頭痛と鍼灸治療
鍼灸治療が適応になる頭痛
鍼灸治療が適応になる頭痛には、次のようなものが挙げられます。
①緊張性頭痛 ★★★★★
緊張性頭痛は、日常生活や仕事でのストレスにより血行障害が起こり、首や肩の筋肉が固くなることで起こる頭痛です。
鍼灸治療の効果が挙がりやすく、非常に即効性が高い頭痛の一つです。
鍼灸治療は自律神経を調整する働きが強く、過剰に収縮した血管を拡張する作用があるため、血行障害に対して効果的に働きます。
またスパズム(攣縮)を起こした筋肉に対しては、瞬間的に緩める働きもあります。
スパズム:筋肉が意図せずに収縮すること
②偏頭痛(片頭痛)★★★★☆
偏頭痛は、頭蓋内の血管が炎症を起こして拡張することで、比較的短時間に激しい頭痛を発症します。
偏頭痛を起こすと光や音に敏感に反応し、吐き気を催すこともあります。
一部の方では、頭痛の前兆として目の前にチカチカと光が見えることがあります。
偏頭痛の原因として、三叉神経との関連が示唆されています。
三叉神経は脳神経と呼ばれる末梢神経の一種で、末梢神経でありながら脳から直接分枝している神経です。
偏頭痛も精神的ストレスと強い相関が指摘されており、ストレスの悪化と共に頭痛が酷くなる傾向があります。
三叉神経痛は、若い女性に多いとされています。
偏頭痛にも鍼灸治療は効果的に働きます。
偏頭痛は、血管の拡張による痛みのため血流を増やすマッサージや運動、入浴では悪化しますが、鍼灸治療は自律神経を調整して、血管の収縮にも働くため効果を挙げるようです。
③群発頭痛★★★☆☆
群発頭痛は、片側の目の奥からこめかみにかけて、突き刺すような非常に強い頭痛が、1回15分から3時間、1日に1~数回、数日から数ヶ月ほど続きます。
季節の変わり目に起こりやすいのですが、場合によっては季節関係なく慢性的に起こることもあります。
群発頭痛は偏頭痛と違い男性に多いのが特徴とされています。
群発頭痛も偏頭痛と似た部分(三叉神経との関与)がありますが、それ以外の原因として、内頚動脈の炎症による拡張や、視床下部へのストレスによる体内時計の乱れが示唆されています。
群発頭痛は非常に個人差がある症状を呈しますが、鍼灸治療の効果が十分に期待出来ます。
<まとめ>
鍼灸治療が適応になる頭痛には、他の治療法では効果が出にくいものや根治が難しいものがあります。
特に複数の原因を持つ頭痛では、緊張性頭痛と偏頭痛が同時に起こったり、群発頭痛と緊張性頭痛が同時に起こることがあります。
複数の原因を持つ頭痛に対して投薬で治療をしようとすると、どうしても投薬の種類や量が増えてしまいます。
またストレスや季節の変動などに対しては、投薬での改善が難しいため鍼灸治療の意義は大きいと思われます。
実際の鍼灸治療
頭痛に対する鍼灸治療では、主に首や肩、頭部に対する局所的な鍼灸治療と、視床下部や脳ストレス全般に対する鍼灸治療を行います。
頭痛に対する局所の鍼灸治療では、症状や体の状態により鍼の長さや太さを変化させて、適切な刺激量を守る必要があります。
また視床下部や脳ストレスに対する鍼灸治療では、東洋医学的な診察診断による繊細な鍼治療が必要となります。
<首や肩に対する局所的な鍼>
<東洋医学的な繊細な鍼>
また三叉神経の第一枝である眼神経は、偏頭痛や群発頭痛とも関連する重要な神経ですが、目や鼻、おでこの周囲の知覚神経になっています。
この眼神経が知覚過敏を起こすことでも頭痛を起こすことがありますので、目の周囲の鍼治療も重要な施術になります。
<目の周囲への鍼>
鍼灸治療は、頭痛に対して非常に素早く働くため、かなりの即効性があります。
来院時に頭痛を訴えている患者さんが、帰りには痛みを感じていないということも少なくありません。
長年頭痛を患っている場合には時間と共に症状が戻ってきますが、施術を繰り返すごとに良い状態を維持できるようになります。
また定期的に施術を受けることで、季節の変化による体調の変化が起こらなくなり、頭痛も徐々に起こらない体質になります。
頭痛を続けて感じていると、徐々に精神的にも参ってきますので、先ずは症状改善のための施術を受けて頂き、徐々に体質改善を進めていくことをお勧めします。