新型コロナ感染後の顔面神経麻痺(ベル麻痺)
患者:市内在住 30代男性 会社員
病名:抹消性顔面神経麻痺(ベル麻痺)
症状:左顔面部の表情筋麻痺
目が完全に閉じられない
眉の高さが左右違う
口が完全に閉じられない
経過
新型コロナ感染症に感染し、回復したと同時に顔面神経麻痺を発病。
病院ではステロイドパルスを行なったのですが、一ヶ月弱経っても顔の表情がうまく作れず、回復をしないにも関わらず病院では他に治療手段がないと言われた為、鍼灸治療を希望して来院。
初診
初診時、明らかに左顔面部の筋肉が動いておらず、額の皺寄せや目の完全閉眼、口の完全閉口が出来ない状態でした。
接客業をされているため表情が作れないことは精神的な負担になったようですし、何よりも自分の表情が不自然であることは気掛かりなことです。
顔面神経は運動神経であるため痛みや痺れはないのですが、反応点としては顔のあちこちに痛みを感じるポイントが存在します。
こうしたポイントが局所治療としての治療点になることもありますし、単に反応点であることもあります。
またそもそもの出発点がコロナ感染症であることから、体調面での体調悪化なども治療対象にするべきであるかも考えましまた。
この患者さんの場合には、当初かなりお疲れの様子も見えましたし、脈診でも弱りを感じました。
鍼灸治療
今回の鍼灸治療では、局所治療としての顔面部の施術と体調を良くするための施術をするという点では、普段行っている眼科疾患の鍼灸治療と同様でした。
先ずうつ伏せで頸部の筋緊張へ施術し、精神的な緊張を緩める施術をしました。
次いで顔面部への施術として、症状が強い目の周囲と口の周辺部に施術をしました。
再来院時にご様子を伺うと、目や口の閉じやすさが変化したということでしたので、同じ治療方針で週2回の施術を1ヶ月継続しました。
1ヶ月経過したところで少し変化が少なくなってきていたため、パルス通電を追加しました。
パルスを追加した部位は、地倉ー頬車と四白ー太陽もしくは四白ー陽白、陽白ー太陽を変化させながら使用しました。
周波数は1Hzで10〜15分行いました。
施術後約1ヶ月で週1回の頻度に変更して継続加療し、施術開始約2ヶ月で自覚的にはほぼ完治となりました。
その後も他覚的な完治を目指して継続加療しています。