大阪日本橋 
眼病の鍼灸
鍼灸ひより堂

大阪日本橋の鍼灸ひより堂です。
当院では現代医学では治療法がないと言われてしまった眼科疾患に対して、鍼灸治療によるアプローチをしております。
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市内在住 50代男性 中心性漿液性脈絡網膜症の鍼灸症例

レーザー治療を受けたものの改善せず

 

 本症例は、一度HP上でご紹介したものに、後日ご提供頂いたOCT画像を合わせ、再編集したものです。

本症例では、発症直後に眼科でのレーザー治療を施術しましたが、症状が全く変わらないため当院にご来院されました。

先日無事完治となりましたので、完治までの7か月間の経過をご覧下さい。

 

【患者】

 

大阪市在住 50代男性 会社員

病院での診断名:中心性漿液性脈絡網膜症

 

【経過】

 

 時期が定かではないが、2014年~2016年から左目に視野の歪みがあったように記憶しているそうです。

その後症状が改善しないため、2019年の年末に大阪市内の眼科を受診され、中心性漿液性脈絡網膜症との診断が下りました。

ただ治療としては、ビタミンB12の処方のみだったとのことです。

 

 2020年初めまで様子を見ていたものの、症状が改善しないため、眼科を再受診されました。

その時のOCT画像がこちらです。

1-a’.png

左側画像の中央部分に、黒い中抜きのような部分が見えます。

これが浮腫を起こしている部分で、白い部分が網膜の一部になります。

この疾患では、漿液が層状になった網膜の隙間に入り込み、部分的な網膜剥離のような状態になるため、網膜色素上皮に光が歪んで届くようになります。

中心性漿液性脈絡網膜症.png

そのため、視野の歪みや中心部に見えない部分が出来てしまいます。

 

 この方の場合には、結果的に経過観察となった3か月後、更に症状が悪化してしまいました。

その時のOCT画像がこちらです。

2-a’.png

画像を見ると一目瞭然で、明らかに浮腫の量が増えています。

当然症状も強くなり、中心暗点により、発病した側の視力が大きく低下してしまいました。

前回の画像と比べてみましょう。

上が眼科初診時で下が経過観察3か月後です。

Scan2020-12-03_192115_001.jpg

 その後市内の総合病院に転院し造影検査を受けましたが、決まっていたレーザー治療は一旦見送りとなりました。

また更に1か月後、症状が全く改善しないことで、再び元の病院に戻ってレーザー治療を受けることになりました。

レーザー治療から2か月たっても症状が改善しないため、他の治療法をネットで検索していたところ、たまたまYouTubeで当院の患者インタビュー動画を見付けてご来院されたそうです。

 

 

<参考にして頂いた動画> 

 

【初回カウンセリング】※ここからはUP当時の古い内容です。

 

 レーザー治療を受けても、視野の歪みの範囲や歪み方が変化しない為、それ以外の治療法を求めて来院されました。

初回カウンセリングで鈴木式アイチェックチャートで簡易視野検査を行ったところ、視野の中心部に歪みと見え方のぼやけがありました。

8.27.png

 真ん中にある人型の図で、頭から左腕にかけての範囲で、画像が薄くかすんで見えているようです。

また頭から胴体にかけて、画像に歪みがあるように見えているようです。

 

【鍼灸治療】

 

 初回の鍼灸治療では、後頚部、背部に鍼を刺して筋肉をほぐしながら、目の血行に対してもアプローチしました。

また仰向けでは目の周囲と足のツボを使い 、血流と共に水分代謝を良くするように施術しました。

施術は出来る限り週2回としました。

 

 2回目以降の施術も同様に行いましたが、ツボに関しては、随時体の状況を見ながら変化させました。

初回の施術から1か月後に、経過観察として簡易視野検査を行いました。

9.25.png

前回のものと見比べれば一目瞭然ですが、かなり症状の改善が見られているようです。

比較2カ月.png

 

 施術自体は、現在進行形で週1回の施術を受けて頂き、更なる改善を目指しました。

レーザーでも改善しなかった症状が、鍼灸治療でかなり改善されていることが分かって頂けると思います。

 

【追記 2020.10.30】

 

 前回は、鍼灸治療開始後1ヶ月目までの内容を書きました。

視野は改善傾向を示していましたが、中心部の視野や視力には変化が無く、真ん中はほとんど見えていない状態でした。

 

ところが2ヶ月の施術が終了したことで、再検査をしようとしたところ、ご本人から「視野に明らかな変化がある。」というご報告を受けました。

そこで楽しみに視野検査と視力検査をさせて頂いたところ、驚くべき変化が見えました。

 

今回は、視野に合わせて、視力の変化も同時にご覧下さい。

 

2カ月の変化.png

 

 視野の歪みや薄い範囲が、明らかに小さくなっています。

ご本人が感じた一番大きな変化は、左右に広がっていた水溜りのようなものが、左右を垂直に切り取ったように、真っ直ぐになったということのようです。

 次に視力の変化をご覧下さい。 

視力変化.png

 

 この方が中心性漿液性脈絡網膜症を発症されているのは、左側の眼になります。

鍼灸治療開始1か月後には、左側はやや低下していますが、実際にはほぼ差はありません。

というのも、視野の真ん中の部分が浮腫のため見えないないため、視点をずらしながら見ているため、参考程度の視力しか測ることが出来なかった為です。

 

それに比べて右側の眼は、少しずつ視力が良くなっています。(発症予防のために、施術は両眼にしています)

こうした視力の変化は、眼底の血流や視神経の働きが良くなる目安になり、最初に良くなるのが視力であることからも、殆どの人に見られる現象です。

 

今回行った視力検査では、発病した側の左眼の視力が急激に良くなっています。

私も計測しながら驚いたのですが、実は中心部の視野がかなり戻ってきたようで、多少の歪みや色の薄さはあるのですが、ランドルト環がはっきり見えていたそうです。※ランドルト環:視力検査に使う「C」の文字

 

そのため前回までと違い、視野検査も全て見えている中で、薄いところと歪みを探す作業でした。

恐らくですが、中心部の浮腫がほぼ無くなっているのではないかと予想されます。

 

<追記 2020.12月> 

 

 以前症例としてUPした内容に、今回頂いたOCT画像を合わせてみると、簡易検査も馬鹿に出来ないと改めて思います。

最初に、初診時に当院で行った簡易視野検査、視力と病院で撮影したOCT画像を見てみましょう。

初診時.png

 

簡易検査と一致した浮腫の状態です。

浮腫を起こした黄斑部は視野の中央であるため、中央部に視野の歪みと薄さが表れています。

 

 次の映像は、初診から2か月後の視野検査と、さらに1か月ほどしてからのOCT画像です。

少しタイムラグがありますので、実際にはもう少し視野検査も良くなっているかもしれません。

3か月後.png

 過去の記事の中でも、恐らくですが、中心部の浮腫がほぼ無くなっているのではないかと予想されます。と書きましたが、実際にほぼ浮腫が無くなりかけの状態でした。

 

<追記 2021.3.12>

 

 前回の眼科受診から更に3カ月が経過したため、更に眼科でのOCT検査をして頂きました。

上側が2020.12.2のもので、下が2021.3.9のものです。

Scan2021-03-12_081717.png

 

昨年12月の時点であった僅かな浮腫が、OCT画像では完全に消失しています。

画像のように少し凹んで見えるのが、正常な黄斑中心窩です。

つまり中心性漿液性脈絡網膜は完治したということです。

 

そこで再発予防のために2週に1回程度の通院に切り替え、再発予防目的でご来院して頂くことになりました。

最初の症状が2014~16年、最初の眼科での診断が2019年12月ですから、かなり長い年月溜まっていた漿液が完全に無くなしました。

 

ただ残念なのは、漿液が溜まっていた期間が長かったため、視野の歪みがまだ残っていることです。

恐らく視細胞が、長期間の浮腫のために障害されている部分があるのでしょう。

やはりこうした網膜疾患は、出来るだけ早いタイミングで鍼灸治療を開始して頂くことが必要だと、改めて感じました。

ただ出来るだけ症状が残らないよう、再発予防と同時に後遺症を出来るだけ少なくする施術も継続していきます。

2024.04.26 Friday