多くの症状を抱える眼科疾患患者さんの鍼灸症例 府内在住 50代女性 【眼瞼ミオキミア・緑内障・更年期障害】
患者:府内在住 50代女性 主婦
病名:①眼瞼ミオキミア ②緑内障③ 更年期障害
症状:①目の周囲がピクピクする ②視野欠損 ③更年期症状
経過
①目の周囲がピクピクするようになったのは2年前
②10年前に診断を受け、来院の数か月前から点眼治療
③2~3年前から発症
初診
来院時のお話では、自覚的にもストレスを感じていた時期に眼瞼ミオキミアを発病したそうで、その原因は多岐にわたるため特定出来ないということです。
3つの病名を比べると、医学的には、緑内障>更年期障害>眼瞼ミオキミアが重症度別かなと思いますが、自覚的には、眼瞼ミオキミア>緑内障>更年期障害の順で気になるということでした。
そこで眼瞼ミオキミアを第一の対象として施術することにしました。
鍼灸治療
鍼灸治療では、一般的な眼科疾患の施術と共に、頭部や側頚部の施術をしっかりと行います。
これはそもそも脳機能の低下が原因でミオキミアが起こることと、こうした高ストレス患者には歯ぎしりや噛みしめの方が多いためです。
場合によっては側頭部への施術や、頭部へのパルス通電も使用します。
また眼瞼ミオキミアが落ち着いてきたタイミングで、眼底部の血流を増やすような緑内障の鍼灸治療を主としたものに移行しました。
眼瞼ミオキミアの治り方としては、ある日気が付くと無くなっているという感じになります。
その為、鍼をしたその場で症状が無くならなくても、それほど気にすることはありません。
大事なのは、こうした治り方を治療家側が認識しており、しっかりと初診時に患者さんに説明していることです。
一番まずいのは、中々治らないと悩みだした段階で、「実は眼瞼ミオキミアは急に治らないよ。」と後出しじゃんけんのようになることです。
さて2番目の訴えであった緑内障に関しては、初診の2か月後に撮った視野検査と、そのさらに2か月後に撮った視野検査を見比べてみましょう。
この二つを見比べると、上に比べるとやや右目の視野欠損が良くなっているように見えます。
わずか2回の検査ですから何とも言えないところもありますが、視神経の機能低下により視野が欠損していた部分が一定の回復を見せているようにも見えます。
取り敢えず悪化はしていないようで何よりです。
考察
上に挙げたような複数の症状を持つ方は非常に多く、特に眼科疾患を抱える方はそうした傾向があります。
実は上に挙げたような3つの症状や疾患は、連動して発生することが多い代表例だとも言えます。
眼瞼ミオキミアは眼精疲労でも発症しますが、それ以上にメンタルな状態に連動することが多い症状です。
また緑内障自体は様々な原因からの発病が考えられますが、緑内障を発病した時点で大きなストレスを抱えますので、眼瞼ミオキミアを発症しやすい状態になります。
また更年期障害も同様に、メンタルな状況で症状が悪化しやすいと言えます。
そうして発病の連鎖が起こるのです。
こうした複数の症状や疾患を抱えた場合、それぞれを別々に治療すると投薬や治療の数が増えてしまいます。
その為、複数症状を整理しながら病機(病気の発生、進行、変化のメカニズム)を紐解いて、順に治療するということが必要になります。
眼科ではそれぞれの専門家が別に治療に当たることも多いため、連動して治療することが少なく、その結果チグハグな治療になることも多いようです。
鍼灸治療や東洋医学では、統合的に病因病機を考えて施術する為、上手く利用できれば患者さんの負担も減ると思われます。