正常眼圧緑内障に対する鍼灸症例 市内在住 40代女性
患者:市内在住 40代女性
病名:正常眼圧緑内障
症状:視野狭窄
経過と初診
5年前に正常眼圧緑内障(眼圧18mmhg)と診断され、点眼薬を続けているが医師からは一般的ではない進行の仕方だと言われているそうです。
現在の眼圧は11mmhg程度で、十分に眼圧が低いにも関わらず視野の欠けが年々進行しているため、点眼薬以外の治療法を求めて来院されました。
現在は裸眼ですが、10年前にレーシック手術を受けていることから、元々は強い近視であったと思われます。
初診時の簡易検査では、下図のような視野部分の狭窄、欠損が生じている状態でした。
ただ両目で見ている限りでは、視野の欠損や狭窄を補完し合うため、実際の日常生活ではそれほど支障なく生活が出来ているとのことでした。
症状がかなり進んでいることもあり、週に2回の施術で取り急ぎ進行のスピードを緩め、残っている機能を高めることを目的に施術を開始しました。
鍼灸治療の方法としては、先ずは網膜や視神経の血液循環を良くすることを目的として、目の周囲や後頚部に対する施術に重点を置きました。
またOA作業が多いということでしたので、背部や肩部のコリに対してもしっかりと施術をしました。
<目の周囲に対する極細鍼による施術>
また全身状態も目の状態に影響を与えることが多いため、全身調整のために東洋医学的な診断治療を行いました。
この患者さんは『脾』の弱りから、目に必要な『血』を作る力が弱いため目の機能が低下していると考え、脾の力を高めるために公孫穴に手技を加えました。
こうした施術を週2回行い、2カ月経ったところで再検査を行いました。
通常はまだ変化が起こる時期ではないのですが、経過を見るために取り敢えず受けて頂いたのが正直なところでした。
分かりやすいように初診時の検査と併せて、変化が出ているかどうかを比べてみました。
まだ初診から2カ月ですので、まだまだ大きな変化とは言えませんが、それでも良い傾向は見られているようです。
緑内障は完治することはないものの、短期的には視力や視野の改善も見られますし、長期的には視機能の維持を目的としています。
そのためこれから年単位での体調管理が大切になりますが、患者さんのモチベーションを維持するためにも、こうした視野検査を利用することは大事かもしれません。
今後も継続して加療予定です。