眼科疾患と食事療法の話
発病する前も発病してからも食事は大事
食事によって得られる栄養は、視神経や網膜の細胞にとって欠かすことが出来ないものです。
そのため食事に気を付けることは、眼科疾患の発病予防や進行予防にとって、ある程度の役割を果たすことは間違いありません。
ただその一方で、偏食に繋がるような極端な食事療法は健康を害するだけでなく、眼科疾患の悪化を招く原因になることもあるため注意が必要です。
眼科疾患を予防するため、或いは進行を予防するための食事は、基本的な栄養学を逸脱するものであってはいけません。
そのため5大栄養素をしっかり含んでおり、量的にもその人の体をしっかり維持するものである必要があります。
ただあまり気難しく考えず、偏りなくしっかりと食事を摂ることが重要で、そうした基本的な食事を摂った上で、+αの要素として加えるものを下にご紹介します。
〇ポリフェノール、アントシアニン、カテキン
ポリフェノールやアントシアニンは、共に抗酸化作用があるものとして有名です。
フリーラジカルや活性酸素は、網膜や視神経の細胞を傷付ける働きがあるため、それを取り除く働きがあるポリフェノールやアントシアニンは、眼科疾患の予防に対して有効であるとされています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35056157/
(加齢黄斑変性症における天然抗酸化物質の可能性)
〇オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、サーモン、マグロ、オヒョウなどの魚介類や亜麻仁油などの食品に含まれています。
オメガ3脂肪酸は強い抗炎症作用を持ち、血管の内皮細胞の炎症を防ぐ働きがあります。
こうした作用は動脈硬化を防ぐことで微小循環を改善し、視神経や網膜を保護する作用があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27876342/
(オメガ3脂肪酸の補給は、高トリグリセリド血症および心血管リスクの高い高血圧患者の内皮機能および動脈硬化を改善する)
フラマー症候群の方にとっては絶食は禁忌
最近はネット上でも絶食などの極端な食事療法を薦める方がいらっしゃるようですが、眼科疾患の方に関してはあまりお勧め出来ません。
その理由の一つにフラマー症候群の存在があります。
フラマー症候群とは、様々な刺激により血管が過剰に反応して血管が収縮し、循環障害が起こりやすい体質の方を言います。
眼科疾患が悪化しやすい方の中には、フラマー症候群の方が一定数存在するようです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34575340/
(フラマー症候群の緑内障患者の治療)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34513865/
(全身血管調節不全は、非緑内障の健康な目の乳頭周囲血管密度の低下と関連している可能性があります)
眼科疾患と網膜や視神経の血流は、発病や症状の進行にとって大きな問題になることがあります。
何故なら血液循環には、網膜や視神経に栄養や酸素を運ぶ役割や、細胞や組織で使用された後の老廃物を運び出す役割があるからです。
眼圧が正常にも関わらず症状が悪化していく正常眼圧緑内障や、症状の進行に個人差が大きい網膜色素変性症では、このフラマー症候群の存在の有無が症状の進行に影響を与える可能性があります。
またフラマー症候群の特徴として、比較的体形が痩せている方ほど症状が強い傾向があります。
そのためフラマー症候群の方が絶食などの栄養を極端に減らす食事療法をすることで、更に網膜や視神経が栄養障害を引き起こすことが危惧されるため、絶対にお薦め出来ません。
例外としては、肥満傾向が強い方で摂取過多である方の場合には、食事量を制限した食事が効果を挙げることはあります。
ただその場合にも、出来れば専門家に依頼して必要な栄養はしっかり摂った上で、必要の無いものを制限する必要があります。
フラマー症候群の方は循環障害が起きやすいため、栄養の摂取には更に気を配る必要があるということです。
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