大阪日本橋 
眼病の鍼灸
鍼灸ひより堂

大阪日本橋の鍼灸ひより堂です。
当院では現代医学では治療法がないと言われてしまった眼科疾患に対して、鍼灸治療によるアプローチをしております。
来院される患者さまの約95%は眼科疾患や眼科症状にお悩みの方々です。
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漢方薬や鍼灸で不妊になることも?

東洋医学=良いものとは限らない

 

 一般の方がよく耳にする東洋医学のお話の中に、「漢方薬などの東洋医学は体に優しく、ゆっくり効くので時間がかかる。」というものがあります。

この言葉を信じて、漢方薬や東洋医学は体に優しく副作用がないものだという錯覚をされる方は少なくありません。

東洋医学を行う側の鍼灸師である私が、こんなことを言うと驚かれる方もいらっしゃいますが、実際に漢方薬にも副作用がありますし、国内でも海外でも死亡例が見られます。

勿論、鍼灸治療にも同様に死亡例がありますし、不適切な鍼灸治療では妊娠率は高くなりません。

東洋医学といえども、使い方次第ということなのです。

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私の個人的体験<漢方薬で不妊傾向が強まった例>

 

 過去には、漢方薬の服用が原因で、より不妊傾向が強まったと思われる女性がいらっしゃいました。

約20年前に妊活で来院されていたその女性は、とても強い子宮内膜症を患っていました。

妊娠を望んでいたご夫婦は、当院で栄養療法と鍼灸治療の併用をすることになりました。

 

栄養療法の前に受けて頂いた血液検査では、低コレステロール血症と貧血、低蛋白などが見られましたので、そうした状態を脱するべく栄養指導とサプリメントを使用することにしたのでした。

ところが栄養療法は、妊娠する力を高める反面、子宮内膜を増殖する力も高めるため、子宮内膜症が強くなる傾向が見られました。

ただ1回目の体外受精で複数個の採卵・凍結に成功し、胚移植までが無事に終わりました。

 

さらに1回目の胚移植で無事妊娠されたのですが、残念ながら初期流産となってしまいました。

この時の流産や私の対応(大丈夫でしょうと言ったのに流産した)が原因で、当院への通院を止め、漢方薬で妊活をすることにしたそうです。

それから数カ月が経ち、別の症状で通院を続けていたご主人に伺ったところ、子宮内膜症は楽になってきたが、採卵が全く出来ない状態になったということでした。

 

そこで再び直近の血液検査を見せて頂いたところ、以前にも増して貧血傾向が出ており、前回同様の低コレステロール血症と低蛋白が見られたのです。

漢方薬としては、駆瘀血剤が処方されており、それ以外にも数種類の処方がなされていました。

恐らくこの処方をした人は、不妊の原因を瘀血のせいだと考えたようですが、元々貧血傾向で血虚(かなりの痩せ型で薄毛)の人間に対して、継続して出された強い駆瘀血剤が不妊傾向を強めたのでしょう。

 

私は今までに、比較的弱いという漢方薬でも、継続的に飲むことで、低コレステロール血症になっている女性を何度か見かけました。

漢方薬の副作用として薬剤性肝炎が見られますが、個人的には、肝機能の低下も目立ちにくい副作用の一つではないかと考えています。

なぜなら血液中のコレステロールは、約8割が肝臓で再合成されるもので、食事から摂取する量と比べても、ずっと多いものだからです。

 

そこで肝機能低下の一つとして、こうした低コレステロール血症が見られているのでしょう。

コレステロールは、女性ホルモンや男性ホルモンの原材料ですし、あらゆる細胞膜の1/2はコレステロールで出来ています。

とかく悪者にされることが多いコレステロールですが、コレステロールは体にとってとても重要なものなのです。

 

この女性の場合、速やかに治療内容の再考をお勧めしましたが、私に会うのは気まずいということで鍼灸治療は見送り、とりあえず栄養療法だけを再開しました。

子宮内膜症も怖いということなので、漢方薬を減らしながら続けて併用していたところ、数カ月で血液検査が改善され、採卵数も増えました。

その後、採卵した卵で無事妊娠され、男児に恵まれました。

 

鍼灸治療は内容とタイミングがミソ

 

 妊活に鍼灸治療を活かす場合には、施術の内容と受けるタイミングが重要です。

私の場合には、不妊治療のタイミングや生理周期により施術法などを変えますが、いつも同じ治療をする治療所に通うのであれば、それを患者側が調整する必要があります。

 

先ず鍼灸治療の大前提として、苦痛を与える内容であってはいけないということです。

痛みを堪えながら受けるような鍼灸治療は、妊活の鍼灸としては適していません。

妊活のための鍼灸は、施術を受けながらウトウト寝てしまう程度の刺激量で十分なのです。

 

また受けるタイミングとしては、生理周期や移植の周期を見ながら調整します。

一般的な生理周期は、「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」に分かれます。

いつ行っても同じ治療をしていると思うなら、黄体期は避けて鍼灸治療に通院するべきです。

刺す場所や置鍼時間に変化が見られるようなら、その周期や体調により施術内容を変えているため、そのままの頻度で通ってみて下さい。

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体外受精などの場合には、卵胞刺激の時期には積極的に通院して、卵巣内の血流量を増やすことが重要です。

出来れば週2回程度が理想的です。

その後、採卵後は早期回復のために週1回程度通院とし、移植日前後に施術を受けたら、判定までは通院の必要はありません。

海外の臨床研究では、移植から判定までの間に通院した方が、妊娠率が低いというデータもあります。

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ただし、妊娠後から胎盤が完成する妊娠13週目あたりまでは、鍼灸師により考え方に違いがあります。

私は積極的に施術することで、つわりなどを緩和したり、血栓を予防することで流産を予防する効果があると考えています。

この辺りは経験がものを言うため、治療院により差が出てしまうようです。

 

冷静な判断が妊娠への近道

 

 ここで書いているように、漢方薬にしろ鍼灸治療にしろ、妊活に関して完全にマニュアル化された理論はありません。

そのため個々の漢方医や薬剤師、鍼灸師が、それぞれ自分の経験で考え、自分なりのマニュアルを作っているのが現状です。

中には東洋医学を万能のように言う方もいますが、この世に万能の治療法はありません。

 

そこで自衛の手段として、漢方薬や鍼灸治療にもマイナス面があり、場合によってはより不妊傾向が強まることを知って頂きたいのです。

また治療の受け方に関しても、自分である程度判断できるようになって頂ければと思います。

余りにも前のめりにならず、自分にとって必要な治療を、時には冷静に判断することが妊娠への近道です。

 

2024.04.25 Thursday