大阪日本橋 
眼病の鍼灸
鍼灸ひより堂

大阪日本橋の鍼灸ひより堂です。
当院では現代医学では治療法がないと言われてしまった眼科疾患に対して、鍼灸治療によるアプローチをしております。
来院される患者さまの約95%は眼科疾患や眼科症状にお悩みの方々です。
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中心性漿液性脈絡網膜症と鍼灸

中心性漿液性脈絡網膜症とは

 

 中心性漿液性脈絡網膜症とは、眼球の奥にある網膜の黄斑部に、浮腫による漿液性の網膜剥離が出来てしまう眼科疾患です。

網膜に水溜まりが出来たような状態になる為、網膜に入る光が歪んだり、漿液により色付けられるため、眼に映る画像に歪みや染色が見られるようになります。

 

中心性漿液性脈絡網膜症.png

 

  40代以上の男性に多いとされますが、当院に来院された患者さんの中には、10代の女性もいらっしゃいました。

また一般的には片側に起こるとされますが、時間をおいて両側に出ることもありますので注意が必要です。

 

一般的な症状を知っておき定期的に眼科の受診をしておくと、早期発見が出来ると思います。 

次に一般的な症状や注意を書いておきますので、参考にして下さい。

 

CSC.png

 <病気が見えるvol12 眼科より>

 

 治療としては、生活改善としてストレスを軽くすることや、末しょう循環改善のためのビタミン剤を投与し、経過観察をすることで良くなるものもあります。

 経過観察で良くならない場合や、再発を繰り返す場合には、網膜光凝固という治療法で、レーザーにより漏出個所を塞いでしまう方法を取ります。

この方法では施術部位が瘢痕化することで、視野の欠損を残すことになるため、視野の中心部近くで漏出している場合には施術出来ません。

また最近では、新生血管に対して抗VEGF薬という薬を眼球から注入して、眼底の浮腫を抑える治療も行われることもあります。

 

眼内.png

 

抗VEGF剤は、元々大腸がんに使用されていた新生血管阻害剤で、新生血管を作らせないことで、そこから生じる漿液の漏れを防ぐことが出来ます。

 

脈絡膜新生血管.png

 

中心性漿液性脈絡網膜症に対する私見と鍼灸治療

 

-ここからは、一鍼灸師の私見も入りますので、ご注意下さい。ー

 

 中心性漿液性脈絡網膜症に対する保存療法や経過観察は、確かに効果が挙がる場合もありますが、基本的に2~3月経過しても治らなければ、何らかの対策が必要であると思います。

特に強度近視の方は、物理的に網膜や脈絡膜に負担が掛かっているため、自然に治らない場合が多いようです。

 

強度近視.png

 

また先ほどご紹介した抗VEGF薬の注射は比較的効果が高い治療法ですが、繰り返しになることも多いため注意が必要です。

抗VEGF薬を長期間続けた方と、鍼灸治療を継続的に受けている方では、期間が長くなるほど視力低下の差が明らかになります。

鍼灸治療では視力低下を防ぐことが出来ますが、長期間抗VEGF薬を使用した方では、視力低下が明らかになることが多いようです。

そのため発症の年齢が若いほど、鍼灸治療の長期的な治療効果がより明らかになるということのようです。

 

 中心性漿液性脈絡網膜症の方に対して鍼灸治療を行うと、先ず脈絡膜や網膜の血流増加が起こります。

 

脈絡膜の役割.png

 脈絡膜や網膜の血流が増加すると、脈絡膜からブルッフ膜を超えて網膜に漏れ出ていた漿液を吸収し、浮腫が軽減されるようになります。

網膜に起こった浮腫が軽減すると、中心性漿液性脈絡網膜症で起こっていた視野の欠損や着色が軽減し、徐々に歪みが軽減していきます。

 

<当院の症例>

 

 下の画像は、中心性漿液性脈絡網膜症患者に対して鍼灸治療を行い、開始直後と3か月後の検査を比較した画像です。

青い図は当院で行った鈴木式アイチェックチャートと視力検査です。

下のOCT画像は眼科で検査して頂いたものです。

 

【治療開始時】

初診時.png

 

視野の真ん中に濃いグレーの影がかかり、歪みも見られました。

OCT画像では浮腫の部分が黒く抜けて写っていました。

 

【鍼灸治療開始3か月後】

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鍼灸治療を週2回3か月間続けた結果、視力は0.9から1.2へと向上し、簡易視野検査でも歪みや色付きが少なくなっていました。

また眼科でのOCT検査でも、黒い浮腫の部分がほぼ無くなり、レーザー治療でも効果が見られなかった漿液の漏れが改善しました。

【上の症例を詳しく見る】

 

実際の中心性漿液性脈絡網膜症の鍼灸治療

  

 これからご紹介するのは、実際の眼科疾患の患者さんに対する実際の鍼灸治療です。

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 先ずはうつ伏せで、眼科疾患の方によく見られる首や背中の凝りを取り除きます。

これだけでも眼に出ている不快な症状(眼痛・重だるさなど)が軽くなり、目の前が明るくなるという方もいらっしゃいます。

また必要に応じて、腰のツボを使った施術も行います。

 

次に手足のツボを使った鍼灸治療です。 

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こうした手足を使った施術は、本治法と言われるもので、体の本質的な弱りに対して行います。

この女性の場合には、先天的な胃腸の弱さとストレスによる影響があったため、それを解消するためのツボを使用しています。

こうした施術は、東洋医学的な診察・診断により行います。

 

最後の目の周辺の施術になります。

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この患者さんの場合、片側が治療眼ですが、今後のことも考えて両眼に対して施術を行っています。

両眼に起こる可能性がある眼科疾患の場合には、今現在発症していなくても、予防のために両眼に行うことが殆どです。

 

眼の周囲には沢山のツボがありますが、その中から反応を見て数か所施術することになります。

これは局所的な施術になりますので、主に眼底部の血流量を増やすための施術になります。

こうした施術を、急性期には週2回程度受けて頂きます。

 

イメージとしては、状況が悪くなる方向に行くのを、逆方向に向ける感じですので、十分に治癒方向に向かえば、頻度を減らすことが出来ます。

通常でしたら、3か月程度で治癒方向へ向かうことになります。

またそれ以前に、症状を進めない目的や、再発予防だけの目的であれば、週1回~10日に1回で施術を行うこともあります。

 

頻度.png

 

 

 

更に治療効果を高めるために

 

 自分で出来る限りのことはしたいという方は、日常生活の過ごし方に気を配頂ければ、眼科疾患の治りが更に良くなります。

例えば喫煙は眼科疾患に対して「百害あって一利なし」という存在です。

眼科疾患を治したいのであれば、禁煙は絶対的に行って頂きたいと思います。

 

また日々のストレス管理も大事ですが、それと同等に大事なのが、眼を酷使しないということです。

折角鍼灸治療を受けて頂いても、夜遅くまでスマホを弄っていては、目に掛かる負担を減らすことが出来ません。

仕事柄よく眼を酷使される方は、鍼灸治療の頻度を減らすことで、再発しやすくなる傾向があります。

 

 通常は 、最初の3カ月は週2回の頻度で来院して頂き、徐々に頻度を減らしていき、最終的に月に1回程度来院して頂ければコントロール出来ます。

ところが眼を酷使する方では、週1回の頻度で来院し続けて頂くこともあります。

 

更に過去に抗VEGF薬の注射を複数回されている方は、再発をする傾向が強いために、頻度を減らすことが出来ないこともあります。

これは抗VEGF薬の影響で再発をするというよりは、元々眼科疾患を再発しやすい方が、結果的に抗VEGF薬を複数回受けているということかもしれません。

 

鍼灸治療を受ける期間が長くなってくると、自分でも目に疲労や負担が掛かっていることが分かるそうですから、そうなれば自分で来院頻度を調整することも出来ます。

一番怖いのは、自分の状態が自分で分からないことですので、少なくとも自分の体調が把握出来るまでは、続けて来院して頂ければと思います。

 

 

2024.04.27 Saturday