大阪日本橋 
眼病の鍼灸
鍼灸ひより堂

大阪日本橋の鍼灸ひより堂です。
当院では、西洋医学では治療法がないと言われた眼科疾患や、同じく西洋医学では治療効果が挙がらない不妊治療などに対して、鍼灸治療で根本的な体質改善をしています。
お問い合わせから、ご自身の体調に関する治療の可否を知りたいときには、発症の時期や治療歴などの詳しい情報があれば、お答えをしやすいのでよろしくお願いします。
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甲状腺眼症に対するステロイドパルスや放射線治療と鍼灸治療

最初に

 

本ページは「甲状腺眼症と鍼灸」と重複する内容もありますし、補足する部分もあります。

そのため合わせてご覧頂くことで、より甲状腺眼症の治療についてご理解いただけると思います

何卒よろしくお願いします。

 

甲状腺眼症のスタンダード治療

 

 甲状腺眼症により眼球突出や外眼筋の炎症が起こると、西洋医学で行われるスタンダードな治療としては大きく2種類です。

 

1.ステロイド(副腎皮質ホルモン)治療

2.放射線治療

 

それぞれにメリットとデメリットがあるため、それを知った上で治療を受けることが理想的です。

 

 

【ステロイドパルス】

 

 ステロイドとは、元々副腎皮質という内分泌腺から分泌されるホルモンのことで、強い抗炎症作用を持っています。

その働きにより、甲状腺眼症による眼窩内の炎症を速やかに抑えてくれます。

ただステロイドには、継続して使用することで起こる副作用があります。

 

特に大量のステロイド薬を点滴で使用するステロイドパルス治療は、連続使用出来ないというデメリットがあります。

ステロイドには免疫を下げる働きや、毛細血管を収縮させる働きもあるため、感染症を起こしやすくなったり、眼圧が上がることで緑内障を起こす危険性もあります。

ステロイドパルス.png

そうは言っても、短期的に最大限の効果を発揮する治療ですので、現在のところは第一選択になっています。

現状では、確実に効果を発揮する治療としては、最も強力な治療だと思います。

 

 当院に来院されている甲状腺眼症の方も、ステロイドをパルス治療を受けている方は多いですが、一旦効果を表しても使用を中止すると症状が再発することも多いのが現状です。

その場合、症状が再発してもステロイドは使用出来ないため、放射線治療に移行するか、経過観察の日々になってしまいます。

最も強く効果的なステロイドが使えないと、甲状腺眼症の治療は一気に停滞気味になります。

 

当院にご来院される甲状腺眼症の方は、このステロイドパルスやその他のステロイド治療を受けた後、効果が持続しなかった方やステロイド治療に抵抗感が強い方が多いようです。

 

【放射線治療】

 

 放射線治療では、放射線を眼球の後ろ側にある外眼筋や脂肪組織に照射することで、免疫活動を鎮静化します。

 

日本甲状腺学会・日本内分泌学会が編集した「甲状腺眼症診療の手引き」では、放射線治療に対しての有効率は次のように書かれています。

「有効率:単独療法の有効率は 59%(RCT では 44%)で、効果の発現は緩徐である。」

この59%という数字をどう見るかは、鍼灸師としては正直微妙なところです。

症例が少ないとはいえ、今のところ鍼灸治療による効果が無効な方を見たことがありませんので、放射線療法に比べても鍼灸治療の臨床効果は高いのではないかと思われます。

 

ただし、放射線療法とステロイドパルスを併用した場合の有効率は、同じく「甲状腺眼症診療の手引き」によると「パルス療法と放射線外照射療法の併用は、有効率 88%とそれぞれの単独療法より高い」とされています。

ただステロイドパルス治療は先ほども書いたように、期間限定の治療法ですから、同時に治療出来る期間は限られます。

そのため期間を問わず治療出来る鍼灸治療は、甲状腺眼症にとって非常に心強い選択肢になるのではないかと思います。

 

【新しい選択肢としての鍼灸治療】

 

 甲状腺眼症に対する鍼灸治療は、治療期間の制限もなく選択できるため非常に心強いものです。

そこで甲状腺眼症に対する鍼灸治療を、より効果的に受けて頂くためのご注意を書いていきます。

 

 まず鍼灸治療には治療期間の制限はありませんが、一般的な甲状腺眼症の治療と同様に、繊維化が進んでしまうと治療効果の発現は限定的になります。

線維化は持続的な炎症により進行しますので、炎症を出来るだけ早く鎮め線維化を出来るだけ最小限にすることが、眼球突出を防ぐうえでは重要です。

そういう意味では、治療効果のある鍼灸治療を早期に選択されることは、非常に意義のあることだと思います。

 

 また鍼灸治療の頻度は、その目的により変わりますが、早期に回復をさせるためには週2回の頻度で治療を開始することをお勧めしています。

回復の流れに乗れば週1回の治療でも効果は維持しますが、最初の3か月間は出来るだけ週2回の頻度で来院して頂くことで、症状の悪化を防ぎ回復の勢いを付けることが出来ます。

 

鍼灸治療を開始して頂くと、先ず最初に甲状腺眼症により出ている不快な症状が改善されていきます。

目の疲れや痛み、首肩の凝り症状などが、最初の数週間で無くなることが殆どです。

その後、視力の変化や眼球突出の変化が出てきますが、最初の内は症状が不安定で一定した結果が出ません。

 

当院では、基本的に最低でも月に1回はヘルテル氏眼球突出計で眼球突出度を計測していますが、その数値を見ていると、驚くほど短期間で変化していることが分かります。

甲状腺眼症.png

変化が大きい方では、鍼灸治療開始から1か月以内で3~4㎜の減少がありますが、その後1~2㎜の増加も見られることがあります。

短期的な変化にあまり一喜一憂せずに治療を続けていくと、大体3か月程度で大きな変化が一旦治まりますが、その後も変化はしていきますので、最終的には週1回程度の治療を続けながら完全に安定するのを待つことになります。

 

患者さんの中には、治療1年を経過して病院で症状固定と言われてからでも、2㎜程度の減少をすることもありました。

完全に症状が固定するまでの期間はかなり個人差があり、目を酷使するお仕事の方では炎症が治まり辛い傾向があるようです。

症状が完全に治まるまでは、鍼灸治療に加えて円皮鍼(貼っておく鍼)や自宅でのお灸など、少しでも効果的な方法をその人に合わせて探っていくことになります。

 

【実際の鍼灸治療】

 

 実際の鍼灸治療では、全体的な体調を整える治療と、目の周囲の炎症を鎮めるための治療を併用する必要があります。

また眼窩内の炎症を鎮めるためには、目の周囲の経穴に鍼を刺す方法と、遠隔的に目の周囲の炎症を鎮める経穴を使う方法があります。

 

目の周囲には複数の経穴があり、特に清明穴、攅竹穴、太陽穴、印堂穴、絲竹空穴、四白穴、球後穴、魚腰穴などが有名です。

それぞれに目の周辺部位の血流を増やしたり、炎症を鎮める働きがあります。

目のツボ.png 

これらのツボから適宜選択して、数か所に鍼を刺して治療を加えます。

これら以外にも、阿是穴(あぜけつ)と呼ばれるツボを使用することも多いのが特徴です。

阿是穴(あぜけつ)とは、その人の反応により決めるツボのことで、特に定まった経穴名を持たないツボのことです。

また鍼の刺し方や深さ、鍼の太さも、その方の体調や炎症の強さ、感受性により変えていきます。

 

こうして目の周囲には複数の鍼を刺すのですが、数が多ければ良いというわけではありません。

また刺激量が多ければ良いというわけでもないため、当院では目の周囲に対して太い鍼や長い鍼は使いません。

そのため痛みはあまり感じないことが多く、内出血もほとんど出来ないため、性別や年齢を問わずに安全に受けて頂くことが出来ます。

 

 逆に鍼灸師の中には、極端に長い鍼や強い刺激を良しとする方もいるようですが、個人的にはこれには反対です。

特に中国人鍼灸師や中医学系鍼灸師の中には、※眼窩内刺鍼をされるところもあるようですが、これも広範囲の内出血や炎症のリスクを冒してまで使うものではないと考えます。

眼窩内刺鍼.png

低周波を使ったパルス通電も、表情筋の※病的共同運動を招く恐れがあることから、当院では行いません。

何よりも、現在行っている低刺激の鍼灸治療でも十分な効果が見られていていることから、低刺激で効果がある現在の治療法が理想的であると考えています。(今後変わることもあるかもしれませんが)

※病的共同運動:自分の意志とは違う筋肉の収縮が見られること。例えば目を瞑ろうとすると、口が動いてしまうようなこと。

 

 gannsin.jpg

 <当院での眼科鍼灸例:画像で使用している鍼は長さ15mm太さ0.12mm>

 

全身状態を整えるにはホルモン調整も大事

 

 甲状腺は内分泌腺として甲状腺ホルモンを分泌していますが、甲状腺ホルモンが分泌するためには、脳の視床下部や下垂体からのホルモン分泌が必要です。

視床下部からの命令が下垂体に届き、下垂体から更に内分泌腺へと続く命令系統は、性腺刺激ホルモンや副腎皮質ホルモンなどと同じルートです。

またお互いにホルモン分泌が連動している部分もあり、影響を与え合うことも分かっています。

内分泌.png

明確には分かりませんが、甲状腺の病気は女性に多く、特に初潮前後と閉経の前後に多いようです。

これはホルモンの変動が、免疫系にも何らかの影響を与えるせいではないかと思われます。

(実際には男性にも第二次性徴はありますので、なぜ女性に極端に甲状腺眼症が多いかは分かっていません。)

 

また副腎皮質ホルモンは別名コルチゾールと言いますが、これはステロイドパルスで使用される抗炎症ホルモンです。

コルチゾールはストレスにより分泌量が一時的に増えますが、その後もストレスがかかり続けると作用が不安定になります。

こうしたこともストレスにより甲状腺疾患が誘発される理由かもしれません。

 

そのため、体調を整える鍼灸治療では、こうしたホルモン分泌の大本である視床下部や、各分泌腺に対してもアプローチを加えていきます。

どの部分の影響が強いかは、その方の症状や発病の仕方などから予測したり、東洋医学的な診察によって判断していきます。

 

 治療穴としては手足のツボを使うことが多いですが、頭部や頚部にも鍼を刺す場合はあります。

こうした鍼は本治法(ほんちほう)と呼ばれ、ごく少数の鍼(1~3本程度)で行います。

長期的な治療効果を考えると、局所の鍼以上に大事な意味を持ちますが、これは西洋医学にはない考え方です。

東洋医学の利点を最大限に活かして、甲状腺眼症という難病に挑むことになります。

 

最後になりますが、大事なことですのでもう一度書きたいと思います。

多くの眼科疾患と同様に、甲状腺眼症にも治せる時期と治せない時期があります。

線維化が進み組織として出来上がってしまうと、大きな変化は望めなくなります。

一部症状固定と言われてからでも改善する方もいらっしゃいますが、この方は1年かけて24mmから19mmまで良くなりました。

ただもう少し早く治療を開始していれば、軽症或いは正常域まで治った可能性は否定できません。

つまり「治せる時期に治療を開始することが、唯一治る方法」だということです。

一日も早く適切な治療を受けることを心からお願いいたします。

2021.05.18 Tuesday