網膜色素変性症に対する鍼灸症例 府外在住 40代男性
患者:府外在住 40代男性
病名:網膜色素変性症
症状:視野狭窄、視野欠損
経過
網膜色素変性症による視野障害が3年前から出始め、かなり早いスピードで広がっている。
通常の網膜色素変性症では視野の周辺部から狭窄が見られるが、この患者さんの場合には視野の中心部周辺にドーナッツ状に視野の欠損部が広がっているため、生活に支障が出ている。
網膜色素変性症は、2種類ある視細胞のうち、周辺部の視野や明暗を感じる桿体細胞が障害されると言われています。
そのため周辺視野の狭窄や夜盲症状が主症状となることが多いのですが、この患者さんは中心部に存在し色彩を見るための錐体細胞から先に傷害されています。
そのため発病から時間経過がそれほど経ちませんが、自覚症状としてはかなり進行しているように感じるようです。
そこで通常の鍼灸治療に加えてパルス通電をしながら、循環促進と共に網膜や視神経に電気的刺激を与える施術も併用しました。
既に死滅した部分は再生が難しいため、出来る限り機能低下を起こしている部分を再生出来るように、週2回の施術を5ヶ月間に渡り継続しました。
大阪府外でありながら、週1回は新幹線で通院され、週1回は現地で施術を依頼して鍼灸治療を継続した結果が次の画像です。
グレーの部分が初診時で、黒の部分が5ヶ月後の視野検査の結果になります。
残念ながら中心部には欠損が残るものの、周辺部の欠損部位に関してはかなり回復している様子が分かります。
中心部に関しては少し欠損が増えたところもあり、十分に効果があったとは言えませんが、鍼灸治療によって網膜色素変性症に変化が与えられることは十分に分かる症例です。