眼精疲労の方はお読み下さい【ドライアイ・仮性近視・眼痛・偏頭痛】
眼精疲労の正体とは
眼精疲労は、様々なことが原因で起こる目の機能低下や、それによる不快症状の総称です。
眼精疲労は、単に目の使い過ぎだけで起こるのではなく、様々な原因で起こることが分かっています。
そのため、眼精疲労を解消するためには、先ずその原因を特定して、適切に対処する必要があります。
では原因別にその対処法をご紹介します。
目のトラブルが原因で起こる眼精疲労
眼精疲労の中でも、眼科疾患や目の不調に伴うものは、その不調に対する治療や対処が必要になります。
例えば白内障や緑内障では、見え方や眼圧などに問題が出ているため、先ずはそれらに対する治療が優先されます。
そうした眼科的治療をしても残る症状は、視神経や網膜の栄養不良や酸欠、不老物質の蓄積などが考えられますので、鍼灸治療により血流を良くすることで解消出来ます。
ドライアイも眼精疲労の元になりますが、ドライアイ自体が眼精疲労の一症状でもあるため、相互に影響しあっている関係です。
またドライアイは、脳内物質(ドーパミンや※BDNF)の分泌が低下すると起こりやすいため、ストレスとも関連が深いものです。※BDNF:脳由来神経栄養因子
そのため眼精疲労もストレスと関係が深く、ストレス度が高いほど眼精疲労を感じやすいとも言えます。
そして、案外気付かない内に眼精疲労の原因になっているのが、眼鏡やコンタクトレンズが合っていない矯正不良です。
特に眼精疲労を強く引き起こすのは、過矯正による眼精疲労です。
通常、オフィスワークなどで使用するのは、比較的近くを見るときに必要な近見視力です。(PCなどを見るとき)
その場合、視力にすると0.6~0.8程度で十分に用をなします。
ところが矯正により視力を上げすぎて、1.5や2.0などの過矯正にすると、PCの画面を見るだけで眼精疲労が起こります。
特に顔面の中にある赤い色が極端に見辛くなれば、過矯正の可能性が高いですから、適切な度数のものに変更するだけでも眼精疲労は治まる可能性が高いと思われます。
こうした眼精疲労も、鍼灸治療により効果が高い眼精疲労の一つですが、眼鏡やコンタクトレンズの矯正不良によるものは、出来るだけ早い段階で作りなすことをお勧めします。
その他、眼瞼下垂や斜視、眼瞼けいれんの方などでも 眼精疲労は起こりやすくなります。
そうした場合にも、先ずは原因疾患の治療が最優先されるべきだと思います。
体調不良による眼精疲労
東洋医学では「精」のことを、生命エネルギーの元になる物質だと考えています。
つまり眼精疲労とは、「目を使うための生命エネルギーが足りていないこと」だという風に、東洋医学では考えているということです。
様々な体調不良により体力が奪われ、目を使うための「精」が足りていないのです。
これは西洋医学的にも同様で、アレルギー性鼻炎や蓄膿症、自律神経失調症、肩こり、首こり、全身疲労などが原因となっても、眼精疲労が起こるとされています。
そのため眼科領域だけではなく、体全体の健康管理が必要となる眼精疲労もあるということです。
眼内筋の疲労
目の焦点を調節する機能は、目の中にある水晶体というレンズで行っています。
この水晶体の周囲には、毛様体筋という筋肉が繋がっており、この筋肉の収縮や弛緩により、ピントを調節しているのです。
PC作業やスマホを見る時間が長時間に及ぶと、毛様体筋が収縮したままになるため、次に遠くを見ようとしても、上手く毛様体筋が弛緩せず、焦点を合わせることが出来なくなります。
これが、眼内筋の疲労による眼精疲労です。
眼内筋である毛様体筋は、自律神経の働きで収縮と弛緩を調整しているため、自律神経を調整することでこうした眼精疲労を解消することが出来ます。
鍼灸治療には自律神経の乱れを調整する働きがあるため、目の調整能力を回復することが出来るのです。
そのため鍼灸治療を受けて頂いた方では、ほとんどの方に視力の向上が見られます。
これは眼内筋である毛様体筋の働きが回復したためで、近視が治ったわけではありません。
つまり鍼灸治療を受けて頂いて近視が治ることはありませんが、仮性近視であれば回復するということも言えます。
精神的なストレスと眼精疲労
眼精疲労の原因になるドライアイは、脳内物質の分泌や精神科疾患との関連が深いことが分かっています。
ドライアイを訴える方の中には抑うつ症状を訴える方が多く、そうした症状はドーパミンやセロトニンといった脳内物質の分泌が減ることで起こるとされています。
そのため、ドライアイを根本的に改善するためには、単に点眼薬で目の表面を潤すだけではなく、精神科的なアプローチが必要になる場合もあるのです。
ではドライアイに対して抗うつ薬を投薬すれば、眼精疲労もストレスの問題も解決かというと、そうはいきません。
難治性の眼科疾患である眼瞼けいれんでは、抗うつ剤や睡眠導入剤との関連が示唆されているからです。
ドライアイを治療したせいで他の眼科疾患を誘発してしまっては、元も子もありません。
そこで出来るだけ体に優しく脳内物質の分泌を増やし、ドライアイ症状を改善するために有効なのが鍼灸治療です。
鍼灸治療は、脳内物質であるドーパミンやセロトニンの分泌を増やし、脳内の神経受容器の感受性を高めることが分かっています。
そのため鍼灸治療を受けて頂くことで脳内物質の問題を解決し、更にドライアイによる眼症状(角膜の知覚過敏)に対してもアプローチすることが出来ます。
眼精疲労の鍼灸治療では、こうした複数の問題を同時治療的に解決する根本治療を目指しています。
実際の鍼灸治療
眼精疲労に対する鍼灸治療では、それぞれの原因に対してのアプローチを行います。
西洋医学的な治療が必要な原因疾患に関しては、医療機関に委託する場合もありますし、共同して治療に当たることもあります。
また西洋医学で治療が不可能なものや、鍼灸治療の方が効果が高いものに関しては、鍼灸単独でも行う場合もあります。
さて当院で行っている眼精疲労に対する鍼灸治療では、主に4つのアプローチをしています。
1.目の血流を促す鍼灸
2.目の知覚過敏に対する鍼灸
3.毛様体筋を緩める鍼灸
4.全身の健康状態を高める鍼
こうした鍼灸治療は、他の眼科疾患とも通じる内容ですので、「眼科領域の鍼灸治療とは」をご参照下さい。
こうした施術を受けて頂くと、普通の眼精疲労であれば、1回の施術でも眼精疲労をかなりの割合で取り去ることが出来ます。
その爽快感は1週間程度続きますので、週に1回の施術を受けて頂ければ、2~3か月程度でほぼ眼精疲労は感じなくなります。
ただ眼精疲労と一口に言っても、単に作業による疲労もあれば、精神科疾患によりドライアイを患ったせいで眼精疲労を感じている方まで、症状の強さにはかなり幅のがあります。
そのため実際の治療計画としては、問診や東洋医学的診察で病因を特定した上で、通院頻度や通院頻度を決定します。