眼瞼下垂手術後の眼瞼痙攣に対する鍼灸症例 府外在住 10代男性
患者:府外在住 10代 男性
病名:眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
症状:目が開けにくい、眩しい、目が痛い
経過と初診
眼科で目が開け難いという症状を訴えたところ、眼瞼下垂だと診断され二重手術を受けることになったそうです。
手術後から更に目が開け辛い、光が眩しい(羞明)といった症状が現れ、遂には症状の辛さから精神科にも通うようになってしまいました。
その後、眼瞼痙攣に対する鍼灸治療があることを知り来院されることになりました。
初診時に色々とお話を伺ったところ、生活環境の急激な変化からストレスを感じることがあり、眼瞼下垂の手術を受ける前の段階でも自律神経失調症状を感じることがあったことも分かりました。
また眼瞼下垂だと診断される前の時点でも、羞明こそなかったものの、目の開け辛さを感じていたこともあり、実際にはその時点で眼瞼痙攣の初期であった可能性も示唆されました。
眼瞼下垂は脳機能の失調により起こることが多く、その原因として精神的ストレスが大きな要因に挙げられます。
精神的ストレスは脳機能の低下を招き、脳由来神経栄養因子(BDNF)を減少させることが分かっています。
その結果、まばたき運動の主動筋である眼輪筋の制御機能が低下し、眼瞼痙攣となってしまうようです。
また向精神薬や睡眠導入剤の使用によっても眼瞼痙攣を発病することがあるため、精神科領域の問題と眼瞼痙攣は切っても切れない関係だとも言えます。
今回の患者さんの場合にも、生活環境の変化による急激なストレスがあり、その頃から眼瞼痙攣の症状が現れたとすると、単に眼科疾患としてではなく、精神状態の安定を狙った施術が必要であると思われました。
鍼灸治療と経過
初回の鍼灸治療では、眼科疾患に対する後頚部や目の周囲の施術と共に、頭部や手足のツボを使用した精神安定を目的として施術しました。
初回の施術後で既に深いリラックスが得られたため、継続して週1回の施術を行うことにしました。
2回目の施術はスケジュールの都合で2週間ほど空いてしまいましたが、体調的にはかなり良いということでした。
羞明や目の開け辛さはかなり良好な状態だということでした。
ただ3回目の施術までに感染症に罹ってしまい、一時的に体調が悪化したことで、眼瞼痙攣の症状がぶり返す形になってしまいました。
3回目の施術の時には、精神的にはそれほど悪い状態ではないと判断した為、目と脳機能のリンクをしっかりと繋げるように、関連の深いツボに施術を行いました。
4回目の施術前に伺った限りでは、眼瞼痙攣の症状はかなり改善しており、顔も晴れやかになっていました。
今回の症例では、強い眼瞼痙攣を起こすきかっけとなった眼瞼下垂の手術(二重手術)後、比較的早い段階で施術を開始出来たため、かなりスムーズに症状を変化させることが出来ました。
眼瞼痙攣はストレスや脳機能との関係が深いため、時間が経つほど難治化しやすく、また重症化してしまいます。
特に今回のように、眼瞼下垂や美容整形での二重手術の後、眼瞼痙攣を発病した場合には少しでも早く施術を開始することで、治療期間を短くすることが出来るのではないかと考えています。
二重手術後に目が開け辛い、光が眩しい、目が痛いなどの症状が現れた方は、眼科と並行してでも結構ですから、一日も早くご相談下さい。