の1カ月前から仕事が多忙を極めており、労働時間も非常に長い上に視力を酷使した状態だった。
また喫煙習慣があったが、眼科を受診後に禁煙を行い、現在まで禁煙を続けている。
元々強い近視だったこともあり、今回の診断名になったと思われる。
仕事柄、絶対的に良好な視力を必要とするため、現在は職場の指示で休職して静養している状態で、視力が戻るまで1年程度は休職が出来るが、それでも無理であれば配置転換となるとのことでした。
来院の20日後に大学病院の受診を控えていましたが、通常の鍼灸治療では約2カ月程度が平均的な効果発言までの時間であるため、次回の受診では未だ変化が無いかもというお話をさせて頂きました。
こうした眼科疾患の場合、複数の原因が発病のきっかけになることが考えられ、今回も強度近視や喫煙、そして過労が主な原因ではないかと考えられました。
また紫外線の影響を受けやすい職場環境であるため、紫外線の影響も無視出来ないと思われました。
脚の冷えも多少みられるため、自律神経系のトラブルも解消しながら、体調管理や日常生活の管理を行うこととしました。
当院での簡易視野検査と視力検査の結果、患側である右側では視力が0.3となっており、左側の1.0~1.2と比べるとかなり視力低下が見られました。
また視野の歪みや色付きも観察されました。
【鍼灸治療】
比較的発病から時間も経っていない為、オーソドックスな鍼灸治療のパターンで施術を行いました。
使用したツボは、天柱、風池、天髎、風門、膈兪、心兪、太衝、太陽、球後、四白、陽白、攅竹などです。
<参照>
頚部や背部には長さ40mm太さ0.2mm(寸3-3番鍼)の使い捨てステンレス鍼を使用し、目の周囲には長さ15mm太さ0.1mm(5分ー03番)と長さ30mm太さ0.12mm(1寸ー02番)を 使用しました。
当院が初めての鍼灸治療だったそうですが、それほど緊張することなく施術を受けて頂くことが出来たそうです。
急性期でかなり回復が望めることから、施術は週2回の頻度で受けて頂くことにしました。
施術開始から2週間後のことですが、4回目の施術を受けるためにご来院頂くと、患者さんから視力検査をして欲しいと言われました。
通常は1~2カ月に1回程度検査を行うのですが、ご本人が視力の回復を感じているそうでしたので視力検査を受けて頂きました。
その結果、0.3だった視力が1.2にまで回復しており、視野の色付きも改善しているとのことでした。
更にその1週間後の大学病院での検査では、健側の左視力が1.2に対して、患側の右視力が1.5となっていたそうです。
3回目のルセンティスを予定していましたが、これほど回復しているなら必要が無いということで中止になりました。
翌月より職場復帰も無事決まりましたが、今後は再発予防のために引き続き鍼灸治療を受けて頂く予定です。