小児の近視を予防して眼科疾患を防ぐ鍼灸治療
10年後の眼を守るために
当院では、既に眼科疾患をお持ちのお子さんや、現在近視傾向にあるお子さんの進行予防のために、鍼灸治療を受けて頂いています。
また近視傾向にあっても、未だ近視とは言えない仮性近視に関しては、別の記事にまとめてありますので、下記の記事をご覧下さい。
さてお子さんが急激な視力低下をしていたり、ご両親が近視傾向にあると、親として今後のお子様のことが気になるのは当然です。
また既に眼科疾患を発病している場合には、更に切実な想いを抱えていることと思います。
そんな不安を少しでも減らすために、当院の鍼灸治療がお力になれればと思います。
小児近視予防と鍼灸治療
近視とは、本来網膜付近に集まるで光の焦点が、網膜よりも手前に来ることを言います。
近視には幾つかのタイプがあり、角膜や水晶体で光が強く屈折し過ぎるタイプ(屈曲性近視)と眼球の奥行きが深いことで起こるタイプ(軸性近視)があります。
屈曲性近視の原因としては角膜の形状が一番大きな原因ですが、それ以外にも、水晶体の厚みを調整する変える筋肉の過緊張が原因になることがあります。
水晶体の厚みを変える役割の毛様体筋は、近くの物を見る時に緊張し、遠くを見る時に弛緩して焦点を合わせています。
現代人はPCやスマホを使う頻度が高く、それは小児でも例外ではありません。
そのため近くを見る時間が長くなり、必然的に毛様体筋が収縮する時間も長くなってしまいます。
この毛様体筋の過緊張が続くと、眼球全体に物理的な負荷が掛かることで、眼軸長が長くなると言われています。
そこで毛様体筋の緊張を緩めることで、軸性近視を予防するのが、鍼灸治療による近視予防です。
当院で行っている鍼灸治療
当院で小児に対して行っている鍼灸治療は、基本的に成人に対して行っているものと同様です。
ただ刺激に敏感な小児の為に、出来る限り少ない刺激量で施術していますので、安心して治療を受けて頂、けます。
小児に使用する鍼は、一番太いものでも太さ0.18mm、目の周辺には太さ0.1mmという、現状では最も細い鍼を使用しています。
あくまでも私の経験上ですが、幼稚園の年中さんからの幼児には受けて頂いたことがありますし、近視が強まる小学校高学年以降のお子さんなら、安心して受けて頂くことが出来ます。
鍼灸治療以外の近視予防について
せっかく鍼灸治療を受けて頂いても日常生活がそのままでは、一旦良くなった視力や視能が再び悪化することは想像に難くありません。
少しでも経過を良く、少しでも治療効果を挙げるために、それぞれのご家庭で出来ることをご紹介します。
出来る範囲で無理をせずに行ってみて下さい。
1.ご自宅でのスマホやタブレットの使用は控えめに
近見視力を使う時間が増えるほど、毛様体筋は収縮する時間が増え、眼球への物理的な負荷が増えます。
お子さんの眼を守るために、計画的なスマホやタブレットの使用を心掛けて下さい。
2.一定の紫外線は必要です
1日に1~2時間の屋外活動で浴びる程度の紫外線は、健やかな体の成長に必要です。
現代のお子さんは屋外で遊ぶ時間も少なく、紫外線を浴びる時間が少なくなりがちです。
日本と同じく近視の児童が多い台湾では、授業中に紫外線モニターで計測しながら紫外線量をチェックしています。
3.近くを見たら遠くも見る
授業でもタブレットを使用する現代では、お子さんにスマホやタブレットを使用するなと強制するのは無理なお話です。
そのため少しでも目の負担を減らすために、スマホやタブレットを30分使用すれば、少し休憩して遠くを見る習慣を身に着ける必要があります。
2の事例と同様に、台湾ではこうした対策をした結果、児童の近視を一定(約5%)減らすことが出来たそうです。